従軍慰安婦Q&Aコミュの強制連行などなかった？

１．強制連行とは何でしょうか。

　人狩りのように、首に縄でもつけて引っ張っていくことでしょうか。
　そういう事例はインドネシアで確認されていて、バタビア軍事裁判で有罪になっています。
　しかし朝鮮半島では、そういったケースは確認されていません。

　元慰安婦も、無理矢理連れて行かれたのではなく、だまされたのだと証言しています。
　いい仕事があってたくさん稼げると言われて着いていったら、慰安所にほうりこまれたと。
　
　ところで、強制連行とは、「拉致」のことです。

　【拉致】　むりやりに連れていくこと。

　むりやりとは、「強制的」ということです。
　強制的に連れて行くのだから、強制連行です。

２．どんな手口が「拉致(＝強制連行)」なのか

　「北朝鮮」による拉致事件については、以下のような手口が拉致と認定されています。

　・偶然通りがかった被害者を暴力も辞さない方法を用いて拉致する。
　・言葉巧みに誘い出し、誘拐する。
　・「仕事の紹介をする」として、本人の同意を取り付けて入国させる。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8C%97%E6%9C%9D%E9%AE%AE%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E6%97%A5%E6%9C%AC%E4%BA%BA%E6%8B%89%E8%87%B4%E5%95%8F%E9%A1%8C
（「拉致の手口」を参照のこと）

　北朝鮮に連れて行かれた石岡さん、松木さん、有本さんたちは、いいアルバイトがあると騙されて、拉致されています。
　いい仕事があると騙されて、慰安婦にされた少女たちと同じです。
　有本さんたちが拉致されたのなら、慰安婦たちも同じ手口で拉致されたことになります。
　つまり強制連行されたのです。

　拉致被害者をだまして連れ出した実行犯には飲食店主など民間人が多数含まれています。
　しかし指示したのが政府機関と思われるので、拉致事件は「北朝鮮」の犯行だと認定されています。
　慰安婦たちをだまして連れて行ったのも、民間業者です。
　しかし慰安婦募集を指示したのは軍です。
　ならば、直接責任は民間業者にあるとしても、管理責任は軍にあるとしなければなりません。


２．軍は誘拐の共同正犯である。

　誘拐が人を強制的に連行する犯罪であるのは、言うまでもありません。
　
　慰安婦募集方法が、当時の感覚でも誘拐に類するものであることが、警察資料でわかります。

　和歌山県知事から内務省警保局長に宛てた1938年２月７日付の
　「時局利用婦女誘拐被疑事件ニ関スル件」と題した報告書があります。（写真）

　この報告書によれば、和歌山県田辺警察署は、挙動不審の男性３名に、婦女誘拐の容疑ありとして任意同行を求めました。

　彼らは答えました。

　「自分たちは疑わしいものではない。
　軍部の命令で上海皇軍慰安所に送る酌婦募集にきたのだ。
　三千名の要求に対し、七十名はすでに陸軍御用船で長崎港から憲兵護衛の上、送致済みである。」

　しかし警察は、
　「無智ナル婦女子ニ対シ金儲ケ良キ点、軍隊ノミヲ相手ニ慰問シ、食料ハ軍ヨリ支給スル等、誘拐ノ容疑アルヲモッテ被疑ヲ同行、取締ヲ開始ス」とあります。

　警察の鑑札もないのに娼婦を募集するのは違法です。
　そのうえ所持していた契約書には、満１６歳からと書いてありました。

【資料　上海派遣軍慰安所酌婦契約条件】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=69156373&comm_id=5973321

　１６歳の少女を売春させるのは「娼妓取締規則」違反です。
　本人を警察に出頭させないのも、同じ法律で違法です。
　警察に無断でそんな募集をするのは、まったく違法もいいところです。

【資料１　娼妓取締規則】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=69156265&comm_id=5973321
　
　警察が誘拐だと判断したのは賢明です。
　しかもそのような違法な手段で彼女たちを海外に送るというのですから、刑法266条違反です。

【資料２　刑法266条】
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=69156265&comm_id=5973321

　警察は、栄光ある皇軍が、誘拐まがいの指示を出すはずがないではないかと常識的に考えたのです。
　ところが３人の身柄を拘束して取り調べをはじめた警察に、長崎県外事課から信じがたい回答が寄せられました。

　その男達の言うことは本当なのだと。


　「長崎県外事課よりの回答　和歌山県刑事課長　殿」という文書には、こう書いてありました。

　在上海総領事館警察署長から、長崎水上警察署長に、協力依頼が届いている。

　領事館警察は、上海領事館陸軍武官室憲兵隊から、慰安所を設置することにしたので、渡航の便宜を図って欲しいとの依頼を受けている、というのです。

　そこで警察は、３人の男を釈放せざるを得ませんでした。

　憲兵隊の依頼だというので、警察は手出しできなかったのです。

　そんなやり方だとは知らなかったではすみません。
　その業者を選んだのは軍です。
　彼女たちを運ぶのも軍だから、年端もいかない少女がいることはわかっていたはずです。
　この事件、憲兵隊は明らかに誘拐の共同正犯と言わざるを得ません。

（直接責任については「戦前、売春は合法だった？」も参照のこと）
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=69157926&comm_id=5973321　

３．軍は慰安婦連行にどのように関わったのか

　軍が慰安所設置を計画した。
　軍が慰安所業者を募集して、選定して、指名した。
　軍の指定業者が女性を集めた。
　業者は国権を背景に身分と安全と財産を保障された。
　違法な募集を警察が黙認した。
　軍が慰安所を設営した。
　軍が輸送船を用意した。
　外務省や総督府が出国を許可した。
　軍が慰安婦を輸送した。
　憲兵が警備した。
　軍が慰安所を管理した。
　業者が慰安婦を管理した。
　軍が料金を定めた。
　軍が軍医の診察を受けさせた。
　慰安婦は軍により移動の自由を奪われた。

　つまり軍が最初から最後まで、拉致（強制連行）に加わっているのです。