水曜は、仕事の後、イオンシネマ座間で、
「#ハンド全力」。
これは、震災後の熊本で、ふとした事をきっかけにハンドボールに取り組む事になった高校生を描く青春映画。
監督は「君が君で君だ」の松居大悟。
主演は、かつて「こども店長」として知られた加藤清史郎。「天気の子」の醍醐虎汰朗。他に、鈴木福、仲野太賀、安達祐実、志田未来、とかつて子役として活躍した俳優が顔を揃え、これでヒロインが芦田愛菜だったりしたら、子役のオールスターキャストではないか、と思ってしまったり……
熊本地震後、仮設住宅で暮らす清田マサオは、夢中になれるものもなく、幼馴染みの岡本と共にインスタグラムに写真を投稿してはイイネ!の数に一喜一憂する日々。
ある日、3年前、ハンドボール部員だった頃に撮ったジャンプシュート中の“映える”一枚を何となく投稿した所、続々と応援コメントが寄せられ、イイネ!の数は増える一方。舞い上がったマサオハンドボールを頑張るフリをした写真や動画をねつ造し、ハッシュタグ“#ハンド全力”をつけた投稿を続けることに。
遂には高校のハンドボール部に声をかけられ、地元TV局が取材に来る騒ぎとなるが、マサオはそれでもハンドボールを頑張る気にはなれずにいた……
この映画は、青春・被災地・ハンドボール・SNSと言う、異色の組み合わせによる青春映画。
元々、熊本県とハンドボール協会からオファーがあっての企画で、こんな話を作ってしまうとは、松居大悟監督、さすがと言うか、ひねくれていると言うか……
また、被災者だから頑張れないのが主人公で、被災していないのに被災地に暮らす肩身の狭さや、被災地から転居した事を「逃げた」と後ろ指さされると言う事も描いて、被災地が「復興」に向けて全力で取り組んでいるばかりではない、と言う物語を、このコロナ禍がなければ「復興五輪」と銘打たれた東京五輪の直前に公開しようとしていたのだからいい度胸だ。
そして、そんな“頑張れない”被災者が明るみに出ると、世間から非難囂々と言う展開も、昨今の不寛容社会を反映しており、見事な着眼点と思う。
だが、そうした社会派とさえ言える見事な着眼点や、大胆とさえ言える設定と描写がありながら、この映画、そうした構成要素を上手く機能させられずにいるのがどうにももどかしい。
設定も、ドラマも、俳優の演技も悪くはなく、むしろいい方ではあるのに、これは何とも勿体ない。
また、ドラマ上のターニングポイントとなるマサオのインスタグラムの炎上についても、その引き金となった事や、炎上後の描写にリアリティがまるでない――マサオが撮影素材の動画を流した、と言う映画の描写よりも、マサオら男子ハンドボール部員がろくに練習などしていない事を学校のみなは知っているのだから、人気を嫉んだ校内の誰かが火を点けた、と言う方が自然なのではないだろうか?
リアリティを欠き、無理な描写となっているのは他にも散見されるし、季節感や時間経過がよく判らないのも弱点に感じた。
とにかく、素材も切り口もいいだけに、それを生かし切れていないのが惜しい。傑作となり得る要素は持っていたと思えるだけに尚更だ。
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