１．売春を規制した歴史
売春が合法でも、慰安婦が合法だったとは言えません。
売春は「娼妓取締規則」などの法律で規制されており、それらの法律を守って、はじめて公認されました。
ところが慰安婦については、規制法がまったく守られていませんでした。
法律を守らずに売春させるのは違法です。
だから、売春が合法だったといっても、慰安婦までもが合法だったとは言えないのです。
娼婦に関する法律の歴史をちょっとおさらいします。
1872年(明治5年)7月、横浜港に停泊中のペルー船籍マリア・ルス号から清国人苦力(クーリー。肉体労働に従事する下層労働者のこと)が脱走しました。
人道的観点から日本政府は、苦力231人を解放しました。
「マリア・ルス号事件」です。
ペルーはこれを不服とし、「日本の遊女はどうなんだ！」と抗議してきました。
当時は借金の肩代わりに遊郭に売られる幼女が多かったのです。
文明国の仲間入りを果たそうとしていた日本政府は、この抗議にすばやく反応します。
同年10月、人身売買を禁止した「芸娼妓(げいしょうぎ)解放令」を公布しました。
これが近代最初の娼婦に関する法律です。
その後、1900(明治33)年、内務省が「娼妓取締規則」を公布します。
これにより、届け出て許可を受けなくては、売春できないことになったのです。
２．慰安婦はどんな法律に違反したのか
■「人身売買禁止令」違反
■「司法省令第22号」違反
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借金を背負わせて身分を拘束し、年季奉公させるのは明治5年「人身売買禁止令」に違反しています。
とりわけ、それで売春させるのは明治5年「司法省令第22号」に違反しています。
売春させる目的で金を貸しても、娼婦はそれを返さなくてよいし、それについて業者が裁判を起こしても、裁判所は受け付けないというのが、「司法省令第22号」です。
この法律は明治３３年に廃止されましたが、それは「娼妓取締規則」が作られたからです。
新しい法律は、前の法律より優先しますが、人権規定だから後退してはなりません。
法の精神は継続しています。
現に、昭和の大審院も、明治５年の太政官布告の精神で法を解釈すると述べています。
■「娼妓取締規則」違反
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「娼妓取締規則」には、つぎのように定められていますが、慰安婦についてはなおざりにされているし、業者を使役していた軍も守らせていた形跡が見えません。
�‐�婦を雇う商売の新規開業の禁止
��営業権を譲り受けた者は、警察区長に届け出たうえで、区長の確認書を添えて警視庁に届け出ること。
��娼婦になろうとする者は、そのやむを得ない事情を書いて、両親と保証人2名の連署を添えて警察区長に届け出なければならない。
�い修亮蠡海蓮∨椰佑�警察に出頭して行わなければならない。
�シ抻，肋�婦になろうとする者を尋問し、本人の意思を確認しなければならない。
��娼婦になろうとする者は、警察区長の確認書を添えて警視庁に願い出なければならない。
��満18歳未満の者は娼婦になってはならない。
初期には、一応在外総領事館警察が形式的に慰安所の営業許可や登録業務をしていましたが、1937年に陸軍と領事館が協定をむすび、これらの権限も軍に帰属することとなりました。
しかしこの協定には、法律的な裏付けがまったくありません。
占領地でこそ軍が軍政を敷くので警察権を持ちますが、慰安婦を募集したのは占領地ではなく、朝鮮半島都内地がほとんどです。
軍法で特別に定めたもの以外、警察権に軍は介入できません。
領事館が軍に権限を移譲したというのは、いわば役所同士の談合に過ぎません。
つまり領事館(外務省)と軍が、率先して違法行為に手を染めていたのです。
■「刑法第226条 違反」
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上に述べたような違法契約で女性を売春目的で海外に連れ出すのは、刑法第226条違反です。
昭和12年、大審院（最高裁）で、売春目的で女性を海外に連れ出そうとした業者らが有罪になっています。
知人の妻らに手伝わせ、長崎から15人の日本人女性を娼婦として上海へ送った業者らに対し、
大審院第４刑事部は
「醜業（売春）を秘し、女給か女中として雇うように欺まんし、移送することを謀議」、
「婦女を誘拐して国外に移送した」「共同正犯」として上告を棄却、有罪が確定しています。
ところが軍が介在すると、こういうことが何のおとがめも出来なくなってしまったのです。
■「刑法第227条違反」
第226条の実行犯は、民間業者です。
だから軍や警察は管理責任を問われても、実行責任はないとも言えます。
しかし、それでも第227条違反は免れません。
第227条(被略取者引渡し等）は、第226条の被害者を引き渡し、収受し、輸送した者に課せられる罪で、「6月以上7年以下の懲役」に処せられることになっています。
慰安婦を運び、現地部隊に引渡したのは軍ですし、受取ったのはやはり軍部隊ですから、直接的実行責任が問われます。
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３．慰安婦は強制連行された
さて、それでは慰安婦を戦場に連れて行く行為に法律をちゃんと適用したら、どうなるのでしょうか。
まず、新規開業できないのに、軍が勝手に業者を指名して商売させるのは、官権による国法違反であり、効力がありません。
本来ならば営業停止です。
そのことを隠し、相手の法的無知に乗じて契約させても、明治民法第90条により、公序良俗に反する契約として無効になります。
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無効というのは、はじめからなかったことになるということです。
無効な契約なのに、あたかも有効であるかのようにだまして連れて行くのは、誘拐に当たります。
誘拐とはすなわち強制連行です。
（「強制連行などなかった？」を参照の事）
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こういう違法手段を使って、売春させるために女性を海外に連れて行くのは、刑法第226条違反です。
女性を輸送し、引き渡し、受け取るのは刑法第227条違反です。
これほど違法に違法を重ねては、もう弁護のしようがありません。
軍と業者が一体となった犯罪であり、国家犯罪と言えます。
売春は合法だった、などという言い分は、まったく通りません。
売春が合法でも、慰安婦が合法だったとは言えません。
売春は「娼妓取締規則」などの法律で規制されており、それらの法律を守って、はじめて公認されました。
ところが慰安婦については、規制法がまったく守られていませんでした。
法律を守らずに売春させるのは違法です。
だから、売春が合法だったといっても、慰安婦までもが合法だったとは言えないのです。
娼婦に関する法律の歴史をちょっとおさらいします。
1872年(明治5年)7月、横浜港に停泊中のペルー船籍マリア・ルス号から清国人苦力(クーリー。肉体労働に従事する下層労働者のこと)が脱走しました。
人道的観点から日本政府は、苦力231人を解放しました。
「マリア・ルス号事件」です。
ペルーはこれを不服とし、「日本の遊女はどうなんだ！」と抗議してきました。
当時は借金の肩代わりに遊郭に売られる幼女が多かったのです。
文明国の仲間入りを果たそうとしていた日本政府は、この抗議にすばやく反応します。
同年10月、人身売買を禁止した「芸娼妓(げいしょうぎ)解放令」を公布しました。
これが近代最初の娼婦に関する法律です。
その後、1900(明治33)年、内務省が「娼妓取締規則」を公布します。
これにより、届け出て許可を受けなくては、売春できないことになったのです。
２．慰安婦はどんな法律に違反したのか
■「人身売買禁止令」違反
■「司法省令第22号」違反
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借金を背負わせて身分を拘束し、年季奉公させるのは明治5年「人身売買禁止令」に違反しています。
とりわけ、それで売春させるのは明治5年「司法省令第22号」に違反しています。
売春させる目的で金を貸しても、娼婦はそれを返さなくてよいし、それについて業者が裁判を起こしても、裁判所は受け付けないというのが、「司法省令第22号」です。
この法律は明治３３年に廃止されましたが、それは「娼妓取締規則」が作られたからです。
新しい法律は、前の法律より優先しますが、人権規定だから後退してはなりません。
法の精神は継続しています。
現に、昭和の大審院も、明治５年の太政官布告の精神で法を解釈すると述べています。
■「娼妓取締規則」違反
http://
「娼妓取締規則」には、つぎのように定められていますが、慰安婦についてはなおざりにされているし、業者を使役していた軍も守らせていた形跡が見えません。
�‐�婦を雇う商売の新規開業の禁止
��営業権を譲り受けた者は、警察区長に届け出たうえで、区長の確認書を添えて警視庁に届け出ること。
��娼婦になろうとする者は、そのやむを得ない事情を書いて、両親と保証人2名の連署を添えて警察区長に届け出なければならない。
�い修亮蠡海蓮∨椰佑�警察に出頭して行わなければならない。
�シ抻，肋�婦になろうとする者を尋問し、本人の意思を確認しなければならない。
��娼婦になろうとする者は、警察区長の確認書を添えて警視庁に願い出なければならない。
��満18歳未満の者は娼婦になってはならない。
初期には、一応在外総領事館警察が形式的に慰安所の営業許可や登録業務をしていましたが、1937年に陸軍と領事館が協定をむすび、これらの権限も軍に帰属することとなりました。
しかしこの協定には、法律的な裏付けがまったくありません。
占領地でこそ軍が軍政を敷くので警察権を持ちますが、慰安婦を募集したのは占領地ではなく、朝鮮半島都内地がほとんどです。
軍法で特別に定めたもの以外、警察権に軍は介入できません。
領事館が軍に権限を移譲したというのは、いわば役所同士の談合に過ぎません。
つまり領事館(外務省)と軍が、率先して違法行為に手を染めていたのです。
■「刑法第226条 違反」
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上に述べたような違法契約で女性を売春目的で海外に連れ出すのは、刑法第226条違反です。
昭和12年、大審院（最高裁）で、売春目的で女性を海外に連れ出そうとした業者らが有罪になっています。
知人の妻らに手伝わせ、長崎から15人の日本人女性を娼婦として上海へ送った業者らに対し、
大審院第４刑事部は
「醜業（売春）を秘し、女給か女中として雇うように欺まんし、移送することを謀議」、
「婦女を誘拐して国外に移送した」「共同正犯」として上告を棄却、有罪が確定しています。
ところが軍が介在すると、こういうことが何のおとがめも出来なくなってしまったのです。
■「刑法第227条違反」
第226条の実行犯は、民間業者です。
だから軍や警察は管理責任を問われても、実行責任はないとも言えます。
しかし、それでも第227条違反は免れません。
第227条(被略取者引渡し等）は、第226条の被害者を引き渡し、収受し、輸送した者に課せられる罪で、「6月以上7年以下の懲役」に処せられることになっています。
慰安婦を運び、現地部隊に引渡したのは軍ですし、受取ったのはやはり軍部隊ですから、直接的実行責任が問われます。
http://
３．慰安婦は強制連行された
さて、それでは慰安婦を戦場に連れて行く行為に法律をちゃんと適用したら、どうなるのでしょうか。
まず、新規開業できないのに、軍が勝手に業者を指名して商売させるのは、官権による国法違反であり、効力がありません。
本来ならば営業停止です。
そのことを隠し、相手の法的無知に乗じて契約させても、明治民法第90条により、公序良俗に反する契約として無効になります。
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無効というのは、はじめからなかったことになるということです。
無効な契約なのに、あたかも有効であるかのようにだまして連れて行くのは、誘拐に当たります。
誘拐とはすなわち強制連行です。
（「強制連行などなかった？」を参照の事）
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こういう違法手段を使って、売春させるために女性を海外に連れて行くのは、刑法第226条違反です。
女性を輸送し、引き渡し、受け取るのは刑法第227条違反です。
これほど違法に違法を重ねては、もう弁護のしようがありません。
軍と業者が一体となった犯罪であり、国家犯罪と言えます。
売春は合法だった、などという言い分は、まったく通りません。
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