水曜は、仕事の後、TOHOシネマズ海老名で、
「やがて海へと届く」。
これは、「四月の永い夢」がモスクワ国際映画祭で二冠を達成した中川龍太郎が、彩瀬まるの同題小説を映画化したもの。
岸井ゆきのと浜辺美波のW主演。
2005年、引っ込み思案で人見知りな真奈は、大学で、自由奔放なすみれと出会い親友になる。
大学卒業後も親交は続いていたが、ある年の春、すみれは「海を見に行く」と、ひとり旅に出たまま戻らなかった――そんな突然の別れから5年、真奈はすみれの不在をいまだ受け入れられずにいた。
そんなある日、真奈はすみれの元カレの訪問を受け、すみれの私物を整理したいと相談されて……
これは、最近多い、女性同士の親密な関係を描く映画……ただ、この映画の特色は、その関係を、なくした後から描く事。
喪失と再生ではなく、喪失そのものに向き合う内容は価値あるものと思うが、描写に面白みがなく、映画としては凡庸に感じた。
喪失の物語を、真奈とすみれだけでなく、東日本震災の被災者に重ねるのは、意外と言えば意外ではあった(ただ、物語の始まり時点を定めている事で気づくべきではあった)が、ちょっと腑に落ちるものではなかった。
すみれの最後が幻想的なアニメで描かれるのは手法としてはあり、とは思う――ただ、実写映画の中で違和感は拭い去り切れはしていないが――だが、その一方で、ふたりの出逢いから別れまでをすみれ視点でもう一度描いているのはくどいとしか思えなかった。確かに、これはすみれの言う「(人は)物事の片面しか見られないんだよ」と言う事の表現なのだが、視点が変わるだけで語られる事が大きく変わる物語ではないのだ。これなら、すみれのパートを全てアニメにした方がよかったのでは、と思ってしまった。
すみれを演じた浜辺美波は文句なし。岸井ゆきのは、浜辺美波よりも8つも年上なので、大学同級生としてどうか、と思ったが、さすが年齢不詳の岸井ゆきの、違和感は全くなし。彼女だからこそ、10年に及ぶ物語をひとりで演じ切れたのだと思う。孤独と喪失感を抱えた演技といい見事なものと思う。
それだけに、凡庸で冗長な印象を与える映画の作りが残念だった。
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