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みやざき中央新聞コミュのこどものSOSが届いていますか?3

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北九州少年サポートセンター係長の安永智美さんの講演より〜

私がある県で講演をした後、
一人のお母さんが私に話をしてくださいました。
こんな話でした。

□□□□□

私には、たった一人、たったひとつ、
大切な宝物がありました。
その大切な宝物を失くしてしまったのです。

私の息子は中学3年生の夏休みの最後の日、
8月31日に亡くなりました。
いじめを苦にしての自殺でした。

私が、部屋で死んでいる息子を見つけたとき、
息子の顔が怒っているように見えました。

私に、
「親なら分かれよ。
 どうして僕の苦しみに気づかないのか!」
と責められているように感じました。

息子の通夜、葬儀、すべて自宅で行いました。
1分1秒でも長く、最後の最後まで家にいてほしかったからです。

いよいよ自宅を離れて火葬場に向かうとき、
息子を棺の中に納められず、
私は車の中で夫と一緒に
ずっと息子を抱きしめていました。

その時、思い返していたのは、
息子が生まれて産院から自宅へ帰るときのことです。

私が腕の中に抱き、
息子はスヤスヤ気持ち良さそうに眠っていました。

そのときの息子の体はとても柔らかくて、温かくて、
その寝顔はまるで天使のように見えました。

なのに、亡くなった息子の体は、
とても冷たくて、硬くて、その顔は
苦しみで歪んでいました。

ごめんね、気づいてあげられなくて。
ごめんね、守ってあげられなくて。

何度も何度も息子に謝りました。

いじめで苦しんでいる子供達に伝えてください。
「絶対に死なないで」って。

あなたが死んでしまったら、
嘆き悲しむ人がいる。
そのことを忘れないでください。

あなたを必ず守れる人がいる。
そのことを忘れないでください。

いじめをしてしまう子供達にお願いがあります。
私は、いじめでたった一つの宝物を失くしてしまいました。

本当に苦しい。
本当に悲しい。
あなたのご両親も同じです。

あなたを失ってしまったら、
あなたのお父さん、お母さんは本当に悲しみます。
だから、いじめほど悲しいものはありません。
どうかいじめをやめてください。

□□□□□

私がこのお母さんの言葉を伝えると、
今までいじめをしていた子供達が涙を流します。

「あのお母さんの言葉を聞きながら、
 自分が面白半分でしてきたいじめが
 こんなに残酷で、こんなに悲しいものだとは思わなかった。
 自分の心の悪いところがパリンと割れるのがわかった」

大多数の子供達が同じような反応を示してくれます。

だから、
「いじめほど悲しいものはない」って
子供達に伝え続けてください。

子どもはみんな優しい心を持っています。
だから、絶対伝わります。

いじめという悲しい問題を
私達大人の手で
失くしていかなければならないと思います。

多くの子どもは、「チクる」ことは
かっこ悪いことだと思っています。

私は
「違うよ、チクるは相談することで、
 勇気のあることだから、どんどんチクりなさい」
と講演で話をしています。

私が小学校でこの話をした後、
小5の男の子から電話がかかっていました。

「今日、『チクるは相談することだ』って言ったよね」と、
クラスで起きている万引きの事を話してくれました。

その子のクラスでは
遊び感覚で万引きをしていました。

「今度はお前盗れよ」
「じゃあ次は俺だね」
という感じで。

そしてとうとう自分の番になり、毎日責められます。
「早く盗ってこい」
「いい子ぶりやがって。弱虫」

彼は、
「でも僕は絶対にやりたくない、なんとかしてほしい」
と電話をしてきたのです。

彼のこの一本の電話が34人の友達を救いました。
学校から親に連絡が行き、
お母さん一人一人がしっかりとわが子を叱り、抱きしめ、褒めました。
あっというまに解決しました。

私は彼に聞きました。
「どうして君は最後の一人になったの?
 すごいよ。良く頑張ったね。ヒーローだよ」

すると彼が、
「僕はヒーローじゃない。
 僕も一度だけスーパーに消しゴムを盗りに行った。
 一度だけ盗ってしまえばみんなに責められないから、
 一番小さい消しゴムに手を伸ばしたんだ」

…その時、
彼の目に浮かんだのは、

…お母さんの顔だったそうです。

「そのときのお母さんの顔は怒った怖い顔ではなく、
 今にも泣き出しそうな悲しい顔だった。
 ダメだ。お母さんが泣いてしまう。
 こんなことしちゃダメだ」

そう思って彼は一目散に逃げ帰ったそうです。

彼が踏みとどまれたのは、
心の中に
「この人だけは裏切られない、
 悲しませられない」
という人がいたからです。

そして、
「自分は大切な子どもなんだ、愛されているんだ」という
自尊心があったからです。

これが彼を守ってくれたのです。
越えてはならない一線を越える前に。

盗みをして施設に入った小1、小2の兄弟の話です。

3ヶ月経っても一向に心を開かない兄弟のために、
安永さんはふとひらめいて、
息子のクワガタを一匹、施設に持っていきました。


「すげぇー兄ちゃん、クワガタだ」
初めて見せる笑顔でした。

「すげぇすげぇ」
「これ俺らにくれるん?」

施設の人と二つの約束をしました。
「お世話をすること」
「他のお友達にも見せること」

2週間後、施設から電話がありました。
「この2週間で
 あの二人の顔が別人のようになりました」って。

何がよかったのかって、
クワガタがよかったんじゃないんです。

あの子達がお世話をしますよね。
そしたら褒められるんですよ。
施設の先生に。

「お利口だね」
「えらいね」って。

今まで言われたことのなかった言葉ですよ。

そして、お友達にクワガタを見せると
「ありがとう」って言われる。
これも今まで言われたことのなかった言葉です。

彼らは施設で初めて大切に育てられる体験をしたんです。
それまで
「腹が減ったら盗って食え」
という家庭で育っていますから。

ちゃんとご飯を食べられて
安心して眠れて、
「お利口だね」と褒められて、感謝される。

これこそが子どもが育つ環境です。

私は、見違えるような二人を見て、
涙が止まりませんでした。


ところで、
施設の兄弟にクワガタを持っていった日の夕方のことです。

我が家では、
「クワガタが一匹逃げた」と大騒ぎになっていました。

私が持っていったクワガタは
お兄ちゃんのものでした。

帰宅した時、玄関先でぼうぜんと立って
涙をポロポロ流している息子の顔を
私は未だに忘れることができません。

私は息子を抱きしめ、
心の中で言いました。

「あなたのクワガタが二人の子どもを救ったのよ」って。

そして一緒に探しました。
本当のことは数年たった今も言えていません。

私があの子達の心の扉を開く「鍵」を見つけることができたのは、
あの子達の笑顔が見たい、その一心でした。
それだけでいいと思います。

みなさんも、わが子の笑顔、地域の子の笑顔が見たい、
その思いさえあれば、子どもは必ず応えてくれます。

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