金曜は、休暇を取って映画三昧。今日は1日、ブルク13にこもって映画4本を観るのだ。
まず、1本目は、
「シルクロード.com」。
これは、ネットで麻薬販売を行い、最大1日100万ドルを売り上げた、史上最大のダークウェブ通販サイト「シルクロード」の誕生から設立者の逮捕までを描く、クライム・サスペンス。
天才的な頭脳に恵まれたロスは、無能な政府に縛られない自由な世界を作る為、麻薬など違法物を匿名で売買できるダークウェブサイトを立ち上げた。「シルクロード」と名付けたサイトは、やがて大きな取引の場となっていく。
当然、警察も「シルクロード」を取り締まろうとするが、ロスは絶対に身元がバレない強固なシステムを創り上げ、マフィアや麻薬カルテルでも手が出せないのに、警察のサイバー捜査が歯が立つ訳がない。
そんなサイバー捜査班に場違いな男がいた。リック・ボーデン、問題行動を起こし、麻薬捜査課から異動させられた中年男だ――20も若いボスは、リックに早期退職までの半年間、パソコンで動画でも見てろ、と相手にもしない。
だが、「シルクロード」の存在を知ったリックは、独学でサイバー捜査を学び、それに自ら麻薬取引を行って相手の懐に飛び込む、昔ながらの捜査で、「シルクロード」創設者、ロスに迫って行き……
これは、事実に基づくサスペンス。
現実に起きた事を、時系列通りに描いて行くので、いささか盛り上がりに欠けるのだが、この映画で魅力的なのは、やはり、ジェイソン・クラーク演じるリック・ボーデン。
事件に係わった2人の捜査官のエピソードを合わせてひとりにした、と言う事だが、このキャラクターと背景がいい。
時代遅れの現場主義、PC操作さえおぼつかなかった中年男が、それでも腐らず、懸命にPCを操って、天才と対峙するのだ――これは、リック同様、組織の中で、時代遅れになりかけている中年男にこそ響くものがある。
しかも、そこまで頑張る理由と言うのが、学習障害がある娘を、専門教育が受けられる学校に入れてやりたい、と言う親心……この娘のためにも、父は警察をクビになる訳にはいかないし、だからこそ、デカいホシを挙げてやろうと奮闘するのだ……こりゃもう、泣けてくるね。
知識と経験に、最新のスキルが加われば、おっさんだって若い連中に一泡吹かせてやれるんだ、と言う展開は痛快だし、娘のために一線を越えてしまった男が、それでも踏み止まったのは父親としての責任、と言うのにも胸が熱くなる。
何だか、中年男限定の映画のような気もするが、これはいい映画だ。
2本目は、
「真夜中乙女戦争」。
これは、作家Fのベストセラー青春小説をアイドルグループKing & Princeの永瀬廉主演で映画化したもの。
監督は、「チワワちゃん」の二宮健。
東京の大学に入学し、一人暮らしを始めた“私”だったが、友達も恋人もおらず、講義は恐ろしく退屈で、やりたいこともなりたいものもない。大学入学1ヶ月でこの世界に絶望してしまった“私”の退屈な日常は、凛々しく聡明な“先輩”との出会いや、謎の男“黒服”の出現により一変する。
カリスマ的魅力を持つ“黒服”は、“私”同様に孤独な同志たちを集め、やがて、その言動は激しさを増し、東京と言う都市を破壊する”真夜中乙女戦争”という壮大な計画となって……
これは、中二病ではなく、五月病に始まる……当初は、その独りよがりで幼稚、苦悩とも言えない愚痴を語るモノローグにうんざりさせられたが、“先輩”と“黒服”の登場により、正に映画自体が一変する。
“先輩”を演じた池田エライザの魅力は言うまでもないが、“黒服”を演じた柄本佑は正に文句なし。廃業した映画館を買い取り、そこで「映画はみんな観るもんだ」と仲間を集めて行く、あまりに映画的な展開に説得力を与えられるのは、芸能界随一のシネフィル、柄本佑の他にはいないだろう。
クライマックスの東京破壊計画は、さすがにやりすぎなような気がする――さすがに爆弾テロであそこまで破壊されるとは――が、ビジュアルとしてはなかなかだ。
だが、これとて、「ファイト・クラブ」と重なってしまうものだし、そこから四半世紀が経つ以上、それ以上のものを見せて欲しかったのが正直な所。
最低でも、“黒服”とは“私”の生み出した妄想で、”先輩”にフラれて不能となった“私”が再び勃起する為に東京を破壊しつくす、と言うような展開が欲しかった所だ。
現在の内容では、最近流行のJポップのように、ただただ綺麗にまとめてしまっているように思える。
3本目は、
「ライダーズ・オブ・ジャスティス」。
これは、「メン&チキン」のアナス・トマス・イェンセン監督とマッツ・ミケルセンが5度目のタッグを組んだアクション。
列車事故で妻を亡くした軍人のマークスは、事故は犯罪組織「ライダーズ・オブ・ジャスティス」が殺人事件の証人を暗殺するために仕組んだ事件だと聞き、復讐に身を投じるが……
この映画、突発的な事件を主軸とした偶然と必然、生と死などの哲学的なテーマが、陰惨な展開と、笑えないギャグに埋没してしまい、結果として何が言いたいのかよくわからなくなるという事になってしまった。
これでは。ドウェイン・ジョンソンと見間違えるほどいかつくパンプアップされたマッツ・ミケルセンの努力も報われないではないか。勿体ない。
4本目は、
「ザ・ミスフィッツ」。
これは、5代目ジェームズ・ボンドのピアース・ブロスナン主演のアクション大作。
監督は、「ドリヴン」のレニー・ハーリン。
凄腕怪盗集団・ミスフィッツは、悪人から大金を盗み、庶民に還元することをモットーとする現代の義賊だ。
そんな彼らが次に狙うのは、中東のテロリストの資金源となっている大量の金塊。砂漠の私営刑務所にある金塊を狙う為、彼らは、一匹狼の盗みのスペシャリストにして脱獄の名人、リチャード・ペイスを勧誘して……
この映画、ガイ・リッチー風にテンポよく、更に、枝葉を徹底的に削ぎ落とすことで、並の監督ならば二時間を越えそうな、盛り込み過ぎの脚本を90分台に収めている点は、さすが名人、レニー・ハーリンと言う所。
また、黒人、アラブ人、中国人、韓国人、と人種も性別もバラバラで、多様性を狙っている人物配置でありながら、ジェイミー・チャン演じるヴァイオレットは、南米出身と言う設定……韓国系のジェイミー・チャンは明らかにミスキャストで、ここはラテン系の女優が演じるべき役だろう。また、このヴァイオレットに、ピアース・ブロスナン演じるペイスがご執心な様子を見せるのだが、ちょっと年齢的に釣り合いがとれていない……サルマ・ハエックが演じればピッタリだったように思うのだが。
また、この種のケイパームービーとなれば、メンバーの特技と個性で、それぞれ見せ場を作るものだが、ペイスと、ホープ、リンゴの特技が何れも”詐欺”と“盗み”でダブってしまうのもいただけないし、70近い高齢のピアース・ブロスナンの動きも悪い……この辺り、人物設定から脚本の作り込み不足を感じる所だ。
また、市営刑務所所長のシュルツと、ペイスの因縁が省かれてしまっているのも惜しい所だ。
映画としては、シリーズ化を狙っているようだが、正直、この出来だと苦しいのではないだろうか。
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