火曜は、仕事の後で、
「トールキン 旅のはじまり」。
これは、これは異世界ファンタジー小説の傑作にて、多くの物語に影響を与えた「指輪物語」の作者であるJ・R・R・トールキンの前半生を映画化したもの。
監督は、「トム・オブ・フィンランド」のドメ・カルコスキ。 主演はニコラス・ホルト。
父母を亡くし孤児となったロナウド・トールキンは母の友人のフランシス・モーガン神父が後見人となり、フォークナー夫人の家に下宿しながら、キング・エドワード校に通うが、奨学生で孤児の彼は孤立する。しかしケンカがきっかけで、厳格な校長の息子で画家志望のロバート・ギルソン、詩人を目指すジェフリー・スミス、ククラシック音楽家のクリストファー・ワイズマンという3人のかけがえのない友と出会う。自分たちの集まりを秘密クラブ“T.C.B.S”と名付け、彼らから刺激を受けたトールキンは、物語の創作力と絵の才能を磨いて行く。さらに、同じ家に下宿する3つ年上の女性エディス・ブラットとも絆を深めていく。
だが、第一次大戦が開戦、“T.C.B.S”の4人も戦場に身を投じて行くが……
映画は第一大戦の激戦場ソンムで、行方不明となったジェフリーを探して死地を彷徨うトールキンを描き、戦場での回想として過去を振り返る形で、彼の半生を描いて行く。
魅力的なエピソードは、やはり、“T.C.B.S”の結成と、それに並行して描かれるトールキンの恋。
そこで育まれた友情と愛情が、後に傑作な物語を生む、と言う展開はベタとは言え、感動的……時に、言語学の天才であるトールキンの才能を開花させたと言えるエディスとの初デートのシーンは心に残る――また、このシーンでは、2人の瞳を美しく撮ったカメラも印象的だった。
勿論、トールキンの言語の天才っぷりもしっかり描かれるが、この物語で語られる、言語は文化であり、記憶と物語を記録し、語り、影響を与えながら形作られて行く……言語の消失は文化のそれと等しく、だからこそ、古語を学び、物語を伝えていかねばならない、と言うテーマには感動した。
そして、もうひとつの柱となるのが第一次大戦。
両軍合わせて100万人以上が犠牲になった、第一次大戦最悪の戦場で、“T.C.B.S”の2人が命を落とし、トールキンも死にかける。もし、ここでトールキンが死んでいたら、あの「指輪物語」は生まれず、剣と魔法の世界を語る物語の様相は全く違ったものになっただろう。
“T.C.B.S”の目指す「世界を変える」と言う目的をトールキンのみが果たしたのだが、逆に戦争が、そのトールキンにも影響を与えた程の才能の活躍の機会を奪ったのだ、とも言える。
ソンムの100万人の他にも多くの犠牲を出した第一次大戦……それが、どれほどの若者の未来を、そして、世界を変える機会を奪ったのか、と考える時、戦争と言う大いなる無駄を考えさせられる映画だ。
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