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2018年07月29日20:46

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週末の映画

 この週末……拡大公開系でめぼしい映画なし。「コード・ブルー」の1本きりだものな、これはヒドい……こうなると、今週は単館公開系の小品を追いかけるしかない。
 そうなると都内に出ないとならない訳で、結局、金曜は映画を観に行こうにも行けず、家に直行。
 土曜は、台風が来る中、東京都内へ……

 でもって、まずは1本目。角川シネマ有楽町で「ウインド・リバー」を観る。
 これは、「ボーダーライン」脚本のテイラー・シェリダン初監督作品。
 出演は、ジェレミー・レナーにエリザベス・オルセンと言う、「アベンジャーズ」出演俳優コンビだ。

 ワイオミング州ウインド・リバーの先住民居留地で、野生生物局職員でハンターのコリーは、雪原で少女の遺体を発見。地元警察は動けず、FBIの出動を要請するが、FBIの新人捜査官のジェーンは冬装備すら持ち合わせていない有様で、コリーは彼女の捜査に協力する事になるが……

 これは、テイラー・シェリダン監督が先住民居留地の差別的な状況を告発する目的で製作したもの。
 何しろ、このウインド・リバー居留地は鹿児島県程の面積に警官が6人しかいない有様。しかも、その地元警察には居留地内での捜査は認められていない。居留地は連邦直轄となっているので州政府は関与出来ず、連邦警察であるFBIに出動して貰わないとならないのだ。しかも、FBIは連邦法により殺人など第一級犯罪にしか関われず、レイプなどは対象外。
 その為、先住民女性に対する性犯罪やそれに関連すると思しき行方不明などは捜査の対象にさえならず、全米の平均の数倍で発生……と言うよりも捜査対象にならないので統計すら取られていない、と言う状況なのだとか。
 そんな、目に余る地域格差、と言うよりも、人種格差を訴える目的で作られたこの物語――ある意味、こうした予備知識なしでは日本人には理解しがたいものかも知れない。
 ただ、そんな土地故、未だに全員が武装し、公権力に頼る前に実力で何とかしよう、と言う……殆ど西部劇の世界になっているのは、ある意味で見物で、それを西部劇さながらのエンタテイメントとしてまとめあげているのはさすがだ。
 これもまたアメリカの現実なのだ、と言う点で、映画の中の光景以上に薄ら寒い思いをさせられる映画だ。

 1本目の後、昼食はタイメシ。
 フォト
 久々のガパオは美味かったけど、トムヤンスープが辛すぎた。

 その後、新宿・シネマカリテに移動し、本日の2本目はこれまた寒い映画、「マイナス21℃」。
 これは、厳寒の山で遭難した元プロアイスホッケー選手の実話を「ニード・フォー・スピード」のスコット・ウォー監督がジョシュ・ハートネット主演で映画化したもの。

 元プロアイスホッケー選手のエリックは、シエラネバダ山脈のスキー場でスノーボードを楽しんでいる最中、立入禁止区域となっている林中に踏み込む。折り悪く、吹雪が来てエリックは視界を失い、道に迷ってしまう。
 食料も装備もなく、手元にあるのはスノーボード1枚と携帯電話とラジオのみ……エリックは山中を彷徨って……

 これは実際に起きた遭難譚なのだけど、物語としてはプロのプレッシャーに負けて薬物に溺れた男の再生譚になっているのがミソ。
 まぁ、それまでの人生を棒に振った薬物への依存を断ち切るには、この位の試練が必要だった、と言う事か……それにしても、凍った湖に転落、びしょ濡れになった衣服を乾かさないと凍死する、と全裸になると言う判断も凄いし、凍傷で壊死した自分の足の肉を食って飢えを凌ぐ、と言うのも凄まじい。
 そして、氷点下の中、8日間にも及ぶ彷徨を生き延びたのもプロアスリートの体力あっての事だろうか……?
 ただ、この映画、日本では妙に評価が厳しい。
 やはり、主人公が薬物中毒である、と言う所にひっかかり、これを機に立ち直る事が出来た、と言うのがやはり気に入らないのだろう。
 日本は「薬止めますか、人間止めますか」と言うように、一度手を出したら、「もう人間ではない」と言う“潔癖社会”だからかなぁ……
 
 結局、この日は台風の中を移動したのだけど、何と傘は一度も使わず終い。

 日曜日は、午前中ぐうたら、昼前に家を出て、昼食は新宿駅のコーヒースタンドでサンドイッチ。
 その後、新宿武蔵野館で2本。
 1本目は、「クレイジー・フォー・マウンテン」。
 これは、世界の名峰に挑む登山家やアスリートたちを追ったドキュメンタリー。
 荘厳なオーケストラ演奏をバックに、エベレストやモンブラン、デナリなど世界屈指の難関峰に挑む登山家や、ロープを付けずに垂直の岩壁を登頂するクライマー、テーブルマウンテンの間にワイヤーを張って綱渡りをする姿など、息を呑む、と言うか身が竦むような映像が展開する。

 これ、予告編映像はいささかミスリードをさせるもので、山を舞台にしたエクストリームスポーツの映画か、と思うとそんな描写は一部でしかなく、母なる地球が数億年もの歳月を費やし創り上げてきた岩と氷からなる造形である山と、それに向き合う人々の姿を描くもの。(原題は単に「MOUNTAIN」なのだ)
 古来、尊厳たる山は神々の居場所であり、同時に悪魔の居場所。
 高山で空気が薄くなり、力を奪われて行くのは古の人々には悪魔の技としか思えなかったろう。また、悪魔が山羊の顔を持つ、と言う事にあらためて納得してしまったり……
 また、高所恐怖症の人には見ていられないようなシーンの連続で、高いところが平気な自分でも、ぞくっとするようなシーンが幾度もあった。

 2本目は、「ヒトラーを欺いた黄色い星」。
 第二次世界大戦下のベルリンで、ナチスの迫害を逃れて戦後まで生き抜いたユダヤ人4人の実話を、本人たちへのインタビューや記録映像を交えて映画化したもの。
 フォト
 1942年、ベルリン。軍需工場の工員だと嘘をつき、収容所送りを免れたユダヤ人の青年ツィオマは、出征前の兵士だと身分を偽って市内の空き部屋を転々。やがて、彼はカウフマンという男に手先の器用さを認められ、ユダヤ人の身分証偽造を請け負うことになるが……

 1943年、ナチスはベルリンからユダヤ人が一掃されたと発表するが、その時点でベルリン市内には7000人のユダヤ人が潜伏。そのうち、1500人が終戦まで生き延びている。 
 潜伏ユダヤ人の存在は「アンネの日記」のアンネ・フランクがよく知られているが、子供だった彼女はただ身を潜めていればよかったのだが、大人はそうは行かない。
 身分を偽り、協力者の元を転々とし、そして、どのように食い扶持を確保していたのか――ある者は書類偽造で稼ぎ(何と、その稼ぎでヨットを購入して船遊びを楽しんでいた!)、反抗組織として活動し、何とドイツ軍将校の家で家政婦として働いてさえいた――そんな、歴史の彼方に埋もれて行こうとしていたエピソードを、掘り起こし、世界に知らしめ、後生に伝えて行こうとするのは重要な事だと思う。
 それにしても、一々「ヒトラー」の名前を出すのはそろそろ止めにした方がいいのではないか、と……
 
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