日曜は、昼から映画2本……まぁ、当初は、
「TITAN/チタン」
の1本を予定していたのだが、週末までまったくノーマークだった映画、
「女子高生に殺されたい」
が妙に評判がいい……よくある学園サスペンスだろ、と思っていたのだけど、おや?河合優実が出演してる。監督は城定秀夫だ……いや、これは面白そうだぞ。と急遽、予定に入れ込んだ。
そして、今日の1本目は、ブルク13で、
「TITAN/チタン」。
これは、「RAW 少女のめざめ」のジュリア・デュクルノー監督による第74回カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作。
主演は、本作が長編デビューとなるアガト・ルセル。
幼少時の交通事故によって頭蓋骨にチタンプレートが埋め込まれたアレクシア。彼女はそれ以来“車”に対する変質的な愛情と、人間に対する衝動的な暴力行為に駆られる――やがて、連続殺人により行き場を失ったアレクシアは、10年前に行方不明となった息子を探している消防士のヴィンセントの息子だと名乗り出て、身分を偽りながら彼の保護を受けるのだが……
これは、昨年のカンヌで「ドライブ・マイ・カー」に競り勝ってパルムドールとなった映画だが、これまた無愛想で、寡黙で、その癖、インパクトだけは強烈なものだ。
自動車ショーで、イベントコンパニオンとしてセクシーな踊りを見せつけたアレクシアが、夜、そのクルマに犯されると言う展開……その一方で、人との係わりが”無視”と”殺す”しかない彼女の偏った人間性……それがどうしてそうなったのか、映画は全く説明しないのだ。
物語はそうして、一切の説明を抜き、観客の理解も得ずに、セックスと暴力、そして殺人を見せつけ……そこから逃げ出した後で、息子を失った男の息子に成りすまして暮らす、奇妙な同棲生活を描いて行く。その中で生じる、クルマとのSEXの”結果”が、映画のクライマックスとなる。
難解な映画だが、描こうとするものは肉体の変容だろう。成長ではなく、人間として完成した肉体からの変容……”老い”と言う変容に加え、女性には”妊娠”と”出産”と言う変容もある……胎児を孕んで膨らむ腹、肥大して垂れる乳房と黒ずむ乳首……それをカメラの前に曝け出し、グロテスクなまでに誇張し、カリカチュアライズして描くのが本作の取り組みであり、それを以て、女性が、と言うよりも人が直面する己の変容を描き出すのだ。
また、主演のアガド・ルセルは、そんな映画の狙いに応え、正に全て曝け出して見せるのだが、そんな彼女が魅力的に、そしてセクシーに見えるのは冒頭と最後に見せるダンスシーンでいずれも着衣状態であり、ヌードを見せる事がセクシーではない、と言う表現もまた挑戦的だ。
これは一種のアートフィルムであり、そう見るならば寡黙なのも当然だ。
カンヌで評価されたのも、このインパクトと高い芸術性を考えれば納得は出来る、かも知れない……まぁ、かなり観客を選ぶ映画だとは思うけど。
続いて2本目もブルク13で、
「女子高生に殺されたい」。
これは、「帝一の國」や「ライチ☆光クラブ」の人気漫画家・古屋兎丸の画業20周年記念作を「アルプススタンドのはしの方」の城定秀夫監督が実写映画化したもの。
主演は田中圭、その元彼女に大島優子。「もみの家」の南沙良、「サマーフィルムにのって」の河合優実が生徒役で出演。
二鷹高校に、新任教師として東山春人が赴任――東山は、女子高生に殺されたいがために教師になった男だ。完全犯罪で、全力で殺されるという理想の殺され方を実現させるために、9年もの時間をかけ、緻密な自分殺害計画を密かに練って来た。
彼の完璧な計画が静かに進んで行く中、スクールカウンセラーとして、かつて東山の恋人だった深川五月がやって来て……
この映画、オートアサシノフィリア(自己暗殺性愛)と言う一種の性的倒錯を題材にしたもの。変態と呼ばれそうな性癖を、変態的に見せないのは、田中圭のキャラクターに負う部分もあるとは言え、日本映画としては珍しい抑制的な描写のせいだろう。アスペルガー症と解離性同一症の女子高生ふたりもそうだが、障害を個性として描く事が出来るのは、城定秀夫監督の非凡さの証。
物語としても凝っていて、構成としてミステリーの逆、最後に殺人があり、完璧に実行されるそれを、どのように組み立てて行くのか、と言う物語……ついつい、オートアサシノフィリアの東山が、ちゃんと殺されて欲しい、と応援してしまいたくなる、奇妙な吸引力がある。
ミステリーではないかも知れないが、これはこれで面白さがあった。
惜しいのは、エピローグのキレだ――自分としては、五月の「心って、何だろ」で締め括っていたらよかったと思うのだが。
うん、面白かった。やはり、河合優実出演作にハズレなし、だ。
ログインしてコメントを確認・投稿する