正しく知ろう北方領土コミュの尖閣諸島問題について　①

尖閣諸島問題についてあまりにもいい加減なことを書く者たちがいるから、一言書いておきたい。
トピずれであるからこのトピに尖閣諸島問題は書きたくないのであるが、Mixiは参加メンバーがいないと一か月で記事が削除されてしまうため、記録が残るここにトピずれの記事を書くことをお許しいただきたい。

まず、「無主地先占の法理」を否定する者たちがいるようだが、無主地先占の法理は現在でも確実に成り立っている法理であり、現在の国際法においてこれを否定することはできない。
無主地先占の法理というのは、国際法の父グロチウスが説いたように「誰も所有者がいない土地（無主地）については、一番先に見つけて領有を宣言した国の物になる」とする考え方のことだ。
その場合の「無主」という概念において、国家を形成することができなかった弱小勢力の現地人たちは考慮されない。
この考え方が気に食わないからと言ってそれを否定すれば、たとえば「ブラジル、メキシコ、アメリカ、カナダ」などの新大陸の国々はどれもヨーロッパ人たちによる「発見と領有」の歴史に基礎をおいて作られたものであるから「それらの国々は、インディアンやインディオなどの先住民たちに土地を返して出て行くべきだ」と結論されることになり、世界秩序が崩壊してしまう。
ロシアついても同様に悲惨な結論に至ることになる。
ロシアは、昔はポーランドよりも小さく、さらに中国の元（キプチャクハン国）により支配されて国自体が消えてしまったこともある。
そういう弱小状態の国であったのに、ロシアは、今では日本の５０倍弱の国土面積を持ち、その中に約１９０の民族を内包している。
これが何を意味しているかと言えば、ポーランドよりも小さかったロシアが次々と東方征圧を行い、多くの民族とその土地を飲み込んで今のロシアになっているという事だ。
先進（ヨーロッパ）諸国から見た「無主の地」という考え方を否定すれば、新大陸の国々やロシアなどが否定されて現在の国際秩序は崩壊するのであり、下手をすれば再び戦争に次ぐ戦争により国境を画定させることになってしまうから、「無主地先占の法理」は現在でも非常に有効な法原理であり否定することはできない。
ただし、現在では地球上の１０ｃｍ四方でさえ人工衛星から監視される時代になっているから、現在より後の未来においては「無主地の発見」ということは特殊事例を除いてありえないことなのは確かだ。

さて、無主地についてどこかの国（先進列強国）が最初に発見し領有を宣言した場合でも、「実効支配」をしていなければ、今度は「きちんと自国領として管理していなかった」という意味において、その地に対する領有権が否定されることになる。
「実効支配」の考え方は以下で説明したから、ここでは再び説明しない。

https://mixi.jp/view_bbs.pl?comm_id=6345456&id=95170090&comment_count=0

つまり、ある国にある土地の領有が認められるためには、「無主地を最初に発見して領有を宣言した（無主地の先占）」ということを行った上で「それ以降もその土地に対する実効支配も継続して行っていた」という二つの条件を満たすことが必要になる。
二つのそれぞれ異なる条件が満たされたときに、初めて、その土地がその国の領土として認められるということになる。

では、問題の尖閣諸島について、中国が歴史的にどのように扱っていたのかを振り返ってみると、

　（１）「中国が先に発見し領有を宣言していた」という主張が怪しい上に
　（２）「中国が尖閣諸島を実効支配していたという痕跡」が存在しない

という事が言える。
このうち（１）の「日中どちらが先に尖閣諸島を発見していたか」については、どちらとも言えず真偽は不明だ。
（１）の「領有の宣言」については、最初期の「大明一統志」やその後の「皇明実録」などにおいて、明の支配領域が海上に及んでいないと記述されていることが、日本側から痛烈に指摘されている。
（１）の「尖閣諸島の領有宣言」に関しては、その他にも多くの文献が存在し、日中それぞれが自説の有効性を主張している。（いずれの文献についても、中国側の主張は日本側により完全に論破されている。）
しかし、（１）ではなく（２）の事実に注目すれば、あまたの文献をつぶさに検討するまでもなく問題の答えが出る。
故に、以下に（２）の事実について書いて行こうと思う。

話を始める前に、高校世界史で嫌と言うほど習った「中華思想」について振り返っておこう。
中華思想と言うのは、「中国の中央部の土地だけが文明を持った人間である中国人が住む土地であり、中国人だけが文明人であり、中国以外の四方の土地は文明を持たない野蛮人たちの住む土地だ」というように、今で言えば「絶対的な中国ファースト」の超選民思想だ。
故に、彼らは、彼らの土地から見て東に住んでいた日本人などを「東夷（東の野蛮人）」と呼び、西に住んでいた中央アジアの人々を「西戎（西の未開の土民）」と呼び、南の東南アジアの人々のことを「南蛮（南の蛮族）」と呼び、北のモンゴルや満州などの人たちのことを「北狄（北の宿なしの蛮民）」と呼んで蔑んだ。
古代の中国人たちにとっては、中華文明が存在する中原の地（北京‐西安‐上海を結ぶ三角形の地域）だけが人間の住む土地として大事であり、中原の地から外れた周辺地域には文明を持たない野蛮人が住んでいるとされていたから、それらの土地には注意を払う価値さえまったくなかった。
彼らは、中原の地から離れた周りの土地を「化外の地（文明外の地）」と呼んだ。
そして、彼らは中原の地の中だけで覇権を争い、その地の勝者が「中国皇帝」として全ての中国人たちを支配した。
中国人たちは、たまにベトナムやモンゴルなどに遠征をすることはあっても、それは一時的な遠征であり、道も保全されなければ開拓もされないという状態が長年続いた。
中華思想とは、他の民族のことを「野人程度」とバカにしているのであるから、非常に尊大な思想だ。
この考え方に従い、例えば、他の国の使節団などが来た時に、「偉い皇帝が野人もどきに会ってやるのだから」として中国皇帝の前で地面に額づくような姿勢をとることを強要した。
このような外交使節団に対する侮辱的な扱いは、後に西洋人たちが中国にやって来たときに一悶着起きる原因となったりした。
また、「中国人は偉いのであり、他の蛮族の国々はその命令に従うべきだ」として「招諭」を発したりもした。
「蛮族どもを招いて諭す」ということは、結局は、「配下になれ。そうすれば面倒をみてやる。そうでなければ武力で攻め滅ぼす」という脅しでしかなかった。
日本に対しても、元の時代に「招諭」が行われた。
日本側が拒否（無視）した結果、元寇が起こった。
明の時代の初期には、琉球に対しても招諭が行われ、琉球は招諭を受け入れて形式上は明の属国となった。
中原の地から離れた異文明や異民族に対して放漫な考え方をする中華思想は、２０世紀になり清が滅ぶまで強烈に続いた。
たとえば、アヘン戦争においては、中華思想のために欧米人たちに対する対応が放漫になり、中原の地を外れた中国周辺部には大した注意を払わなかったことが、中国側の被害が大きくなった一因だと言われる。
この非常に特殊な「中華思想」について理解していないと、中国史やアジア史を全く理解できないため、高校世界史では各論に入る前に徹底的に教え込まれる。
高校から大学へ進むとき、世界史の授業をさぼり、現代社会や倫理などを選択して入試をごまかす者たちがかなりいる。
その結果、世界史の基礎的教養を欠いている社会人たちがかなり存在する。
そういう者たちには理解し難い事なのだろうが、昔の中国人たちには中華思想による放漫さが際立っていたということを知らなければ、尖閣諸島問題についても正確に理解できないことだろう。

さて、尖閣諸島問題について考える前に、古代の中国の人口がどのようになっていたのかについて考えてみる。
項羽や劉邦などが活躍した２千年前の中国には、いったい、どれくらいの人口がいただろうか？
前漢や後漢が栄えた頃の人口と言うのは、大体５千万人台と言われている（以下参照）。

https://www.isc.meiji.ac.jp/~katotoru/jinkou996.html

戦乱期になると中国の人口はもっと減り、１千数百万人台などになっていた。
この繁栄と戦乱による人口の増減のレベルは２千年前の漢の時代からずっと維持され、宋元明の時代を通してほぼ変わらず、清朝（日本の江戸時代）になりやっと人口が１億人を超えて行った。
中原の地というのは日本の国土面積の２～３倍くらいはあるから、そういう広い土地に代々、日本の半分の人口、酷い時には東京都に毛が生えた程度の人口しか住んでいなかったことになる。
つまり、当時の中国の人口にとっては、中原の地だけでも広すぎたことになる。
現在の日本の人口は約１億３千万人であるが、それでも、知床周辺や三陸地方や山陰地方などに過疎地が生まれているのだから、当時の「中国の領域」であった中原の地ではいかに人口が少なかったかが分かることだろう。

では、そういう中原の地の外側の特に南部はどのようになっていたのだろうか？
中原の地の外側は未開地であり、現在の福建や広東などには広大な広葉樹の密林が広がっていた。
１３億人が住み隅々まで田畑が広がっている現在の中国の状態からは想像もつかないだろうが、当時は、上海や南京などの揚子江近くの都市から離れると、揚子江の南側にはほぼ手つかずの大自然が存在した。
その密林の中には虎が住んでいて人を食らい、山賊が住んでいて旅人から物を奪ったりしていたことは、演劇や小説などにも描かれて登場する。
もしも、そのような土地に住むことになったのであれば、現代の日本人に「シベリアのさらに北の人がほとんどいない北極圏の未開の森の中で暮らせ」と言うようなものだ。
バーも美容室もネットカフェも何もない人もまばらのただの「原始の森」に行かされることは、誰も望まない。
昔の中国人たちが中原の地から外れた土地の事を「化外の地（文明外の地）」と蔑んで呼んでいたことは上述したが、ただ不便なだけではなく中華思想による強烈な中国人としての「エリート意識」が植え付けられていたから、福健や広東のような「当時としてはクズの土地」には死んでも関わりたくないと言うのが当時の中国人たちの感覚だった。
明治の日本の感覚で言えば、鳥も通わぬ八丈島どころか、北海道の道さえまともに通っていない人も疎らな網走番外地に押しやられ、「ああ、自分は、日本人としてまともに内地では暮らしていけなかった『落ちこぼれ』のクズだ」と嘆きながら暮らすようなものだ。
そういう状態であったから、揚子江から南の土地は漢の時代から千年以上もの間、ほとんど何も開発が行われていなかった。
揚子江の南に広がっていた原生林の森は、ベトナム人やタイ人なども入り込んでいた人口が極度に少ない過疎地だった。
このように、歴代の中国人たちは、中華思想という強烈な選民意識の下で、ほぼ中原の地の範囲に籠って暮らしていたと言えるだろう。
しかし、ベトナムやモンゴルなどを制圧するための軍事行動は行ったりしていたから、原生林が茂る未開の土地であっても、一応は「中国の勢力圏、領土だ」という事になっていた。

中華思想を強く持ち中原の地から他にほとんど出て来なかったと言える中国王朝の中で、元と明だけは異例だったと言える。
元はモンゴル人たちの王朝であり、時代も若すぎて尖閣問題とはほとんど関係して来ないから、元については省略する。
明代中期から、それまで原生林が広がり人が非常に疎らにしか住んでいなかった福建や広東などの開発が始まった。
人々が移り住み、田畑の開拓や港の開発などが行われた。
また、明は、歴代中国王朝の中で中原の地に固執して籠ることをせず、初期には対外政策をかなり行った。
明代初期から周辺地域に招諭を発し、それに逆らった敵対的な勢力を武力で制圧したりした。
鄭和という将軍にアジア各地を遠征させたりもした。
鄭和は、アジア諸国を征圧した後（征圧といっても、「貿易をしてやるから貢物を持って中国皇帝の所に挨拶に来い」として、それに各国が従ったというのが実情だったが）、遠くアフリカのマダガスカルなどにも到達し、その時にキリンを持ち帰って来たりした。
上述したように、琉球王国が明へ服属したのも、１３７２年ごろに明が行った招諭に琉球側が従った結果だ。
琉球が明の属国となった結果、明代から琉球周辺の記述が頻繁に現れるようになり、尖閣諸島の名前が文献に現れ出す。
明はその後、北からの勢力（清の前身）の台頭や豊臣秀吉の朝鮮出兵などにより国力がなくなり、、歴代王朝と同様に中原の地に籠る傾向が強くなった。
そして、北方からの勢力により南の揚子江流域に蛇のように細長く押し込められた後で台湾に逃げ延びて行った。
中国は、いくつかの明代の文献に「尖閣諸島」の名前が現れることを根拠として「中国が先に尖閣を発見した」と主張している。（ただし、尖閣諸島の中国名として「釣魚島」や「黄麻嶼」などが文献に現れるが、どの島を指すのかさえ不明確な記述しか、この頃の文献には存在してない。現在得られているすべての古文献について、日本側が詳細に完膚なきまでに反論している。）
さて、上に指摘したように、文献における「先占」については、ここでは問題としない。
日本側に正確な反論がありいい加減な文献を一々検討するに値しないという意味もあるが、文献から見た論点とは別に、その頃の台湾や尖閣諸島がどのような状態であったかについて考察すれば、そういう面から自然と尖閣問題は日中どちらに理があるのかを理解できるからだ。

明の時代までは福建や広東などの揚子江より南の土地は開発されておらず、明の時代にやっと開発が始まったが、北方の中原の地に比べればまだまだ遅れた地域であり、普通の中国人たちが行きたいような場所ではなかった。
中国の大陸部がまだそういう状態でやっと開発が始まった頃、その対岸の台湾はどのような場所だったかと言えば、そこにはパプアニューギニア系の原始人たちが住んでいただけであり、本当の意味での原始の未開地だった。
世界史を勉強していない者たちの中には、「台湾には遥か古代から中国人が住んでいた」とか「シベリアや沿海州には太古からロシア人が暮らしていた」などと勘違いしている者たちがいたりするが、事実はそうではない。
１５８０年代まで、台湾島には中国人たちは住んでいなかった。
当時の台湾に住んでいたのはパプアニューギニア系だと言われる未開の土着民たちだ。
一説によれば、何万年か前に、古代タガログ人たちがアフリカの方からやって来て東南アジア一帯に住み着き、その後に新タガログ人（現在のフィリピン人やインドネシア人など）たちが古代タガログ人たちの暮らしていた地域の中央部に食い込んで勢力圏を広げたために、古代タガログ人たちは南北に分断されて押しやられ、北は台湾島だけに、南はパプアニューギニア島などに追いやられたなどと言われる。
台湾系の学者などはこの説に反対しているが、いずれにしても、当時の台湾には腰蓑をまいて槍を持ち首狩りを行う未開の原始人たちしか住んでいなかった。
第２次世界大戦以降のパプアニューギニアはオーストラリアによって保護・管理されていたが、そこには全くの未開の首狩り土人たちが住んでいたことと状況は同じだ。
普通のオーストラリア人たちがパプアニューギニア島に移植したいと思わないのと同じように、当時の中国人たちも、そのような台湾島には近づきたくもなかった。
大陸側の福建や広東でさえ中原の地に住む中国人たちに蔑まれていたのだから（というか、中原の地の中においてさえ南部出身者は「江南人」と呼ばれて差別されていたのだから）、ましてや、パプアニューギニア系の首狩り土人たちが住む辺境の島であった台湾島などには、一般の中国人も中国王朝も、どちらもほとんど興味を持っていなかった。

台湾原住民について、もう少し説明する。
彼らは今から数千年から１万年くらい前に台湾にやって来たと言われる。
台湾原住民たちは台湾の高い山々の間の盆地に住み、険しい山数個分の範囲内を自分たちの領域として暮らしていた。
台湾統治時代の日本の最高峰が台湾の新高山であったように、台湾島の中には高い山々が連なりその間に盆地を形成しているから、盆地同士は隔絶している。
ただでさえ地形的に孤立しやすかった台湾原住民たちが互いに首狩りの風習を持ち排除しあったことも加わったために、相互の交流は長年月途絶した。
道を作ると他集落から攻め込まれるので、道も作られていなかった。
そのような状態で数千年間を互いに孤立して過ごしたために、台湾原住民の言語は各集落によって独自に発達し、相互に言葉を理解することは不可能になった。
このような状態は、日本が日清戦争により台湾島を得た１８９５年になるまで続いた。
そして、日本が台湾を占領した後でさえも、原始人的な首狩り事件がかなり起こったりした。
以下のページに、台湾原住民についての説明や写真などが載っている。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%B0%E6%B9%BE%E5%8E%9F%E4%BD%8F%E6%B0%91

では、台湾原住民たちの島であった台湾島に、いつ頃から中国人たちが住むようになったのだろうか？
それは、上に書いたように、１５８０年代になってからだ。
１５００年代の１６世紀というのは、ヨーロッパ人たちが帆船で世界中を探検して征服していた時代だ。
当時、スペインが東南アジアを征服しポルトガルも勢力を持っていた。
そういうところに後からオランダが割り込んで来てインドネシアを獲得し、その勢いを駆って暴虎諸島などにも襲来して占領しようとした。
そのため、１６２２年に明とオランダは戦争状態になったが、明が譲歩して台湾島をオランダに貸すことで紛争に決着をつけた。
台湾島の租借権を得たオランダは、台湾島でゴムなどのプランテーションを始めた。
オランダ人たちは人手を必要としたが、未開の首狩り部族たちを雇い作業をさせることは不可能だった。
そこで、大陸の対岸部から中国人たちを雇い入れた。
この時が、初めて、普通の中国人たちが台湾島に足を踏み入れた瞬間だ。
１５８０年代からポルトガル人やオランダ人が台湾島とその周辺に進出していたから、それと共に台湾島への中国人たちの移住はその頃から始まっていたが、正式には１６２４年に中国とオランダが条約を結んだ後に普通の中国人たちが台湾島へと大々的に足を踏み入れた。
西洋人たちが台湾を開発する以前にもごくわずかの中国人たちが台湾島にいたが、彼らは普通の地域に住めない海賊たちであり人口もわずかだった。
このように台湾に普通の中国人たちが大量に住むようになったのは、戦国末期から江戸時代のことだ。
その後、明朝の遺臣たちが大陸から台湾に逃げて来てオランダ人たちを追い出し、台湾島の南部を発展させた。
しかし、台湾島の開発はほぼ島の南部で行われただけであり、中央部や北部には依然として未開の台湾原住民たちが暮らしていた。
江戸時代の中頃より１ｋｍ四方くらいの小さな要塞都市風の台北市が台湾島の北部に作られたりしたが、人口的にはほとんど数の内に入らない。
台湾島の中部・北部を支配していたのは台湾原住民たちであり、この状態は１８９５年に日本が台湾を領有するまで続いた。
日本が台湾を統治し始めたばかりの頃は、道が全くないから日本兵たちが密林を切り開きながら閉鎖的で敵対的な原住民たちの集落に入って行く必要があった。
そうやって道を切り開いていると、弓矢による原住民の襲撃を受けてかなりの日本兵が命を落としたりした。
日本兵たちは苦労して原住民の集落に辿り着き、逃げ散っていた原住民たちを集め、「首狩りをしないように」「小学校を建てるから子供を通わせるように」などと教諭した。
日本による開発と文明化が行われた後でさえ、しばらくは首狩り事件などが起こったほど、彼らの「野生の原始の感覚」は根強かった。
異なる集落の台湾原住民同士は言葉が通じないことを上述したが、小学校に通うようになった彼らが共通語としたのは、学校で習った日本語だった、

このように、台湾原住民たちは、まったくの原始の時代の暮らしを２０世紀まで続けていた。
中国が台湾島の中部・北部を放っておき、ほとんど何も管理をしていなかったことが明白に分かることだろう。
中国が台湾島の大部分を原始時代のまま放置していたことを表す分かりやすいエピソードがある。
宮古島島民遭難事件だ。
この事件は明治４年に起こった。
船に乗っていた宮古島の島民６９人が強風のために難破して台湾に漂着し地元民たちに助けを求めたところ、５４名が台湾原住民たちにより首を切られて殺されたという事件だ。
この時の中国側の対応は、以下のように「中国の管轄していない未開の民が行ったことだから、中国に責任はない」というような無責任極まりないなものだった（以下参照）。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%AE%E5%8F%A4%E5%B3%B6%E5%B3%B6%E6%B0%91%E9%81%AD%E9%9B%A3%E4%BA%8B%E4%BB%B6#%E3%81%9D%E3%81%AE%E5%BE%8C%E3%81%AE%E7%B5%8C%E9%81%8E_2
>「原住民は『化外の民』（国家統治の及ばない者）である」という責任回避の返答があるのみであった。

つまり、台湾島中部から北部にかけては、中国は明治時代になるまで全くなにも管理を行っていなかったことになる。