そもそも4バックシステムにおいて流れの中でマイボールのときにDFラインに4人並べているチームがあるだろうか? ボランチの1人がリベロになって3バックをとるのとサイドバックが残ってそうなるのと二通りあるが…アギーレの場合は前者であるということを明言してしまったということ?
3バックシステムにおいて守備に回ったときに両ウィングバックが最終ラインに入って5バックになるのは普通。昨季のサンフレッチェ広島や浦和レッズがそれだ。
■アギーレの可変システムは機能するか ── 長谷部のポジショニングを注視せよ
(THE PAGE - 01月10日 07:10)
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アギーレの可変システムは機能するか ── 長谷部のポジショニングを注視せよ 11
2015年01月10日 07:10 THE PAGE
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通常時の4-3-3
2大会連続5度目のアジアカップ制覇を目指す日本代表が、12日にパレスチナ代表とのグループリーグ初戦を迎える。アギーレジャパンが臨む初めての公式戦となるが、ハビエル・アギーレ監督の下で行われた6つの国際親善試合を見て、ちょっと混乱をきたしたファンもいるのではないだろうか。
アギーレ監督は「4‐3‐3システム」を基本にすえると明言していたが、実際には最終ラインが3枚になっているときもあれば、前線が1トップ気味になっているときもあった。試合中にシステムが多様に変化している理由は、指揮官のこの言葉から紐解くことができる。
「私の『4‐3‐3』はボールを持てば『3‐4‐3』に、相手ボールのときは『4‐1‐4‐1』になる」
基本とするスタートポジションから、状況によって選手の配置を変える。いわゆる「可変システム」が導入されているわけだが、具体的にはどのように選手が動くのか。
逆三角形型で構成される「4‐3‐3システム」の中盤で、ちょうど三角形の底の位置に入るアンカーと呼ばれる選手の動きをたどっていけば最もわかりやすいだろう。
マイボールになると、アンカーはセンターバックの間に下がって3バックを形成。それまでの左右のサイドバックが高い位置取りとなって「3‐4‐3システム」に変わる。相手ボールになるとアンカーが元の位置に戻り、前線の「3」の左右が下がってアンカーの前に4人が並ぶ「4‐1‐4‐1システム」となる。
アギーレ流の「可変システム」のメリットは、攻守両面で相手よりも多い人数をかけられること。攻撃時は左右のサイドバックがウイングのような役割を果たし、守備時には自陣に強固なブロックを形成することで、ボールを奪ってから速攻を仕掛けることができる。
アンカーを配置する戦い方は、岡田武史監督の下でベスト16に進出したワールドカップ南アフリカ大会でも採用されている。当時は「4‐1‐4‐1システム」のままで、アンカーを務めた阿部勇樹(浦和レッズ)は基本的に最終ラインの前で守備に徹していた。
アギーレジャパンでは、アンカーに求められる要素は多岐にわたる。豊富な運動量と高度な判断力はもちろんのこと、最終ラインに下がって攻撃の起点となるときは長短のパスを正確に配球することが、相手ボールのときには危機察知能力をはたらかせながら前にいる4人を動かすことが特に重要な仕事となる。
アギーレ監督は初陣から森重真人(FC東京)、細貝萌(ヘルタ・ベルリン)、田口泰士(名古屋グランパス)をアンカーとして起用してきたが、上手く機能したとは言い難い。森重は10月以降の国際親善試合で本職のセンターバックに専念し、細貝と田口はアジアカップ代表に名前を連ねていない。
アジアカップ本番でアンカーに配置されるのは、長谷部誠(フランクフルト)で間違いない。アギーレジャパンの初陣となった9月のウルグアイ代表戦の直前に負傷で戦線離脱し、10月の国際親善試合では招集されなかった。
しかし、その間に所属するフランクフルトでアンカーに定着。前半戦を終えたブンデスリーガで全17試合に先発し、長谷部自身が「いままでのキャリアで一番充実している」と手応えを感じている。実際、ホンジュラス、オーストラリア両代表と対戦した11月の国際親善試合で復帰すると、アンカーとして可変システムを巧みに司って連勝に貢献した。
元日本代表MFで現在は解説者を務める水沼貴史氏は、長谷部が他のアンカー候補よりも秀でている点として「サッカー理解度の高さ」を挙げる。
「ピッチにおいて目の前で起こっている現象をどのようにとらえるかで、プレーの選択肢は変わってくる。相手に自在に合わせることができれば一番いいわけで、その点で言えばすべての選手たちにサッカーを理解する能力が求められる。その中で長谷部はどんな状況に対しても融通が利き、試合中に頭の中でいろいろと変えられる点で、サッカーを理解する力が高い選手の一人と言える。ドイツにわたって8年目を迎え、その間にワールドカップに2度出場し、お手本になるような選手も実際にその目で見てきた。そうした経験の数々に裏打ちされた力だと思う」
たとえば11月のオーストラリア戦では、アンカーを務める長谷部の左右に広がるスペースを執拗に狙われた。日本が劣勢に回る時間帯が続いた中で、長谷部は前方でインサイドハーフを務める遠藤保仁(ガンバ大阪)と幾度となくシステム変更の相談を重ねている。
最終的にはアギーレ監督のゴーサインを受けて、前半35分過ぎから遠藤を下げてダブルボランチにスイッチ。遠藤とインサイドハーフを組んでいた香川真司(ドルトムント)がトップ下となり、武藤嘉紀(FC東京)と本田の両ウイングが一列下がって、香川とともに2列目を形成した。
つまり「4‐3‐3」から「4‐2‐3‐1」へのチェンジもまた「可変システム」となる。前出の水沼氏も「ある意味では、存在するすべてのシステムが可変と言える」とこう続ける。
「たとえば『4‐2‐3‐1』のトップ下を前線に上げれば『4‐4‐2』になる。実際に試合が始まれば相手もいるし、上手く機能していない選手がいると判断すれば、指示されていたスタートポジションから当然変えるべきだろう。システムというものは基本的に攻めやすさ、守りやすさに則っている必要がある。アギーレ監督が採用しているシステムも同様で、ビルドアップのときに『3‐4‐3』となるのも、相手のシステムやプレッシャーのかけ方によって変わってくる。守備のときには『4‐1‐4‐1』に加えて、ボランチを3枚にする『4‐3‐2‐1』や状況によっては『4‐5‐1』にもなることができる。もっとも、システムはサッカーを見る上での目安にはなるけど、必要以上に数字にとらわれることもないと思う」
オーストラリア戦で「4‐2‐3‐1システム」にスイッチしたように、アギーレ監督は「4‐3‐3」をベースとしながらも、状況によっては柔軟に対処する姿勢を打ち出している。可変システムのキーマンとなる長谷部も、アギーレ監督の戦術にこう言及している。
「はっきりしているのは、勝負に徹する監督ということ。『3‐4‐3』は日本人にはあまり馴染みがないかもしれないけど、世界ではスタンダードになってきている。いろいろな形をもっておく意味でトライすることはいいことだと思います」
アルベルト・ザッケローニ前監督は「4‐2‐3‐1システム」をベースに、日本が主導権を握り続けるサッカーを追い求め続けた。ワールドカップ・ブラジル大会までの過程で、代名詞でもある「3‐4‐3システム」に幾度となくトライしたが、選手の消化不良もあって最終的には断念している。
翻ってメキシコ代表監督としてワールドカップを2度経験している百戦錬磨のアギーレ監督は、相手の出方によって押すときもあれば引くときもある戦い方を構築しようとしている。その意味では「4‐3‐3」が、「3‐4‐3」とも「4‐1‐4‐1」とも異なるシステムに変貌することも考えられるわけだ。
ヨーロッパではドイツの強豪バイエルン・ミュンヘンが、指揮官ペップ・グァルディオラのカリスマ性の下で、今シーズンから導入した3バックを含めて実に5通りのシステムをときには試合中に使い分け、ブンデスリーガとUEFAチャンピオンズリーグで圧倒的な力の差を示している。
日本ではサンフレッチェ広島が「3‐6‐1」から攻撃時に「4‐1‐5」、守備時には「5‐4‐1」にチェンジする可変システムを編み出して2012年シーズンからJ1を連覇。浦和レッズも同じ戦い方を採用し、最後に失速したものの、昨シーズンは8年ぶりの優勝まであと一歩のところまで迫った。
バイエルンとも、そしてサンフレッチェやレッズとも異なるアギーレジャパンの可変システムはいまだ発展途上。連覇を期待されるアジアカップでどのような変貌を遂げていくのか。長谷部の位置取りに注目しながら目を凝らしてシステムをチェックしてみるのも、また一興かもしれない。
(文責・藤江直人/スポーツライター)
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