日曜日、今日はブルク13で、
「シン・ウルトラマン」。
これは、1966年にTBSでTV放送された、空想科学シリーズ「ウルトラマン」を、企画・脚本庵野秀明、監督・樋口真嗣で映画化したもの。
出演は、斎藤工に長澤まさみ。他、西島秀俊、有岡大貴、早見あかりなど。
次々と巨大不明生物【禍威獣(カイジュウ)】が現われるようになった日本。日本政府は、その対応の為、禍威獣対策のスペシャリストを集結し、【禍威獣特設対策室】通称【禍特対(カトクタイ)】を設立。
班長に田村君男、作戦立案担当官・神永新二、物理学者・滝明久、生物学者・船縁由美がメンバーに選ばれ、任務に当たっていた。
ある日、地底禍威獣ネロンガに苦戦する禍特対の前に、大気圏外から赤い火球が飛来。その中から銀色の巨人が突然現れ、ネロンガを鮮やかに倒してしまう。
巨人は人類の味方なのか、敵なのか……その分析のため、公安警察より、新たに禍特対に分析官の浅見弘子が派遣され、神永とバディを組むことになるが……
私は1966年生まれなので、「ウルトラマン」は勿論、生では観ていない。しかし、「ウルトラマン」を始めとする空想科学シリーズは、夏休みなどに集中再放送される子供向け番組の定番で、幼少期には親しんだ記憶がある。塩ビの怪獣人形や、怪獣図鑑なども持っていた――まぁ、当時の男児は大抵そうだと思うが……もっとも、私は当時からひねくれ者だったので、「ミラーマン」とか「スペクトルマン」とかに惹かれていたのだが。
「ウルトラマン」シリーズは、その後も観てはいたが、私はこのシリーズから卒業するのが早く「ウルトラマンタロウ」を最後に、TVで観る事はなくなっていた。
この映画だが、「ウルトラマン」が存在しない世界を描く……と言う事は、つまり「ウルトラマン」を最初っからリブートする、と言う事。それどころか、映画は、ゴメスやペギラなど、「ウルトラマン」に先行して放送された「ウルトラQ」の怪獣を登場させる事に始まる。
タイトルの出し方も、「ウルトラQ」のそれで、これはオールドファンには嬉しいものだろう。
その後、ネロンガ戦で、子供をかばって瀕死となった神永の行動に心打たれたウルトラマンが、神永に命を与える形で合体して……と言う展開となるのも、オリジナルのままだ。
後半は、ザラブ、メフィラスと言う異星人(本作では外星人)との攻防が描かれ、最後は、ゼットンとの戦いなる、と言う所まで、オリジナルのTVシリーズを2時間の映画に再構築して見せたのは、さすがは庵野秀明と言う所……ゴモラやレッドキング、それにバルタン星人と言うメジャーな怪獣や宇宙人ではなく、ストーリーとして魅力あるものをピックアップして繋いで行く、と言うセンスも見事なものだ、と思う。
メフィラスとウルトラマンが居酒屋で酒を酌み交わしながら、地球と宇宙の動向を語る絵面はシュールではあるが、これもまた既視感のあるもの。メディラスの「ウルトラマン、割り勘でいいか?」と言う台詞は最早名台詞だろう。
一方、樋口真嗣の手腕の見せ所でもある特撮は、意外にも、6年前の「シン・ゴジラ」よりも見劣りする……と思ったのだが、これも狙い通りなのだろう。
当時の円谷特撮でも、映画である「ゴジラ」と、連続TVシリーズの「ウルトラマン」は明確に差があった。この映画、正にそれを再現しているのだ。ウルトラマンはCGなのだが、妙にミニュチュア感のある背景、そして、くすんだ空は、TVのウルトラマンで観た円谷特撮スタジオの背景の空の色を再現しているのだ……ここまで再現してしまう、こだわりには、ここまでやるか、と思わせる。
それはキャストにも反映され、端役にまで名のある俳優を配した正に「オールスターキャスト」だった「シン・ゴジラ」に対し、こちらはそこまでは行かない――それでも、「シン・ゴジラ」との繋がりを邪推させる仕掛けがあり、油断は出来ないのだが。
物足りなかったのは、TVシリーズを1本の映画にしてしまったが故の慌ただしさ。「シン・ゴジラ」同様の早口での台詞の応酬、そして、メンバーの私生活描写の徹底排除などは許容範囲だが、ドラマを深堀出来ていないのは惜しい。これでは、ウルトラマンが、何故、神永に命を分け与え、それどころか、最後、その命を賭けて地球を守ろうとするのか、その動機が見えて来ないのだ――命懸けで子供を守る神永の献身、全力で地球を守ろうとする禍特対メンバーの熱い想い……そうしたものに尺を割いておかないといけないように思えた。
また、樋口真嗣演出は、地理的・空間的な描写と、細部のリアリティが今ひとつ……かつての樋口監督映画にあった、浮ついた台詞の応酬がなくなったのはよいが、こうした所は、庵野秀明との差を感じてしまう部分だ。
そして、やはり、これを庵野秀明演出で描いたらどうなっただろう、と言う興味が湧いてしまった。
PS
本作について、ネットでは「セクハラ描写が酷い、観るべきではない」とする声がある……長澤まさみ出演シーンで、彼女が出動時に気合いを入れる意味で、尻を叩く。場合によっては神永など同僚の尻も――まぁ、これは昭和のおっさんがよくやる事で、元“オヤジギャル”キャラを与えられた浅見分析官の個性であるのだが――これに、「尻を叩くのはセクハラ」って……うーん、これに違和感を感じないのは自分がアップデートされていないからかなぁ……?
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