夏休み3日目も映画三昧……うーん。天気は悪くないんだけどな、チケット既に買っちゃったからなぁ……
1本目は、シネマ・ジャック&ベティにて、
「ガラスの城の約束」
これは、「ショート・ターム」のデスティン・ダニエル・クレットン監督が、再びブリー・ラーソン主演で、ジャネット・ウォールズの同題の自叙伝を映画化したもの。
ニューヨークに暮らす人気コラムニストのジャネット・ウォールズが、裕福な金融アナリストと結婚間近な彼女が、関係を断った父との再会をきっかけに、今まで隠して生きてきた子供時代の想い出を呼び覚ましていくが……
アル中の父親、家事放棄している画家の母親に育てられた4人の子供たち。ジャネットは、母に代わって炊事を行った際に大やけどを負い、キッチンにはバターと砂糖しかなく子供たちは3日も空腹を抱えているのに父親はなけなしの金を掴んで街に行き、飲んでしまう……しかも、ホラ吹きで無責任な父は借金をしては夜逃げを繰り返す……と、とてもまともな家庭とは言いがたい。
それでも、そんな両親を憎めない、そんな家庭でも思い出は笑い話になる……と言う物語ですが、いくら実話とは言え、これを美談としていいものか。
確かに、両親は子供たちに愛情を注いではいたけれど、いつしかゴミ捨て場になってしまった“ガラスの城”に象徴されるように、それは嘘偽りの裏返しではないのか、と……ラストシーンの団らんは和やかであったけれど、それはその時、父が既に亡くなっていたからではないか、とも思える。
思い出は確かに美化されるものだけど、それにしても……と、複雑な思いにさせられた映画。
2本目もシネマ・ジャック&ベティにて、
「あなたの名前を呼べたなら」
これは、インドの女性監督、ロヘナ・ゲラの長編映画デビュー作。
ムンバイ。19歳で結婚、僅か4か月で夫を亡くしたラトナは、古いしきたりで再婚も出来ず、大手ゼネコン企業の御曹司、アシュヴィンの家でメイドとして働き始める。
一方、アシュヴィンは、婚約者の浮気が原因で結婚が破談。新居で2人で暮らすアシュヴィンとラトナは、次第に距離を縮めていくが……
メイドと主人の、身分違いの許されぬ恋、と言う古典的な物語――殆ど「エマ」の世界なんですが――が、未だ成立するのがインドならでは。
しかし、それをメロドラマにするのではなく、女性の自立をテーマに掲げる辺りが、アメリカで育ったインド女性、ロヘナ・ゲラならではのセンスだろう。
インド映画としても小予算で、歌も踊りも挿入されず、インディーズ作品と言う事で本国で公開さえされていないそうで、インド映画と言うよりも、インドを舞台とした欧米の社会派映画のような雰囲気さえある。
夫を亡くした、と言う事で郷里の村では既に死人も同様の扱いだったラトナは、因習から解き放たれたムンバイで自由を得、服飾デザイナーになりたい、と言う夢に向かって進む――生家に縛られ、嫁いでからは婚家に縛られるのではなく、ひとりの人間として社会に向き合って生きて行く……その姿に好感を持ったからこそ、アシュヴィンは恋に落ちる……そう言うテーマを持っているだけに、終盤の展開、そして最後のラトナの台詞が心に残った。
3本目は、イオンシネマ港北NTにて、
「シークレット・スーパースター」
これは、インドのスーパースターであるアーミル・カーンが製作・出演した人間ドラマ。
出演は、「ダンガル きっと、つよくなる」のザイラー・ワシーム。
14歳の少女インシアの夢は歌手になること。しかし、ムスリムで厳格な父は、イスラムの教えから女が社会的に活躍することを望まず、歌手になる事など出来そうにない。実際、母は些細な事で日常的に殴打されており、歌手になろうものなら殺されかねない。
そこで彼女は、ヒジャブで顔を隠して歌った動画をYouTubeにアップするが……
この映画もまたインド社会で抑圧された女性の苦しみと、その箍を打ち壊して行く若い才能を描くもの。
インシアは、顔を隠した歌声だけで話題となり、やがて有力者の助力を得、その紹介で弁護士を雇って暴力的な父と離縁すべく、母の離婚手続きを進めて行く……基本的には、歌手になりたい少女のサクセスを描くもので、歌と踊りもしっかり、スーパースターであるアーミル・カーンもしっかり存在感を見せる娯楽作だけど、そこに女性の人権や、宗教的、あるいは社会的因習を問題視する社会派メッセージも盛り込まれているのはさすが。
気になるのは、家父長制な家庭像や、その中での女性の地位の低さ、女性へのDVなどがムスリムに関連付けられそうな辺りですが……自身もムスリムであるアーミル・カーンは勿論配慮しているのだろうけど。
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