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Paul McCartney「My Valentine」
貴女はいつだって僕を想ってくれていた。
あの頃の僕は、いつだって自分勝手で我が儘だった。
自分のことしか考えられなかったし、自分の欲や夢にうつつをぬかしていた。
僕を想ってくれる貴女のことを邪見に扱い、悲しませたこともたくさんあった。
だらしない振る舞いで勝手に行動し、時に問題を起こしてしまう僕に、怒りや哀しみを感じた時もあっただろうに、貴女はいつもそれを抑え黙って僕を見守ってくれた。
涙を見せたこともなかった。
辛いことも、悔しいこともあったでしょう。
小さな身体でそれを全部受け止め、誰にも愚痴も言わず耐えていたんだろうね。
僕に失望したことも一度や二度では無いだろう。
そんな居心地の悪さ、それを感じたとき、僕はそんな貴女の気持ちに気付かないふりして１人で逃げ出し、自分の愚かさにも気付かなかった。
貴女の存在を当たり前のように感じ、そこに甘え、感謝をしたことも無かった。
酷い話だね、まったく。
僕が珈琲店で働いていた頃…。
後で聞いた話だけど、貴女はすごく喜んでくれていたんだってね。
貴女の大好きだった珈琲…。
僕も知らず知らずのうちに好きになっていた。
一度僕の淹れた珈琲を飲んでみたい…そんな風に思っていたんだってね。
でも貴女が店に来ることは一度もなかった。
そんな小さな願いを知っていたら、いつだって珈琲くらい僕がご馳走したのに…。
もしかしたら、１度か２度、そんな貴女にインスタントコーヒーを作ってあげたことはあったかもしれない。
それを「ありがとう」と言って美味しそうに飲んでくれた記憶がある。
自分が飲むついでに…
愛情も何もない…お湯を注ぐだけのインスタントコーヒー…
酷い話だよ、まったく。
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Pink Floyd「Speak To Me / Breathe」（LiveAid ８）
僕はそんな貴女を裏切り、貴女の前から姿を消したことがあった。
それまでの感謝や別れの言葉１つ告げずに突然…
貴女は３日も食事が喉を通らず、泣いてばかりいたんだってね。
僕との思い出の品…僅かばかりの写真やモノ…そんなものを全部焼き捨てて貴女は日に何度も泣いてくれたんだってね、後から聞いた話だったけれど。
そして数週間後…反省もしないで貴女の元に戻った僕を、貴女は愚痴の１つも言わずに迎えてくれた。
文句の１つも言わず、何もなかったように。
ちょっと拍子抜けしたけれど、その時も僕はそれに甘えてしまった。
あの頃…
いや、僕の記憶に残っている貴女は、今にして思えば…まだまだ若かったんだね。
３０代、４０代のことしか知らないけれど、今の僕からすれば、充分若い。
それなのに、今の僕より全然オトナでずっと真面目に生きていた。
今の僕を見たら、貴女はどんな風に言うんだろう。
深い溜息ついて哀しそうな目で僕を見るのかな…
それとも「しっかりしなさい」って叱ってくれるのかな…。
多分もう叱ったりはしないんだろうね。
そんな歳じゃないし。
本当はもっとたくさんオトナとして話をしてみたかった。
ゆっくり旅行でもしながら、大好きだった珈琲を飲みながら。
貴女より年上になってしまったし。
そう、貴女の息子はまた１つ歳を重ねました。
産んでくれてありがとう。
貴女には何も報いることは出来なかったけれど、貴女が生きることが出来なかった年齢を僕はまた１つ超えました。
酷い話だよね、まったく。
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John Lennon「Mother」
【追記】
2012年、僕の誕生日に書いた日記です。
男の子は大人になると、案外こんな風に母親に感謝するものだと思います。
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Paul McCartney「My Valentine」
貴女はいつだって僕を想ってくれていた。
あの頃の僕は、いつだって自分勝手で我が儘だった。
自分のことしか考えられなかったし、自分の欲や夢にうつつをぬかしていた。
僕を想ってくれる貴女のことを邪見に扱い、悲しませたこともたくさんあった。
だらしない振る舞いで勝手に行動し、時に問題を起こしてしまう僕に、怒りや哀しみを感じた時もあっただろうに、貴女はいつもそれを抑え黙って僕を見守ってくれた。
涙を見せたこともなかった。
辛いことも、悔しいこともあったでしょう。
小さな身体でそれを全部受け止め、誰にも愚痴も言わず耐えていたんだろうね。
僕に失望したことも一度や二度では無いだろう。
そんな居心地の悪さ、それを感じたとき、僕はそんな貴女の気持ちに気付かないふりして１人で逃げ出し、自分の愚かさにも気付かなかった。
貴女の存在を当たり前のように感じ、そこに甘え、感謝をしたことも無かった。
酷い話だね、まったく。
僕が珈琲店で働いていた頃…。
後で聞いた話だけど、貴女はすごく喜んでくれていたんだってね。
貴女の大好きだった珈琲…。
僕も知らず知らずのうちに好きになっていた。
一度僕の淹れた珈琲を飲んでみたい…そんな風に思っていたんだってね。
でも貴女が店に来ることは一度もなかった。
そんな小さな願いを知っていたら、いつだって珈琲くらい僕がご馳走したのに…。
もしかしたら、１度か２度、そんな貴女にインスタントコーヒーを作ってあげたことはあったかもしれない。
それを「ありがとう」と言って美味しそうに飲んでくれた記憶がある。
自分が飲むついでに…
愛情も何もない…お湯を注ぐだけのインスタントコーヒー…
酷い話だよ、まったく。
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Pink Floyd「Speak To Me / Breathe」（LiveAid ８）
僕はそんな貴女を裏切り、貴女の前から姿を消したことがあった。
それまでの感謝や別れの言葉１つ告げずに突然…
貴女は３日も食事が喉を通らず、泣いてばかりいたんだってね。
僕との思い出の品…僅かばかりの写真やモノ…そんなものを全部焼き捨てて貴女は日に何度も泣いてくれたんだってね、後から聞いた話だったけれど。
そして数週間後…反省もしないで貴女の元に戻った僕を、貴女は愚痴の１つも言わずに迎えてくれた。
文句の１つも言わず、何もなかったように。
ちょっと拍子抜けしたけれど、その時も僕はそれに甘えてしまった。
あの頃…
いや、僕の記憶に残っている貴女は、今にして思えば…まだまだ若かったんだね。
３０代、４０代のことしか知らないけれど、今の僕からすれば、充分若い。
それなのに、今の僕より全然オトナでずっと真面目に生きていた。
今の僕を見たら、貴女はどんな風に言うんだろう。
深い溜息ついて哀しそうな目で僕を見るのかな…
それとも「しっかりしなさい」って叱ってくれるのかな…。
多分もう叱ったりはしないんだろうね。
そんな歳じゃないし。
本当はもっとたくさんオトナとして話をしてみたかった。
ゆっくり旅行でもしながら、大好きだった珈琲を飲みながら。
貴女より年上になってしまったし。
そう、貴女の息子はまた１つ歳を重ねました。
産んでくれてありがとう。
貴女には何も報いることは出来なかったけれど、貴女が生きることが出来なかった年齢を僕はまた１つ超えました。
酷い話だよね、まったく。
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John Lennon「Mother」
【追記】
2012年、僕の誕生日に書いた日記です。
男の子は大人になると、案外こんな風に母親に感謝するものだと思います。
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