阿呆な総理が決めて下が従うトップダウン型の政策決定だけは止めてほしい。
中選挙区制では大政党に公認されなくても当選する可能性が高かったが、小選挙区制や比例代表制では大政党の公認をもらえないと当選しにくくなる。個々の議員にとっては公認をとれるかどうかが死活問題となったため、公認権を持つ党首に従うようになった(2005年の総選挙で、小泉政権が郵政民営化に造反した議員を公認せず、「刺客」を放ったことを思い出されたい)。
それで与党内では誰もアホノ…いやアベノミクスに逆らえなくなってしまったということなのだろう。
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イギリスの政治と日本の政治 何が違うのか 内山融・東京大学大学院教授 7
2015年05月04日 12:01 THE PAGE
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[写真]今月7日、イギリス議会下院の650議席を巡って総選挙の投票が行われる。(ロイター/アフロ)
5月7日にイギリスで下院の総選挙が予定されている。この機会に、イギリスの政治と日本の政治を比較して、どこが違っており、どこが似ているのか、考えてみたい。
モデルとしてのイギリス
日本では、イギリスの政治をモデルとする考え方がしばしば見られる。1990年代には、イギリスのような二大政党制や政権交代可能な政治を成立させるために小選挙区制を導入すべきだとの論調が強かった。2009年に発足した民主党政権は、「政治主導」を進めるにあたってイギリスの仕組みを参考にした。このようにイギリス政治がモデルとされてきたのは、イギリスが議院内閣制の母国であり、日本も同様の統治制度を採用していることや、それにもかかわらず日英では統治制度の運用実態が大きく異なっていたことが背景にあると考えられる。
首相のリーダーシップ
統治制度として、日本もイギリスも議院内閣制をとっている。すなわち、両国とも、国民が国会議員を選挙し、そうして選ばれた国会(正確に言えば、日本では衆議院、イギリスでは下院)での多数派が内閣を構成するという仕組みである。
このように統治制度が似ているにもかかわらず、日本とイギリスではその運用の実態に対照的な面がある。ここではまず、1990年代頃までの日本政治、つまり小泉政権以前の日本政治に話を絞っておこう。大きな違いは、政策決定における首相のリーダーシップの役割である。
ひとことで言えば、イギリスでは、政策決定において首相や内閣のリーダーシップが強く働く。上が決めて下が従うトップダウン型の政策決定なのである。一方、かつての日本では、官僚や族議員(各政策分野に専門化した議員のことで、建設族・農林族などと呼ばれる)の力が強かった。政策決定においては、官僚が族議員と相談しつつ政策を作り上げ、首相や内閣はそれをほぼそのまま認めることが多かった。つまり、下から積み上げていくボトムアップ型の政策決定であった。民主党政権が「脱官僚支配」を主唱したのも、このように官僚が大きな影響力を持っていたことを反映している。
なぜそのような違いが生じたのか。その原因として、第一には政党のあり方の違いが挙げられる。日本の政党と比べて、イギリスの政党の方が強い求心力を持つということである。すなわち、イギリスでは、党首を中心に所属議員が団結する傾向にある。一方、かつての日本の政党の多くは、そうした求心力が比較的弱かった。
政党の求心力の違いは、個々の議員がどれだけ政党に依存しているかによる。日本の主要政党では、議員個人が後援会という支持組織を持っており、政治資金も多くは議員個人が企業・団体献金などの形で調達していたため、議員が政党に依存する度合いは低かった。そのため、党本部の方針から割合に自立して行動することができた(党本部が掲げる政策と正反対の公約を地元で唱える候補者もしばしば見られた)。
それに対して、イギリスの政党では、政治活動は個人的な組織でなく政党の組織に基づいて行われるし、政治資金も基本的に政党により与えられる。このように票や資金の面で議員が政党に依存しているため、党の求心力が高くなる。議員は党首の意向に従いがちになるのである。
第二に、内閣のあり方と、各省庁での大臣の主導権も異なっていた。イギリスの内閣は首相を中心とした求心力が強く、内閣としてまとまった意思決定を行う傾向にあるが、従来の日本では、閣内での各省大臣の自律性が高く、大臣が各省官僚の代表として行動する面が強かった。首相が必ずしも内閣をまとめられなかったのである。各省庁においても、イギリスでは大臣が主導権を発揮して政策を決定するのが一般的であるが、日本では、官僚の立案した政策を大臣が了承することが多かった。
このように、政党のあり方の違いと、内閣・各省庁での首相・大臣の主導権の違いが、日本とイギリスのリーダーシップの違いをもたらしていた。日本では、族議員の活動を首相(=与党党首)がコントロールしきれず、官僚の主導も許していた。イギリスでは、首相が与党議員と官僚に対して大きな主導権を有していた。
日本政治のイギリス化?
最初に「まず小泉政権以前の日本政治に話を絞る」と断った。21世紀に入ってからの日本政治は、上記のようなものから大きな変化を見せたからである。すなわち、選挙制度改革や中央省庁等改革が実施されたことにより、首相のリーダーシップが大きくなり、トップダウン型の政策決定が行われるようになった。
1994年に実現した選挙制度改革では、衆議院の選挙制度をそれまでの中選挙区制(定数が3から5)から小選挙区比例代表並立制に変えた。中選挙区制では大政党に公認されなくても当選する可能性が高かったが、小選挙区制や比例代表制では大政党の公認をもらえないと当選しにくくなる。個々の議員にとっては公認をとれるかどうかが死活問題となったため、公認権を持つ党首に従うようになった(2005年の総選挙で、小泉政権が郵政民営化に造反した議員を公認せず、「刺客」を放ったことを思い出されたい)。
2001年から実施された中央省庁等改革では、内閣府の新設や内閣官房の強化、副大臣制の導入など、首相と大臣を補佐する仕組みが増強された。そのため、各省庁の官僚に対しても首相・大臣が主導権を振るえるようになった。小泉構造改革、民主党の政治主導、安倍政権の官邸主導など、21世紀になってからトップダウン型の政治運営が目立つようになったのはこのような事情である。
いわば、近年の日本政治はイギリス型に接近してきた。自民と民主の二大政党制が成立し、政権交代も実現したという点でも、日本政治が「イギリス化」してきたといえよう。
もっとも、日英の相違はまだ残っている。日本でも党本部の権限が強くなったとはいえ、個々の議員が後援会に依存して選挙戦を戦う仕組みは基本的に変わっていない。イギリスの上院(貴族院)は下院に対して弱い権限しか持たないが、日本の参議院は強い権限を持っている。これらの点で、日本政治は完全にはイギリス型になりきれないかもしれない。
イギリス政治の変化
一方、イギリス政治も変わりつつある。イギリスは保守・労働の二大政党制であると見られてきたが、近年、多党化が進んでいる。2010年の総選挙では過半数をとる政党が出なかったため、保守党・自由民主党の連立政権となった。また、EUからの離脱を唱える英国独立党(UKIP)、女性党首ニコラ・スタージョン率いるスコットランド民族党(SNP)などの中小政党も支持を増やしている。5月7日の総選挙でも、過半数をとる政党が出ないとの予想が強い(「ハング・パーラメント」(宙ぶらりんの議会)と呼ばれる)。
以上のとおり、日本政治はイギリス政治に接近しつつある一方、イギリス政治自体も変わりつつある。両者がいっそう近づくのか、そうならないのか、ことによると入れ替わるのか、今後の展開が注目される。
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内山 融(うちやま ゆう)
東京大学大学院総合文化研究科教授。専門は日本政治・比較政治。著書に、『小泉政権』(中公新書)、『現代日本の国家と市場』(東京大学出版会)など。
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