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Whitney Houston 「I Will Always Love You」
北野武という監督は特異なキャラクターの映画監督だと思う。
監督デビュー作品「この男、凶暴につき」を見た時は息を飲んだ。
監督・主演を北野武本人がやった刑事ものバイオレンス・アクション。
北野作品には台本が無いと言われる。
監督の頭の中でイメージされたものを役者たちに説明し、それを撮っていくという斬新なもの。
この映画を見て一番衝撃を受けたのは、暴力アクションのリアルさだった。
それまでの映画やドラマで行われていた「アクション過多の暴力シーン」を見慣れていた目には、実にシンプルで単純なアクションだった。
殴り殴られ、倒しても何度も起き上がってきて、また殴り殴られ…
映画やドラマではそんな風にアクション・シーンを盛り上げる。
そんな喧嘩シーンや暴力シーンの「常識」に比べ、北野武が撮ったのは一発で相手を潰し、一発の銃弾で相手を仕留めるリアリティーだった。
盛り上がりも何も無い。
呆気なく人が戦意を喪失し、一発の銃弾であっさりと人が死んでしまう。
それは衝撃だ。
TVドラマの刑事モノみたいに銃の乱射もしない。
実際の喧嘩や暴力に於いて、延々と殴り合うということはない。
喧嘩なんて、大抵は最初の一撃で決まってしまう。
エンターテイメントで、それを割り切って見せてしまうことは勇気がいることだった。
映画はこんな風だ。
犯人を夜の繁華街の路上で追い詰め、切羽詰まった犯罪者が銃を抜いて構えた。その瞬間、たけし演ずる刑事がその手を蹴飛ばす。
その反動で引き金が引かれ、その弾が無関係の通行人の女性に当ると、血飛沫と共に女性はバタリと倒れ死んでしまう。
その被害者を構うこともしない刑事。
放ったまま、また犯人を追う…。
別のシーンでは、延々住宅街の路地を縫うように、犯人を追い掛けて走り続ける。
カメラは刑事(たけし)と犯人をひたすら追う。
このシーンを当時映画評論家・淀川長治氏は絶賛していた。
北野武の真骨頂は、その後だ。
走り疲れ、犯人を取り逃がした刑事が今度はパトカーで町中探し回る。
そして再び見つけた犯人を今度は車で追いかける。
必死で走る犯人をあざ笑いながら、細い道で煽るように追いつめる…逃げる犯人を突くように…。
若い後輩の刑事が「ダメですよ、轢いちゃいますよ」と心配した次の瞬間、パトカーで犯人を轢いてしまう…。事故とはいえ、あっさり殺してしまう。
冷淡で暴力的でリアル。
北野武はその後、バイオレンスものから人間ドラマも撮るようになったが、デビュー作品を上回るインパクトは感じなかった。
「3-4X10月」「HANABI」と僕も見たけれどピンとこなかった。
そして、再びバイオレンスへ…
「アウトレイジ」で再び見せたバイオレンスは更に凄みを増したリアリティーだった。
面白いのは、北野作品のバイオレンスものの役者はみんなイキイキとしている。
台本に縛られず、感覚で演じているからか、皆存在感を溢れさせている。
思えば、北野武…ビートたけしは、役者としてテレビドラマや映画の話題作に出演してきた。
「戦場のメリークリスマス」が有名だけれど、TVドラマでやった「金の戦争(主演：金嬉老役)」「大久保清の犯罪(主演)」などの昭和の殺人犯を演じた際の狂気や存在感は際立っていた。
端役ではあるが「コミック雑誌なんかいらない」で演じた「豊田商事事件」の殺人犯役も凄みがあった。
たけし本人がどういう人物であるかは知らないけれど、この人の中にある「バイオレンスや狂気」は監督であれ役者であれ、特異な視点と表現力を感じる。
トム・クルーズが製作・主演した「コラテラル」も同じ匂いがする。
依頼された仕事を実行する為にＬＡに降り立ったフリーの殺し屋(トム)。
空港で偶然に彼を乗せ、一晩の仕事に付き合う羽目になったタクシードライバーと２人の波乱に満ちた夜。
まずトムの表情が違う。
冷静で冷酷、男臭く、それはとてもセクシーかもしれない。
トムが放つ一発、一発の銃の発射音が低く重い。
大音量の映画館で観たから、それは腹にズシンと響く。
何より乱射はしない。
一発で仕留めるように撃つ。
そのリアルさは銃の怖さを感じさせる。
カッコ良さ、スマートさより恐怖を見せる。
それはアメリカという「銃社会」の怖さを感じさせる。
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Barbra Streisand「The woman in the moon（A star is born）」
1986年公開の「コミック雑誌なんかいらない」(監督：滝田洋二郎)も特異な映画。
主演は「ロックンロール」内田裕也。
硬派なTVレポーター役で当時の世相や社会現象、事件に切り込んでいく。
「ロス疑惑」(三浦和義本人出演)、「日航ジャンボ機墜落事件」、「山口組と一和会の抗争：山一抗争」「神田正樹・松田聖子結婚」(元恋人・郷ひろみ出演)など実際の当事者も出演させ、ちりばめていく、というもの。
その渦中に巨額投資詐欺事件「豊田商事事件」とその「豊田商事会長刺殺事件」も登場する(刺殺犯役：ビートたけし)。
無表情でストイックなレポーター役の内田裕也は、演技が上手いとは言えないが、それが実際の事件やスキャンダルを交えることで活きている。
執拗な質問に怒った三浦和義が内田裕也の顔にコップの水をぶちまけるシーンなどはニヤリとしてしまう。
スキャンダルを追い掛け回された桃井かおり(本人出演)がレポーターにキレて八つ当たりするシーンなども、本人が良くやったと思う。
斬新だった。
当時の世相を知る上でも一度観てもらうといいと思う。
こんな形でエンターテイメントを作るというアイデアが面白い。
今年も何人かの名優が亡くなった。
三國連太郎と緒形拳、賠償美津子、小川真由美出演で映画化された、今村晶平監督作品「復習するは我にあり」も好きな映画だ。
これも内容は連続殺人鬼の話。
敬虔なクリスチャンでありながら、詐欺師で５人もの女性や老人を殺して逃亡した殺人犯を緒形拳が演じた。
78日間という逃亡期間、犯人の兄(三國)・妻(賠償)逃亡中犯人が身を隠した旅館の娘(小川)が織り成す愛憎劇。
ブルーリボンや日本アカデミー賞などを総なめにした。
連続殺人鬼モノは当たらない、と言われるが個性溢れ演技力のある役者が揃ったことで充分なエンターテイメントになっている。
生きることに執念を燃やす犯人と、彼が犯罪者だと気づいた旅館の女将を殺されても惹かれていくその娘(小川)のドロドロとした愛憎。
かたや、世間を騒がす家族を持った責任感と徒労感に苛まれる兄と妻の刹那的な恋慕…。
冷酷非道の殺人をストーリーの軸にした４人の名優の重厚な演技は男女の儚さ、切なさを見せる。
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Aerosmith「I Don't Want To Miss A Thing Aerosmith」
バイオレンスなモノばかり取り上げてしまったけれど、僕は基本的にはエンターテイメント性の高いモノが好きだ。
エロチシズム溢れる映画も好きだけれど、この類の映画はあまり当たりが多くないのも事実。
日本で初めてポルノ映画であるにも関わらず、女性客の足を映画館に運ばせ、社会現象にまでなった「エマニエル夫人」。
映像が綺麗な映画ではあったが、男の僕にはあまり響かないものだった。
それに比べると「Ｏ嬢の物語」(コリンヌ・クレリー主演：1975年)は好きな映画だ。
ストーリーは意味があまりよく分からない(苦笑)。
恋人の要請で古城に連れていかれた女流写真家のＯが、そこで性の共有玩具になる為の調教をされ、その後サディスティック嗜好の貴族に引き渡され、性の奴隷になる、という話。
その理由も流れもよく憶えていないし、けしてドラマチックなモノでも無い。
調教という、当時の僕には全く馴染みの無い行為も違和感があったけれど、理解出来ないながら引き込まれる刺激と、コリンヌ・クレリーの美しさとエロチックさが強烈だった。
彼女は元々モデルで、演技が上手いとは思えないし、けして美人でもない。
これ以外にも「ヒッチハイク」で被虐的なヒロインや「007ムーンレイカー」ではボンドガールに起用されているが出演作はとても少ない。
僕がコリンヌ・クレリーに惹かれるのは、僕自身が持つサディストの血なのかもしれないけれど、とてもセクシーな女優であると思う。
他にエロチックな映画で印象的だったのは「ダブルベッド」(日活ロマンポルノ)が思い浮かぶ…。
原作が中山千夏で監督が藤田敏八、出演が大谷直子、柄本明、岸部一徳、石田えり、高橋ひとみと、この顔ぶれだけ見たらホームドラマかヒューマンドラマを連想してしまう。
ところがポルノ映画でバンバン脱いで絡んでしまう。
ストーリーはどこにでもありそうな日常的不倫話。
売れないライター稼業の柄本明には恋人(石田えり)がいた。
柄本の学生時代の親友・岸部とその妻(大谷)とも顔馴染み。
久しぶりに岸部と柄本が再会し酒を酌み交わした夜、酔った岸部が「嫁さんも会いたがっているから寄っていけ」と言って２人は岸部のマンションへ…。
そこで妻も交えて飲み直すが、岸部は酔いが回りサッサと寝てしまう。
帰ろうとする柄本を大谷が引き留め、昔話をしながら酒を飲むうちに柄本が大谷の胸を唐突に掴む…。
「胸が感じない女もいる」と呟く柄本。
「感じるわよ」と答える大谷。
改めて２人で密会の約束をし、２人はドロドロと不倫関係にハマっていく。
柄本はうだつは上がらないが、女好き。
それは友情や理性すら破り捨ててしまうような破滅型のもの。
大谷との関係を続けながら、恋人とも付き合い、その妹(高橋)まで手を出してしまう。
ある時、岸部が出張で家を空けることになった。
その日、昼間から柄本は大谷の待つ岸部の家に向かった。
そこで昼夜を問わず大谷を求める…。
翌日の午後、予定より大幅に早く岸部が帰ってきた…。
とまぁ、そんな話。
普通の、どこにでもいる主婦を大谷が演じている。
それがエロチック。
僕が人妻好きで、この世代の女性が好みになったのも、もしかしたらこの映画、大谷直子の影響かもしれない(苦笑)。
エロチシズムとは何か…
コリンヌ・クレリーや映画「ダブルベッド」を観て気づかされたものも多いし、僕の嗜好や思考に与えた影響は少なくない。
女性は日活ロマンポルノに馴染みがないだろうし、マイミクさんの世代は余計に知らないだろうけれど、面白い映画は幾つもある。
有名女優が出ているものに限らず、片桐夕子の「主婦もの」谷ナオミの「団鬼六・緊縛シリーズ」などエロスは秀逸。
女優だけではなく、映画監督もここから花開いた人は多い。
「Shall we、ダンス？」の周防正行、「おくりびと」「コミック雑誌なんかいらない」の滝田洋二郎、「セーラー服と機関銃」「魚影の群れ」の相米慎二、「最も危ない刑事」や松田優作シリーズの村川透、石井隆など枚挙に暇がない。
日活ロマンポルノだけで日記が幾つか書けるほど(笑)。
いつかそれはまた書いてまよう。
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Kris Kristofferson「Watch closely now（A star is born）」
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Whitney Houston 「I Will Always Love You」
北野武という監督は特異なキャラクターの映画監督だと思う。
監督デビュー作品「この男、凶暴につき」を見た時は息を飲んだ。
監督・主演を北野武本人がやった刑事ものバイオレンス・アクション。
北野作品には台本が無いと言われる。
監督の頭の中でイメージされたものを役者たちに説明し、それを撮っていくという斬新なもの。
この映画を見て一番衝撃を受けたのは、暴力アクションのリアルさだった。
それまでの映画やドラマで行われていた「アクション過多の暴力シーン」を見慣れていた目には、実にシンプルで単純なアクションだった。
殴り殴られ、倒しても何度も起き上がってきて、また殴り殴られ…
映画やドラマではそんな風にアクション・シーンを盛り上げる。
そんな喧嘩シーンや暴力シーンの「常識」に比べ、北野武が撮ったのは一発で相手を潰し、一発の銃弾で相手を仕留めるリアリティーだった。
盛り上がりも何も無い。
呆気なく人が戦意を喪失し、一発の銃弾であっさりと人が死んでしまう。
それは衝撃だ。
TVドラマの刑事モノみたいに銃の乱射もしない。
実際の喧嘩や暴力に於いて、延々と殴り合うということはない。
喧嘩なんて、大抵は最初の一撃で決まってしまう。
エンターテイメントで、それを割り切って見せてしまうことは勇気がいることだった。
映画はこんな風だ。
犯人を夜の繁華街の路上で追い詰め、切羽詰まった犯罪者が銃を抜いて構えた。その瞬間、たけし演ずる刑事がその手を蹴飛ばす。
その反動で引き金が引かれ、その弾が無関係の通行人の女性に当ると、血飛沫と共に女性はバタリと倒れ死んでしまう。
その被害者を構うこともしない刑事。
放ったまま、また犯人を追う…。
別のシーンでは、延々住宅街の路地を縫うように、犯人を追い掛けて走り続ける。
カメラは刑事(たけし)と犯人をひたすら追う。
このシーンを当時映画評論家・淀川長治氏は絶賛していた。
北野武の真骨頂は、その後だ。
走り疲れ、犯人を取り逃がした刑事が今度はパトカーで町中探し回る。
そして再び見つけた犯人を今度は車で追いかける。
必死で走る犯人をあざ笑いながら、細い道で煽るように追いつめる…逃げる犯人を突くように…。
若い後輩の刑事が「ダメですよ、轢いちゃいますよ」と心配した次の瞬間、パトカーで犯人を轢いてしまう…。事故とはいえ、あっさり殺してしまう。
冷淡で暴力的でリアル。
北野武はその後、バイオレンスものから人間ドラマも撮るようになったが、デビュー作品を上回るインパクトは感じなかった。
「3-4X10月」「HANABI」と僕も見たけれどピンとこなかった。
そして、再びバイオレンスへ…
「アウトレイジ」で再び見せたバイオレンスは更に凄みを増したリアリティーだった。
面白いのは、北野作品のバイオレンスものの役者はみんなイキイキとしている。
台本に縛られず、感覚で演じているからか、皆存在感を溢れさせている。
思えば、北野武…ビートたけしは、役者としてテレビドラマや映画の話題作に出演してきた。
「戦場のメリークリスマス」が有名だけれど、TVドラマでやった「金の戦争(主演：金嬉老役)」「大久保清の犯罪(主演)」などの昭和の殺人犯を演じた際の狂気や存在感は際立っていた。
端役ではあるが「コミック雑誌なんかいらない」で演じた「豊田商事事件」の殺人犯役も凄みがあった。
たけし本人がどういう人物であるかは知らないけれど、この人の中にある「バイオレンスや狂気」は監督であれ役者であれ、特異な視点と表現力を感じる。
トム・クルーズが製作・主演した「コラテラル」も同じ匂いがする。
依頼された仕事を実行する為にＬＡに降り立ったフリーの殺し屋(トム)。
空港で偶然に彼を乗せ、一晩の仕事に付き合う羽目になったタクシードライバーと２人の波乱に満ちた夜。
まずトムの表情が違う。
冷静で冷酷、男臭く、それはとてもセクシーかもしれない。
トムが放つ一発、一発の銃の発射音が低く重い。
大音量の映画館で観たから、それは腹にズシンと響く。
何より乱射はしない。
一発で仕留めるように撃つ。
そのリアルさは銃の怖さを感じさせる。
カッコ良さ、スマートさより恐怖を見せる。
それはアメリカという「銃社会」の怖さを感じさせる。
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Barbra Streisand「The woman in the moon（A star is born）」
1986年公開の「コミック雑誌なんかいらない」(監督：滝田洋二郎)も特異な映画。
主演は「ロックンロール」内田裕也。
硬派なTVレポーター役で当時の世相や社会現象、事件に切り込んでいく。
「ロス疑惑」(三浦和義本人出演)、「日航ジャンボ機墜落事件」、「山口組と一和会の抗争：山一抗争」「神田正樹・松田聖子結婚」(元恋人・郷ひろみ出演)など実際の当事者も出演させ、ちりばめていく、というもの。
その渦中に巨額投資詐欺事件「豊田商事事件」とその「豊田商事会長刺殺事件」も登場する(刺殺犯役：ビートたけし)。
無表情でストイックなレポーター役の内田裕也は、演技が上手いとは言えないが、それが実際の事件やスキャンダルを交えることで活きている。
執拗な質問に怒った三浦和義が内田裕也の顔にコップの水をぶちまけるシーンなどはニヤリとしてしまう。
スキャンダルを追い掛け回された桃井かおり(本人出演)がレポーターにキレて八つ当たりするシーンなども、本人が良くやったと思う。
斬新だった。
当時の世相を知る上でも一度観てもらうといいと思う。
こんな形でエンターテイメントを作るというアイデアが面白い。
今年も何人かの名優が亡くなった。
三國連太郎と緒形拳、賠償美津子、小川真由美出演で映画化された、今村晶平監督作品「復習するは我にあり」も好きな映画だ。
これも内容は連続殺人鬼の話。
敬虔なクリスチャンでありながら、詐欺師で５人もの女性や老人を殺して逃亡した殺人犯を緒形拳が演じた。
78日間という逃亡期間、犯人の兄(三國)・妻(賠償)逃亡中犯人が身を隠した旅館の娘(小川)が織り成す愛憎劇。
ブルーリボンや日本アカデミー賞などを総なめにした。
連続殺人鬼モノは当たらない、と言われるが個性溢れ演技力のある役者が揃ったことで充分なエンターテイメントになっている。
生きることに執念を燃やす犯人と、彼が犯罪者だと気づいた旅館の女将を殺されても惹かれていくその娘(小川)のドロドロとした愛憎。
かたや、世間を騒がす家族を持った責任感と徒労感に苛まれる兄と妻の刹那的な恋慕…。
冷酷非道の殺人をストーリーの軸にした４人の名優の重厚な演技は男女の儚さ、切なさを見せる。
http://
http://
http://
Aerosmith「I Don't Want To Miss A Thing Aerosmith」
バイオレンスなモノばかり取り上げてしまったけれど、僕は基本的にはエンターテイメント性の高いモノが好きだ。
エロチシズム溢れる映画も好きだけれど、この類の映画はあまり当たりが多くないのも事実。
日本で初めてポルノ映画であるにも関わらず、女性客の足を映画館に運ばせ、社会現象にまでなった「エマニエル夫人」。
映像が綺麗な映画ではあったが、男の僕にはあまり響かないものだった。
それに比べると「Ｏ嬢の物語」(コリンヌ・クレリー主演：1975年)は好きな映画だ。
ストーリーは意味があまりよく分からない(苦笑)。
恋人の要請で古城に連れていかれた女流写真家のＯが、そこで性の共有玩具になる為の調教をされ、その後サディスティック嗜好の貴族に引き渡され、性の奴隷になる、という話。
その理由も流れもよく憶えていないし、けしてドラマチックなモノでも無い。
調教という、当時の僕には全く馴染みの無い行為も違和感があったけれど、理解出来ないながら引き込まれる刺激と、コリンヌ・クレリーの美しさとエロチックさが強烈だった。
彼女は元々モデルで、演技が上手いとは思えないし、けして美人でもない。
これ以外にも「ヒッチハイク」で被虐的なヒロインや「007ムーンレイカー」ではボンドガールに起用されているが出演作はとても少ない。
僕がコリンヌ・クレリーに惹かれるのは、僕自身が持つサディストの血なのかもしれないけれど、とてもセクシーな女優であると思う。
他にエロチックな映画で印象的だったのは「ダブルベッド」(日活ロマンポルノ)が思い浮かぶ…。
原作が中山千夏で監督が藤田敏八、出演が大谷直子、柄本明、岸部一徳、石田えり、高橋ひとみと、この顔ぶれだけ見たらホームドラマかヒューマンドラマを連想してしまう。
ところがポルノ映画でバンバン脱いで絡んでしまう。
ストーリーはどこにでもありそうな日常的不倫話。
売れないライター稼業の柄本明には恋人(石田えり)がいた。
柄本の学生時代の親友・岸部とその妻(大谷)とも顔馴染み。
久しぶりに岸部と柄本が再会し酒を酌み交わした夜、酔った岸部が「嫁さんも会いたがっているから寄っていけ」と言って２人は岸部のマンションへ…。
そこで妻も交えて飲み直すが、岸部は酔いが回りサッサと寝てしまう。
帰ろうとする柄本を大谷が引き留め、昔話をしながら酒を飲むうちに柄本が大谷の胸を唐突に掴む…。
「胸が感じない女もいる」と呟く柄本。
「感じるわよ」と答える大谷。
改めて２人で密会の約束をし、２人はドロドロと不倫関係にハマっていく。
柄本はうだつは上がらないが、女好き。
それは友情や理性すら破り捨ててしまうような破滅型のもの。
大谷との関係を続けながら、恋人とも付き合い、その妹(高橋)まで手を出してしまう。
ある時、岸部が出張で家を空けることになった。
その日、昼間から柄本は大谷の待つ岸部の家に向かった。
そこで昼夜を問わず大谷を求める…。
翌日の午後、予定より大幅に早く岸部が帰ってきた…。
とまぁ、そんな話。
普通の、どこにでもいる主婦を大谷が演じている。
それがエロチック。
僕が人妻好きで、この世代の女性が好みになったのも、もしかしたらこの映画、大谷直子の影響かもしれない(苦笑)。
エロチシズムとは何か…
コリンヌ・クレリーや映画「ダブルベッド」を観て気づかされたものも多いし、僕の嗜好や思考に与えた影響は少なくない。
女性は日活ロマンポルノに馴染みがないだろうし、マイミクさんの世代は余計に知らないだろうけれど、面白い映画は幾つもある。
有名女優が出ているものに限らず、片桐夕子の「主婦もの」谷ナオミの「団鬼六・緊縛シリーズ」などエロスは秀逸。
女優だけではなく、映画監督もここから花開いた人は多い。
「Shall we、ダンス？」の周防正行、「おくりびと」「コミック雑誌なんかいらない」の滝田洋二郎、「セーラー服と機関銃」「魚影の群れ」の相米慎二、「最も危ない刑事」や松田優作シリーズの村川透、石井隆など枚挙に暇がない。
日活ロマンポルノだけで日記が幾つか書けるほど(笑)。
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