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ワンコイン未満読書コミュの【旅行】「江戸人と歩く東海道五十三次」(石川英輔)新潮文庫

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税別400円ですから、いまは税込420円です。

新潮社のサイト
http://www.shinchosha.co.jp/book/133391/

読書メーター
http://book.akahoshitakuya.com/b/4101333912
(読書メーターは読んでいる人の感想が見られるのでリンクを載せているだけで、私の個人的趣味でしかありませんからお気になさらないで下さい!)

江戸時代って、新幹線はおろか普通の電車も汽車もなかったし・・・
歩くしか方法がないから、旅は大変だったんだろうな〜

身分がうるさい社会だったし、女の人なんかとくにあれこれ制限されていたんだろうから、旅行なんてそんなに盛んじゃなかったんだろうな〜

などなどと思っていたら、とんでもありませんでした。

伊勢参りについて述べた一節。
「大規模なおかげ参り騒ぎは前後四回あったが、もっとも参詣者が多かったのが文政十三年(1830)で、参詣者は500万人にのぼったという説もあるほどだ。総人口が3000万から3100万人の時代だから、日本人の5、6人に1人が伊勢に行ったことになる。
 宝永二年のおかげ参りの時に、四月から五月にかけて京都を通過した伊勢参詣者の人数を京都所司代で調べたところ、男女の比率は3対2くらいだったという・・・」(82-3頁)

伊勢参りには「抜け参り」というのもあって、『東海道中膝栗毛』から引かれている一節に、弥次さんと子どものやりとりがあったりします。

 十二三才斗(ばかり)のいせ参、跡になり先になりて
  イセ参「だんなさま、壱文くれさい」
  弥二 「やらふとも。手めへどこだ(どこからきた)」
  イセ参「わしらア奥州」
  北八 「おうしうはどこだ」
  イセ参「かさに書てあり申す」
  弥二 「奥州信夫郡幡山村長松・・・」

酒田(現在の山形県庄内地方)の豪商の妻が単身(といってもお供は連れていましたが)で江戸に旅行した旅日記についても触れられていて、これは別の書籍からの孫引きではあるのですが、まずこれだけでも目が飛び出るほどびっくりです。

東海道五十三次の各宿場について述べる前に、充分に紙面を割いて、江戸時代の旅事情が現代の私たちによく分かるよう、当時のお金の話から旅行で運べる荷物の量と運賃、基本的な交通ルール(法律にあったわけではないけれど左側通行)、大名行列のときには別に土下座なんかしなかったことなど、入口となることから適度に丁寧に説明するところから始まっています。小著ながらも、このように記述にたいへんよく工夫が凝らされているので、値段をはるかに超える読みごたえがあります。

江戸期の図版がたくさん掲載されていて理解を助けてくれるのも大きな特徴で、とくに前半の図は、ちょっと欲張りな、江戸期の木版刷りの書物の字を読む練習を少しだけしたことがある人には、活字部分とはまた別に読んで楽しむことが出来ます。ただし図版中の字は途中で切れているのがミソで、二千円札の源氏物語絵巻(でしたっけ?)の詞書部分がさっぱり読めないのとおんなじ事態もあり得ますから、あんまし余計なことにまで手出しはしないほうがいいかも知れません。

箱根の「雲助」を現在イメージされているような悪辣さから名誉回復させてやったり、大井川の渡しに橋がなかった理由も単に幕府の軍事戦略ではなかったことを説明してくれたり、と、とくに東海道新幹線で東京〜大阪を往復出張する人には、窓の景色を眺めながら昔へとタイムトラベルするための恰好の書になるのではないでしょうか?・・・あ、東海道の終点は京都なんですけれど。


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