土曜日は朝から雨……
今日は午後、ブルク13で、映画3本……いずれも戦争映画だ。
1本目は、
「ブレイブ −群青戦記−」。
これは、笠原真樹によるコミック「群青戦記 グンジョーセンキ」を「踊る大捜査線」シリーズの本広克行監督が実写映画化したもの。
主演は新田真剣佑、そして、昨年急逝した三浦春馬が出演している。
全国屈指のスポーツ名門校・星徳学院。
ある日一本の雷が校庭に落ちたのをきっかけに学校の外の見慣れた風景は見渡す限りの野原となり、校内に刀や斧で武装した野武士が乱入。容赦なく生徒や教師を殺戮していく。
弓道部で歴史オタクの西野蒼は、幼馴染みの遥や孝太と共に逃げるが、やがて校庭に追い詰められてしまう。
そこに若武者に率いられた武士の一群が現われ、野武士を追い払って殺戮の嵐は収まった。
若武者は、徳川元康と名乗り、その話から蒼は学校ごと戦国時代、「桶狭間の戦い」の直前にタイムスリップしてしまったことに気付く……
この映画だが、予告編を観た段階では、どうにも気乗りせず、期待せずに観たのだが……結論としては、これはなかなか見応えがあった。
学校ごとタイムスリップの直後から始まる殺戮の嵐……これはさすがにインパクトあり。問答無用で女子学生まで殺してしまうのには違和感もあったのだが、これも、不破が仕組んだ事だと考えれば納得が行くもの。
これで、一気に登場人物を減らしてしまうと共に、放課後の部活動中、と言う事で、それぞれがユニフォームを着ている事で、その特性が判り、群像劇を判り易くする見せ方もいい。
物語は、どうやら原作コミックを大幅改変しているようだが、物語を人質奪還と言うミッションひとつに絞り、そこに、原作でも物語の中心となる「主人公が徳川家康になる」と言う展開を無理なく盛り込んだのは、なかなか見事なものと思う。
戦国時代へのタイムスリップと言う事でどうしても比較してしまう、半村良の「戦国自衛隊」(映画ではなく原作小説の方)が見せた、歴史の修正劇として、「こう来るか」と感心した。
そんな訳で、物語的には魅力的に思うのだが、映画としては、幾つも気になる所あり。
まず、主人公の蒼が、自分に自信なくうじうじしているのに苛々。碇シンジじゃあるまいし、知恵も力もあって、想いもあるのに行動を起こさないのはどうしたものか……最近はこうした主人公が流行なのだろうか?
また、桶狭間の合戦時、家康は18歳……現在なら高校生の年齢なのだ。それを演じるのが三浦春馬と言うのはさすがに違和感があるし、最後にも繋がらない。ここは、新田真剣佑の二役でよかったのではないだろうか?(三浦春馬の見納めとなる本作でこれを言うのは心苦しいのだが)
あと、全体的にアクションシーンが冗長に感じるのも気になった。
それから、フェンシングの選手にチャンバラをやらせちゃダメだろう……そもそもあの剣はチャンバラをやるようには出来ていないのだから。むしろ、フェンシングならではの一瞬の早業で、鎧の隙を貫く、と言うアクションの見せ場を作って欲しかった所だ。
あれこれ言いたくなってしまうのも、物語に引き込まれたからのこと。
現代の熱くなれない若者が、一所懸命の生き方に目覚め、世界を守る為に人生の選択をする、と言う物語には力があると思う。
2本目は、
「ラスト・フル・メジャー 〜知られざる英雄の真実」。
これは、ベトナム戦争の知られざる英雄の真実に迫る実話を基にした社会派ドラマ。
主演は、セバスチャン・スタンだが、本作はキャストが超豪華。これが遺作となってしまったクリストファー・プラマーにピーター・フォンダ。そして、ウィリアム・ハートにエド・ハリスと名優がずらり。
1999年、ペンタゴン空軍省のハフマンは、30年以上も請願されてきた、ある兵士の名誉勲章授与の調査を行うことになる。
空軍省長官の辞任に伴う人事異動までの繋ぎ仕事として、気の乗らないまま調査を始めたホフマンは、退役軍人たちの話を聞くうちに、名誉勲章の授与を阻んでいた“不都合な真実”を知る事になるのだが……
物語は、ある兵士の勇気ある行動に勲章が与えられなかった理由を、ミステリー風に辿っていくヒューマンドラマ。
ただ、ミステリー風ではあるのだけど、これは決して謎解きがテーマではない。
ひとりの若者の見せた勇気、そして献身が、多くの兵士の命を救い、アメリカの名誉を守った……国家は、その献身に全力で応える義務があると言う事。そして、公僕として、それを行うのが正義である、と言うメッセージは感動的だ。
国民と国家の間に存在する信頼は、そうした正義から生まれるとするこの物語は、世界に共通すべきテーマを持っている。
そんな信頼関係が、この国にもあるとよいと思うのだけど。
3本目、
「アウトポスト」。
これは、2009年、アフガニスタンの米軍の前哨基地で発生した「カムデシュの戦い」をジェイク・タッパーのノンフィクションに基づいて映画化したもの。
キーティング前哨基地は、パキスタンからのタリバン侵入に備える任務を負っていた。だが、険しい山に囲まれた谷底の基地は、山側からは丸見えで、撃ち下ろしになるので射撃に有利だが、基地からは真逆……歴戦の兵士でさえ、絶句するような悪状況だった。
基地は、連日のようにタリバンの襲撃を受けており、これまでは少数の攻撃なので撃退出来ていたが、大規模攻撃を受けたら持ちこたえられないと危惧されていた。
米軍は撤退を決意するが、撤退を前に、数百人ものタリバン兵が基地を包囲し、猛攻撃が始まり……
戦闘が起きたのは10年ほど前で関係者の多くが存命、しかも、一部の兵士は本人役で映画出演もしており、この映画をリアルに作り込む事に貢献していると言う。
実際、オープンセットにより再現された基地で撮影された、臨場感抜群のシーンの数々は手に汗握るもので、ミリタリーアクション映画としては見応え充分。
最後のB−1爆撃機による航空支援の迫力も凄まじい――それにしても、長距離進攻出来る適当な機体がなかったのだろうが、戦略爆撃機を阻止攻撃に使う、と言う贅沢さはさすが米軍と言うべきか……
ただ、こんな所に基地を作ってしまった上級司令部の判断や、更には、そもそものアフガン出兵と、対テロ戦争の是非について語られる事はなく、映画の視点がいささか一方的であるのはさすがに気になった。
あと、映画は、アメリカが得意とする西部劇風に作られている――砦を守る守備隊、襲い来るインディアン、そして騎兵隊登場で大逆転!と言う展開だ。
映画の中で、騎兵隊役は戦闘ヘリコプターなのだが……その“騎兵隊登場”のシーンで、「アパッチ(AH64戦闘ヘリコプター)が来た!」と言う台詞が出るのはいささか皮肉が過ぎるのではないか?
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