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2021年12月07日23:35

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映画 「ダ・ヴィンチは誰に微笑む」感想

 これは、レオナルド・ダ・ヴィンチの最後の絵画作品とされる「サルバトール・ムンディ」を巡る謎を紐解くドキュメンタリー。
 監督は、フランス放送局で様々なドキュメンタリー作品を手がけてきたアントワーヌ・ヴィトキーヌ。

 2017年、発掘されたレオナルド・ダ・ヴィンチの最後の絵画「サルバトール・ムンディ」、通称“男性版モナ・リザ”が、クリスティーズのオークションで史上最高額となる510億円で落札された――これはニューヨークの美術商の“第六感”から始まった。競売会社のカタログに掲載された古い絵を見て、もしかしたらと閃いた美術商が13万円で落札したのだ。
 その後、彼らはロンドンの国立美術館に接触、専門家の鑑定を得た美術館は、ダ・ヴィンチの作品として展示する。そして、国立美術館のお墨付きをもらったこの絵には、あらゆる魑魅魍魎が群がり始める……ロシアの新興富豪、手数料を騙し取るバイヤー、そして、サウジアラビアの王子……ニューヨークの美術商が1億円で売り渡した絵は、やがて、ルーブル美術館をも巻き込んで……

 13万円の古い絵が、510億円に化ける……そんな馬鹿げた話を現実のものとしてしまう、美術ビジネスが現代の錬金術だと言う事を描く映画の内容は面白い。
 絵画「サルバトール・ムンディ」の作者が誰か?と言うのは、実は未だ決着のついていない問題であり、それは、ここまで大きな話になってしまえば、そう結論つけられるものではない……そうした事実を背景に、美術品の価格、と言うよりも、その価値の決まり方に軸足を置いた着眼点は秀逸。

 最初に、510億円での落札シーンを描いた後で、その絵が、十数年前までは、個人宅の地下室への階段に忘れられたように飾られていた、と言う事を示す展開には、引き込まれた。
 絵画の分析とクリーニング、その過程で、下書きにもう1本親指が描かれていた事が明かされる……と言う事実には興味を惹かれるし、古い絵画も、商品として綺麗に修復するアメリカと、歴史を重んじて修復を控える欧州、と言う対照的な構図には、美術品を巡る様々な事象が浮かび上がる。
 そうした美術史の謎を解くミステリー、そして、歴史ある美術品を巡る人々の人間模様も見応えがある。しかし、ドキュメンタリー映画としても、その演出はいささか平板で、利害関係や政治的駆け引きが繰り替えされる中盤以降には眠気を催してしまった。
 そんな終盤は、ルーブル美術館の矜持を見せつけられはしたものの、映画としては、もう一歩踏み込んで欲しかった感じ。最後も、巧くまとまっているんだけど、何だか物足らない印象だった。

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