金曜は、シネマジャック&ベティで、
「彼女は夢で踊る」。
これは、広島に実在するストリップ劇場を舞台にした物語。
主演は、加藤雅也。ストリッパー役としては「ジムノペディに乱れる」の岡村いずみの他、ベテランストリッパーの矢沢ようこが起用された。
閉館興行を控えた広島の老舗ストリップ劇場「広島㐧一劇場」。
社長の木下は、最後の舞台を前に過去の華やかな時代に思いを馳せる、久しく忘れていた昔の恋、そしてそこから始まったストリップ稼業を振り返る――
ヌードなどスマホでいくらでも見られる時代にストリップなど時代遅れと思われるかも知れないが、それでも根強く活動しているのが現実で、実際の「広島㐧一劇場」も、映画の通り二度も閉館宣言しながら再開し、「閉館詐欺」などと言われつつ今も変わらず営業している。
何と言われようとも、そこにしがみつく、その場所に特別な感情がある人がいる限り消え去るものではないのだろう……これは、そんな諦めの悪い中年男……いや、老人の物語。
本物の「広島㐧一劇場」で撮影された映像は貴重なものだろうし、舞台へ向か階段の壁を埋める無数のキスマークには心動かされる……そう、この場所はストリッパーの彼女らにも愛された場所だったのだ。
木下社長がストリップ劇場を預かるようになるまでを、はかなくも美しいロマンスと描き、ストリップ劇場とは、そんな悔恨と喪失感を抱えた大人のものと示す物語は、既に木下社長に近い年になってしまっただけに、共鳴するものがある。
そんな社長の若き日の想い人を演じるのは岡村いずみ。気まぐれな猫のようなコケティッシュが感じは個人的には好きなのだが……彼女がファム・ファタールと言うのには、ちょっと物足りなさも感じた。
クライマックスで矢沢ようこが見せる若い頃から変わらないプロポーションと、圧倒的なパフォーマンスを見せられると尚更だ。
(それにしても矢沢ようこは久々に見るが、酒焼けした声と、顔には年齢を感じさせられたが、舞台に上がったらもう……)
惜しいと思ったのは、これが木下社長のセンチメンタリズムに傾斜した思い込みではないか、と感じさせてしまう事。
舞台を守る者だけでなく、舞台に立つ者、観る者、そうした様々な思いを交錯させ、より普遍的な物語して欲しかったと思う。
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