以下のようなニュースが報道されていた。
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>９月２９日に菅義偉首相とロシアのプーチン大統領が電話会談を行った際、プーチン氏から領土問題を取り上げ、昭和３１年の日ソ共同宣言を基礎に平和条約締結に向けた交渉を加速化するとした平成３０年の日露首脳合意を確認するよう促したことが分かった。露側から平和条約交渉を提起するのは異例。
今、ロシア経済は、かなり苦しい状況にあるはずだ。
ロシアは大した輸出品を持っていない。ロシアは、軍事技術では世界有数の先進国であるが、一般民製品に関しては質の良い工業製品を大量に安く提供する技術を持っておらず「後進国」と言える。そのため、自動車やその他の高度な技術を要する工業製品を輸入し、石油やガスの輸出により失った分の金を稼いでいる。ところが、その大事な金の卵である石油とガスは、コロナ禍で大打撃を受けたままの状態だ。
コロナ禍により、世界の経済は大打撃を受けた。例えば、航空業界ではあまり飛行機が飛んでおらず、アメリカをはじめとした世界各国の航空会社が倒産したり倒産の危機に瀕していたりする。飛行機が飛ばないのであるから、飛行機を作っているボーイングやGEなども生産を減らしている状態であり、これらの企業の業績はかなり悪い。飛行機が飛んでいないことは目で見てよくわかるが、人目に触れないその他の工場生産も同様に悲惨な状態にある。その結果、原油やガスが消費されない状態になっている。米国では４月の初めごろからこの傾向が続いていて、FRBによる援助がなければ石油・ガス産業に倒産が相次ぐと言われていた。FRBが社債などを買い上げて無理に援助した結果、１０月まではエネルギー産業で目立った倒産は起きないだろうが、援助が切れたその後は倒産の山になるはずだと言われている。
アメリカの話になってしまったが、この状況はロシアにおいても同様だ。コロナ禍による石油消費の減少に対応するため、５月頃に世界の主だった産油国が国際会議を開き、今までなかったレベルでの石油の減産に合意した。普段であれば、ロシアやアメリカなどが石油の減産に大反対し、「スト破り」「組合破り」を行うのが常だったが、この時だけはロシアもゴネはしたが大幅減産に合意している。状況はそれでも改善せず、さらなる減産合意の話が言われたりしていた。こういう状況であるため、原油・ガスの輸出頼みのロシア経済は、今、危機的な状況にあるはずだ。特に、アメリカのようにエネルギー産業に援助を行えるだけの余力がないロシアでは、エネルギー産業がかなりの打撃を受け続けているはずだ。そして、この状況はまだまだ続きそうであり、簡単に収まりそうもない。ロシアは「世界に先駆けてワクチンが作られた」と自負しているが、その感染者数は気温の低下とともに再び爆発しかけていて止まりそうもない（以下参照）。
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ロシアだけではなく、石油・ガスの一大消費・輸入地域であるヨーロッパでも、気温の低下とともに感染拡大が起こっている（上記URL近辺の他国の状況を参照されたい）。つまり、当分の間、プーチンが「資源ナショナリズム」と称して唯一の頼みの綱としていた石油・ガス産業が、過去のようにうまく機能しない可能性が高い。ロシア経済がそういう弱い状況になると、以下のように為替などが売られ、ますます資源国ロシアにとっては不利になっている。
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そういう苦境にあるからこそ、ロシアとしては領土問題について「為替予約（将来のいつでも好きな時に指定した価格で通貨を変える権利）」を確保したいはずだ。
・２島を譲ると見せかけて日本の経済援助を引き出す。
・将来日本が文句を言うことがあっても、「あの時２島
で決着してたではないか！」と反論できる。
という権利を確保するために、ロシアは日本に対して「為替予約」をしてヘッジ（危険性の排除）をかけているだけとしか思えない。
外務官僚たちの中には、ロシアに譲らず冷静に物を見ている者たちもいる。彼らは「ロシアは、経済的に追い込まれる以外は、絶対に日本に領土を返すことをするわけがない」と説いている。ロシア側の今回の提案は、まさに、そういうロシアの事情が露見しただけのことだ。ここでロシアのみに都合のよいロシアの手前勝手な提案に下手に飛びつくのではなく、逆に、今まで緩かったウクライナ問題に関しての経済制裁を欧米並みにし、圧力をかけるべきだ。そして、交渉を続けるのであれば、その経済制裁を緩めるという点を基準点にして話を始めるべきだ。プーチン政権の基盤となっているのはロシア国粋主義者たちであり、彼らは死んでも領土を手放す気はない。故に、プーチンと交渉しても、経済が善かれ悪しかれ、絶対に領土は返ってこない。そういう状態であるのだから、圧力をかけるだけかけ「もしも何か引き出せたならば幸運である」くらいに考えて、むしろ今後の数十年の交渉を見込んで反プーチン的に動いた方がよいはずだ。今のFSB（ロシア秘密警察）によって支えられているプーチン政権の後に、次の政権が民主的な人々により運営されるのであれば、その時こそ領土問題の話がきちんとしやすくなる。日本は今からそういう勢力に援助し、その時を狙うべきだ。
今、「安売り」をする必要など微塵もないのだ。
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>９月２９日に菅義偉首相とロシアのプーチン大統領が電話会談を行った際、プーチン氏から領土問題を取り上げ、昭和３１年の日ソ共同宣言を基礎に平和条約締結に向けた交渉を加速化するとした平成３０年の日露首脳合意を確認するよう促したことが分かった。露側から平和条約交渉を提起するのは異例。
今、ロシア経済は、かなり苦しい状況にあるはずだ。
ロシアは大した輸出品を持っていない。ロシアは、軍事技術では世界有数の先進国であるが、一般民製品に関しては質の良い工業製品を大量に安く提供する技術を持っておらず「後進国」と言える。そのため、自動車やその他の高度な技術を要する工業製品を輸入し、石油やガスの輸出により失った分の金を稼いでいる。ところが、その大事な金の卵である石油とガスは、コロナ禍で大打撃を受けたままの状態だ。
コロナ禍により、世界の経済は大打撃を受けた。例えば、航空業界ではあまり飛行機が飛んでおらず、アメリカをはじめとした世界各国の航空会社が倒産したり倒産の危機に瀕していたりする。飛行機が飛ばないのであるから、飛行機を作っているボーイングやGEなども生産を減らしている状態であり、これらの企業の業績はかなり悪い。飛行機が飛んでいないことは目で見てよくわかるが、人目に触れないその他の工場生産も同様に悲惨な状態にある。その結果、原油やガスが消費されない状態になっている。米国では４月の初めごろからこの傾向が続いていて、FRBによる援助がなければ石油・ガス産業に倒産が相次ぐと言われていた。FRBが社債などを買い上げて無理に援助した結果、１０月まではエネルギー産業で目立った倒産は起きないだろうが、援助が切れたその後は倒産の山になるはずだと言われている。
アメリカの話になってしまったが、この状況はロシアにおいても同様だ。コロナ禍による石油消費の減少に対応するため、５月頃に世界の主だった産油国が国際会議を開き、今までなかったレベルでの石油の減産に合意した。普段であれば、ロシアやアメリカなどが石油の減産に大反対し、「スト破り」「組合破り」を行うのが常だったが、この時だけはロシアもゴネはしたが大幅減産に合意している。状況はそれでも改善せず、さらなる減産合意の話が言われたりしていた。こういう状況であるため、原油・ガスの輸出頼みのロシア経済は、今、危機的な状況にあるはずだ。特に、アメリカのようにエネルギー産業に援助を行えるだけの余力がないロシアでは、エネルギー産業がかなりの打撃を受け続けているはずだ。そして、この状況はまだまだ続きそうであり、簡単に収まりそうもない。ロシアは「世界に先駆けてワクチンが作られた」と自負しているが、その感染者数は気温の低下とともに再び爆発しかけていて止まりそうもない（以下参照）。
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ロシアだけではなく、石油・ガスの一大消費・輸入地域であるヨーロッパでも、気温の低下とともに感染拡大が起こっている（上記URL近辺の他国の状況を参照されたい）。つまり、当分の間、プーチンが「資源ナショナリズム」と称して唯一の頼みの綱としていた石油・ガス産業が、過去のようにうまく機能しない可能性が高い。ロシア経済がそういう弱い状況になると、以下のように為替などが売られ、ますます資源国ロシアにとっては不利になっている。
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そういう苦境にあるからこそ、ロシアとしては領土問題について「為替予約（将来のいつでも好きな時に指定した価格で通貨を変える権利）」を確保したいはずだ。
・２島を譲ると見せかけて日本の経済援助を引き出す。
・将来日本が文句を言うことがあっても、「あの時２島
で決着してたではないか！」と反論できる。
という権利を確保するために、ロシアは日本に対して「為替予約」をしてヘッジ（危険性の排除）をかけているだけとしか思えない。
外務官僚たちの中には、ロシアに譲らず冷静に物を見ている者たちもいる。彼らは「ロシアは、経済的に追い込まれる以外は、絶対に日本に領土を返すことをするわけがない」と説いている。ロシア側の今回の提案は、まさに、そういうロシアの事情が露見しただけのことだ。ここでロシアのみに都合のよいロシアの手前勝手な提案に下手に飛びつくのではなく、逆に、今まで緩かったウクライナ問題に関しての経済制裁を欧米並みにし、圧力をかけるべきだ。そして、交渉を続けるのであれば、その経済制裁を緩めるという点を基準点にして話を始めるべきだ。プーチン政権の基盤となっているのはロシア国粋主義者たちであり、彼らは死んでも領土を手放す気はない。故に、プーチンと交渉しても、経済が善かれ悪しかれ、絶対に領土は返ってこない。そういう状態であるのだから、圧力をかけるだけかけ「もしも何か引き出せたならば幸運である」くらいに考えて、むしろ今後の数十年の交渉を見込んで反プーチン的に動いた方がよいはずだ。今のFSB（ロシア秘密警察）によって支えられているプーチン政権の後に、次の政権が民主的な人々により運営されるのであれば、その時こそ領土問題の話がきちんとしやすくなる。日本は今からそういう勢力に援助し、その時を狙うべきだ。
今、「安売り」をする必要など微塵もないのだ。
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