◆日本の神話と古代史と日本文化コミュの三貴神の天降り仮説

最近、三貴神の天降り仮説を思いつきました。
もちろん仮説ですから確たる証拠はありません。ただ『古事記』などの矛盾からこういう推論も成り立つのではないかということです。その根拠を挙げますから、反論願います。

その前提は天御中主命から天照大神への主神差し替えです。『古事記』では最初に天御中主命(北極星)が登場してすぐ隠れてしまいます。天が地上を支配し、天が北極星を中心に回転して秩序が守られていると考えますと、天御中主命が主神であったのでないかと推察されます。これは海洋民族や砂漠の遊牧や行商民族が北極星を主神にした信仰であったこと、中国の天帝も御神体は北極星だということからも考えられます。天孫族は元々壱岐・対馬が中心の海洋部族だったという説も有力ですから、北極星信仰だったのです。

　それがイワレヒコの東征で大和朝廷ができます。河内・大和は元々太陽神の国でニギハヤヒ信仰があり、物部氏が太陽神信仰を仕切っていました。大王家は夜に祭祀を行っていたので、太陽神信仰ではなかったのですが、河内・大和の農業地域が中心なので、どうしても主神差し替えの必要に迫られました。七世紀に物部氏の宗家が蘇我氏に倒されたのをきっかけにニギハヤヒ信仰を物部氏だけの信仰に限定し、大王家の祖先神をニギハヤヒの祖父アマテラスにしたのです。その際推古女帝の時代だったので、その権威づけもあり、アマテラスを女神だったことにしたのです。

　アマテラスを女神だったことにすることで、スサノヲと誓約した相手をツクヨミからアマテラスに差し替えたのです。誓約は実は月読の国筑紫で行われたのですが、アマテラスを主神にしたので、高天原で誓約をしたことになったのです。ツクシで誓約したのは、スサノヲの剣をツクヨミが噛み砕いて、宗像三女神を生みました。宗像三女神ツクシの北岸沖ですから筑紫で誓約したと考えると分かりやすいですね。

　黄泉の穢れを禊ぎしたイザナギが最後に三貴神を生みましたが、なぜ三貴神と横並びなのでしよう、それはアマテラスが元々は主神でなかったためだと思われます。説話は記紀もそうですが、最大のテーマは建国の謂れを説くことです。記紀は大和政権の謂れを説くことにテーマがありますが、元々は三国の謂れとその興亡を説いていた筈ですね。だから三貴神は、それぞれの国を建てた神だから三貴神だと推察できます。

　スサノヲが出雲建国神であることは周知でしょう。ツクヨミは筑紫の建国神なのです。ツクシは月の古音がツクであることから「月地」の「ぢ」が濁音がとれて『シ』になったとすれば「月の国」が元々の意味だったことになります。だからツクヨミが天降りして建国したのです。それをずらして孫のニニギが建国したことにしたのです。つまりニニギは実はツクヨミの孫だったのです。その曾孫がイワレヒコなので大和政権の祖先神はツクヨミだったことになります。太陽神を主神にし、しかも祖先神にするために誓約の相手を差し替えたということなのです。

　元々アマテラスが女神というのは不自然です。陰陽説は渡来人によって伝わっていたでしようから、太陽は男神で月は女神です。天日矛伝説でも大八洲の太陽神は男神ですし、伊勢神宮の斎宮は御杖代と呼ばれ太陽神の花嫁だったのですから、太陽神は男神であり、スサノヲと誓約をした女神はツクヨミだったことになります。でもそれではニニギは太陽神の孫、天孫と呼べないのでアマテラスを女神にしてツクヨミと差し替えたわけです。

　誓約でスサノヲの相手が女神だというのは、スサノヲの剣を相手が噛み砕き、相手の珠をスサノヲが噛み砕いているので、剣が男性を象徴し、珠が女性を象徴するからです。

　主神差し替えの傍証になるのが、住吉大社の祭神です。住吉大社はオキナガタラシヒメ(神功皇后)が新羅征服の勝利を神に感謝して、彼女に憑依した神を祀ったものです。ですから彼女は祀る神であり、祀られる神ではありません。祭神は当然『古事記』に従えば、アマテラスと住吉三神のはずです。

　ところがアマテラスを祀らずにオキナガタラシヒメを祀っています。『住吉大社神代記』では、タラシナカツヒコ大王は住吉三神の新羅攻めの勧告を無視したために身罷ったことになっています。その際にアマテラスが憑依したことは触れていません。後日臣下に問われ、アマテラスもいたことを数日後にやっと思い出し、しかも別名で述べています。朝廷の意向に抵抗したのではないでしょうか。

　本当は、アマテラスではなく、天御中主命が憑依したので、天御中主命を祭神にしていたのが、朝廷の意向でアマテラスに差し替えを要求されて、住吉大社は祟りが怖いと拒絶したのではないでしようか、でも記紀の記述でアマテラスが憑依したことにされてしまっていて、天御中主命は隠れたことになっているので、逆らうわけにいかず、新羅征服のヒロインオキナガタラシヒメを合祀することでアメノミナカヌシを降ろす代わりにアマテラスは祀らないで祟りを避ける妥協をしたのでしょう。

　住吉大社が朝廷に対してかなりの敵愾心を抱いていたことは『住吉大社神代記』から窺がえます。まず住吉大神を大王の上に置いています。これは中臣神道とは違います。主神アマテラスの御子として大王は全ての神々の上に立っていた筈ですから、住吉大神に呪殺されるなどとんでもない大逆です。
それに夫タラシナカツヒコ大王が身罷った日に上筒之男命とオキナガタラシヒメが情交を交わしています。これも大逆であり、不義密通の大罪です。しかもオキナガタラシヒメが上筒之男命と一緒にいたいと言ったということで神官津守氏が合祀したということにしています。

　住吉大神の方が、天照よりもイザナギから先に生まれているので格が上だという意識が住吉大社にあったかもしれませんが、それでは律令国家の神祇制度の主旨には合いません。物部氏の流れを汲む神官たちには、主神差し替えなどに対する恨みが根強く残っていたのではないでしょうか?

　誤解なきよう願いますが、あくまで元の伝承が三貴神の天降り倭人三国建国説話だったのではないかという仮説でして、その伝承の内容が史実だったと主張しているわけではありません。

コメント(37)

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[1] mixiユーザー 05月01日 10:07

>ツクヨミは筑紫の建国神なのです。ツクシは月の古音がツクであることから「月地」の「ぢ」
>が濁音がとれて『シ』になったとすれば「月の国」が元々の意味だったことになります。

これは面白い！

[2] mixiユーザー 05月01日 20:42

>>[1]
ありがとうございます。ついでに何故筑紫でスサノヲと月読命が誓約をしたのかですが、スサノヲはイザナギに海原を支配せよと言われました。つまり元々天孫族は壱岐・対馬あたりが本拠地で、「天降り」というのは「海降り」で大八洲に乗り込んで植民することなのです。スサノヲは本拠を守って、海運や水産を仕切っていたのですが、スサノヲは嵐ですから、彼がいたらかえって海が荒れて、海運や水産は成り立たない、それで姉ツクヨミに救援を求めて筑紫に渡ったら、弟が攻めてきたと思って、身構えたそれで誓約になったという次第です。
それで誓約に勝って、居座っていたら、ついいたずらが過ぎて追放され出雲にいって八岐大蛇を退治して建国したという次第です。出雲を建国することで、壱岐・対馬と海運ができ共栄できるということですね。

[3] mixiユーザー 07月08日 15:59

住吉三神はオリオン三連星だということですが、新羅侵攻にあたって，オキナガタラシヒメに憑依し、侵攻を指揮したといわれています。しかも大王タラシナカツヒコは住吉三神の意向に逆らったので、みまかったと『住吉大社神代記』に記されているわけです。これは住吉三神が大王より格上であることになりますが、そこから推理しますと、天は海を意味し、オリオンを旧倭国で日本海の津の連合だとしますと、オリオン三連星は、壱岐・対馬ということになります。ですからむしろそっちが本家で筑紫倭国は分家になります。
　今、新羅や百済に加羅が圧迫されているので、新羅侵攻を起死回生でやろうというのが旧倭国の指令だとしますと、それに逆らったタラシナカツヒコが呪殺されてしまうということです。住吉大神=オリオン三連星=壱岐・対馬で、オキナガタラシヒメと密事を交わしても新羅侵攻をした住吉三神のイメージがやっとつかめてくるのです。

[4] mixiユーザー 07月08日 21:54

北極星と太陽の差し替え面白いです
ウヒルキ＝天照＝男神
オリオンをミゾクヒ、三島星と言っていた古代の時代もあるという説を読んだ事があります
九州の三島溝杭は海運、たたら製鉄の技術渡来民で住吉三神も同族

[5] mixiユーザー 07月09日 16:18

みしまるさん、三島は壱岐・対馬と考えると、倭国史がかなり分かりやすくなりますし、五島列島なども含めますし、倭寇の本拠地で、この地方の人々が二千年近く大陸沿海、朝鮮沿海を震え上がらせたわけですね。オキナガタラシヒメは彼らと結びついて、新羅侵攻を成功させ、東西に分裂していた倭国再統一をなしとげたのでないかということです。

[6] mixiユーザー 07月13日 00:30

昔は日ユ同祖論なんてかなりのトンデモと思っていましたが、
大陸を伝わる遡り方を見ていると最近はだんだんすんなりうなずけるようになってきて
神道、下鴨神社の三柱の鳥居とか、下記で紹介されているピラミッドの底のオリオン座や
ほとんど大黒様（出雲大国主）のような発掘物も中国よりもっと向こうからの影響を感じさせます。
日本語のルーツが、インドのタミル語系とか、ヘブライ語とか
離れた地域と地域の間に、連続した同言語のつながりが見つからないのに、類似がおおいというのはそもそもの民族、氏族そのものが長距離移民して来た実証となるという考え方があるようですね。
住吉三神も海神族で、昼間は東から南中を通って西へ沈む太陽を、夜は同じく東から上り、南中を通って西に沈むオリオン座を暗闇の航海の目印にしたのではないか？　とも聞いた事があります。
住吉三神＝オリオン座＝三本足の八咫烏（三島溝杭耳）＝賀茂健角身＝下鴨神社祭神→神道発祥

http://www.youtube.com/watch?v=FjtBfhJV7c8
http://www.youtube.com/watch?v=aTflE9COnco

[7] mixiユーザー 07月13日 12:24

>>[6] そっちへふりますか?私は、記紀の解読から、記紀が七世紀の大和王権一元論に歴史をまとめ直したものと捉え、元の倭人三国の伝承を記紀の矛盾を手掛かりにして復元できないかという問題意識です。そしたら天皇家の祖先がツクヨミだとか、三貴神の天降りなどが見えてきたという次第です。

[9] mixiユーザー 07月18日 09:53

>>[8] 「創作」と言わないで「歴史物語」と言って欲しいですね。一応記紀の矛盾から、倭人三国伝承を推量しているのですから、史実として主張するわけではないものの、こういうお話があったのではということです。無根拠に作り上げた創作ではないわけですから。

[11] mixiユーザー 07月20日 05:33

卑弥呼は三世紀中頃だということは動かせません。神功皇后も息子が応神天皇である以上、四世紀末でしょう。アマテラスの孫の世代がニギハヤヒやニニギたちです。その曾孫がイワレヒコ(神武)です。イワレヒコからオオタラシヒコ(景行)までは三百年ほどでしょうから、アマテラスは紀元前1c頃いたことになりますね。卑弥呼に当たるのは記紀には登場しません。ということは筑紫倭国の女王だったのでは?

[13] mixiユーザー 10月06日 22:05

>>[12] ごめんなさい。このトビのことすっかり忘れていました。その問題は内容で判断してください。海原とは日本海で海原倭国のことです。海原倭国は実態は半島南端から筑紫北端にかけての津つまり港町のアソシエーションです。中心は壱岐・対馬だったと思われます。イザナギはおそらく御柱のある壱岐にいたのでしょう。末っ子のスサノヲに継がせるつもりだったけれど、哭きいさちって災害をもたらしたので神逐ひされてしまいます。月讀命は「月地」つまり筑紫であって、そこが「夜の食国」ですね。月なので夜祭祀するわけです。だから『古事記』の記事の方が説得力が有ります。

[14] mixiユーザー 10月06日 22:43

前回の質問の続きです。
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やすいゆたかさん
>>[163] L-ikeさん「吾者生生子而、於生終得三貴子。」「御寓之珍子」は『古事記』『日本書紀』『先代旧事本紀』にある表現です。「ミツのうずみこ」「ぎょぐうのちんし」というのは貴い子でありますので、イザナギの子ですので「三貴神」ですね。

江戸時代の研究から生まれたというのは、こちらが教わりたいお話ですね。

ついでにかきますが、それぞれ器物神がシンボリックについていて、それが三倭国の統合で集められ、『三種の神器」として大八洲の覇権の象徴になります。当然アマテラスは鏡、月讀命は勾玉、スサノヲは剣です。ところが誕生にあたり『古事記』ではアマテラスに勾玉だけを与え、月讀命とスサノヲにはプレゼントしてません。これは三貴神説話になっていないわけです。やはり七世紀に、アマテラスとスサノヲが宇気比をしたことにしなくてはならないので、アマテラスに鏡ではなく、勾玉を授けたことにしたわけです。
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三貴神の初出を質問したものです。ご回答ありがとうございます。質問の意図は伝えきれない部分がありましたが、お答えは、先回りしていただいて、私の望んだものとなりました。ありがとうございます。

三貴神が江戸時代のものというのは、
これは私の友人の某大学の教授の方にお聞きしたのですが、三貴"子"と三貴"神"のニュアンスの違いだということです。神々の中で尊いのか(他の全神々と比べて,,,つまり皇祖神として、)、イザナギの産んだ子の中で尊いのか(他の兄弟達と比べて,,,つまり、ヒルコなどと比べて)の違いになってくるということでした。

残念ながら、その教授の方は、特に天皇家についての事はタブーだとして、論文や資料にそういったことは明記されないという主義の方のようで、調べても出てきませんでしたが、お酒の入った席でざっくばらんに質問したところ、個人の見解として、仰ってくれました。他の研究者の方にもある程度そうした見方をしているという人間もいるということでした。

江戸の本居宣長などは、国粋主義でゆうめいだったようで、天照皇祖神は譲らなかったそうです(その辺の論争も有名ですよね)。弟子の平田篤胤はどちらかというと、出雲よりだったようですが。

そうした初期研究の影響を現在も受けているのではないかということでした。

おっしゃるように、誓約の神話を製作するための役割分担が整理されたのだと思います。
そのため、初期の神器と、誤が出てきた跡が見られるということにも同意します。

鏡と月読の役割として、鏡を五行の観点からみると明らかに月の属性ですが、古代太陽信仰としてみると、天照の持ち物となる。
勾玉はどう考えても出雲の特産ですから、そこは否定しきれない事実として、スサノヲが元々出雲系の神話の神様であったことを表しているというのも話の流れで筋が通っていると思います。
そのあたりの行き違いを私の中で、浮き彫りにしていきたいと思っています。

ただ、やはり、神話の中の神様を実在の人物一人に比定してしまうやり方は、まだ違和感があります。日本としての国の歴史を少しばかりかさ上げするために、数百年ほどごまかしたのではないかと思っています。ですから、記録に残っていない年代については、考古学的資料を信頼するほうが、確かだろうという考え方です。ももそ姫の伝説は後ヅケだろうと思いますが、卑弥呼の箸墓説は専門家の間では、かなり信ぴょう性が上がっているようです。科学的調査が許されていない段階なので、まだ、時期があっていないとしていますが、可能性の上では大いにありうる話だと思っています。他の説の比定材料になってしまうかもしれませんが、科学で分からないことを解決するのも、ロマンの一つだという捉え方をしてます。

[15] mixiユーザー 10月06日 23:05

>>[12] 「大穴持は１７代続いていて大国主は８代目の八千矛のことを指しています。
古事記では八千矛の神歌物語にも　八千矛の神の命や大国主　とあります。
日夲書紀ではある書曰くに大己貴命と記されてます。
出雲風土記では大国主ではなく正式な大穴持と表記されております。
これは１７代の年代差から來るものではないでしょうか」

１７代をどう解釈したらいいか分かりませんが、一応三倭国間の興亡史と関連させていくしかないので、
やはり初代スサノヲは三貴神のスサノヲより一世紀以上前に出雲を建国した暴れん坊だったのではないでしょうか。オオクニヌシはたくさんの名前がありますが、土地や財や武力をもっていて恐れられた人物ではないでしょうか、それから女性に助けられているところから優しいイメージや性的に強いイメージがあります。多くの国を支配するためには、結婚でつながるというのが有効なので、大物主とか呼ばれます。大穴持とも呼ばれ、金毘羅さんにお参りした時に男女具有神の像があったような記憶がかすかに残っています。ともかく凄いスケールの人物だったということでしょう。

[16] mixiユーザー 10月06日 23:38

>>[14] 三貴神は「御寓の珍子」ということで建国神であり、したがって三倭国をそれぞれ建国したので横並びだったはずです。現存しているのは大和政権が統合し、アマテラスを主神・皇祖神に差し替えた後のものですから、その点を考慮して、元の形を復元していくべきと思います。
　スサノヲにつきましてはえいじさんへの応答でも触れましたが、一人に限定することはできません。またイザナギの三貴子についてもあくまで神話化されたものですから、三倭国の祖を兄弟だったことにして、共存共栄を図ろうという意図があってできたお話です。すべて実在というわけではないとしても、壱岐・対馬からの出身者たちが三倭国を形成したことは伺えますし、畿内には太陽神の国をつくり、筑紫には「夜の食国」をつくり、出雲では高志の勢力を撃退して、出雲倭国を形成したことも伺えます。
　勾玉が月讀命だということは三倭国の神宝は三貴神に付随する器物神ということですから、スサノヲは剣、アマテラスは鏡なので、残る神宝は勾玉であり月讀命だということです。つまり器物神というのは産地の問題ではなく、その神を器物で表現したものということです。鏡は太陽のように照り輝くということです。勾玉の形状が三日月ということがあるかもしれませんし、潮の満ち引きの呪術には勾玉が使われたので、月の共通と考えられたのかもしれません。
　そして勾玉は陰であり、女性の装飾によく使われたのではないでしょうか。アマテラスに女性のイメージを持たせるためにイザナギはアマテラスに勾玉のネックレスをプレゼントしますが、月讀命やスサノヲには何もやらないのは不自然です。これは元の説話ではアマテラスに鏡、月讀命には勾玉、スサノヲには剣を与えていた筈なのに、スサノヲと宇気比をしたことにするために、アマテラスに勾玉を授けたことにしたのです。

[17] mixiユーザー 10月07日 00:05

>>[16]
三貴子と三貴神のニュアンスの違いですが、日本書紀と古事記をおしなべて見た時に現れてくる価値観なのではないかと思っています。

>スサノヲにつきましてはえいじさんへの応答でも触れましたが、一人に限定することはできません。

三倭国についてのやすいゆたか様のお考えは理解しました。
私は、記紀などの書物が紀元前にまで及ぶ伝承を正確に残しているとは思えないので、時代の認定は書かれる100年から200年前後　前までだと感じています。

勾玉の件は、産出国だけでなく、信仰の性質からも、出雲で間違いないと感じています。(これは個人的な見方かもしれません。)神器としてのメタファーは、その産出地域にも及んでいたとする考え方になります。

以下のブログの方は、万葉集の歌から、天照の語が月を元来は表していたとして、アマテラスそのものに月の属性を見ています。私は月の属性は認めますが、天照が皇祖神としてなる前にいずれかの神に置き換えられたというのは否定しません。お考えは違っていますが、大変興味深いと思い読ませていただいてます。

http://homepage2.nifty.com/nihonshingaku/page017.html
>『万葉集』では銅鏡、特に白銅鏡(ますみのかがみ)は月の象徴として扱われています。二、三例を挙げてみましょう。
　　　
　　　鏡なす　見れども飽かず　望月の　いやめづらしみ　思ほしし　君と時々(巻2、196番)
　　　まそ鏡　照るべき月を　白たへの　雲か隠せる　天つ霧かも(巻7，1079番)
　　　吾が思ふ妹に　まそ鏡　清き月夜に　ただ一目　見するまでには(巻8，1507番)

[19] mixiユーザー 10月08日 07:30

>>[17] 記紀は国の謂れ、建国史を記したものです。そしてそれを文字化する際に、既に七世紀で大和政権が統一していたし、天照大御神を主神・皇祖神に差し替える大神道改革があったので、それにそって三倭国の伝承を改め、統合したものであるということです。
　元々は大八洲における建国は、交易によって各地を開くことこれがイザナギ・イザナミの国生みですね。次に三貴神を送り込んで、三倭国を形成することです。高天原や海原倭国にとっては、大八洲の倭国統合は困るのです。強盛倭国の出現は逆に呑み込まれることになりますから、あくまでも三倭国が競合しながら、共存共栄して欲しかったわけですね。
　神宝はその観点から解釈すべきです。アマテラスは照り輝くという威力ですから、それを器物で示すのは鏡だったわけです。スサノヲは猛り狂うという威力なので剣、月讀命は何かですが、鏡では区別できません。呪術的な霊力の強さですね、それから三日月形というのもあり、潮の満引きを操る呪力がある点で共通しているとみられる勾玉が最適だったわけです。それに女神の装飾ということもあります。女神ということで言えば、月のものもあり、勾玉は胎児の形でもあります。
　文学的に満月と鏡が似ているということでの表現はあるでしょうが、器物神の場合はまた違います.。アマテラスというのは月でも言えるわけですが、建国神の場合はアマテラスは照らす威力で支配するわけですから、月ではありません。あくまで建国説話だということを踏まえてください。月は變化し、栄枯盛衰を象徴したりして、運命を操るような呪力があるわけで、その上、暦や方角などもありますね。
スサノヲは荒ぶる神であり、各時代に超人的な狂暴さを発揮した人物はスサノヲの化身と見られたでしょう。出雲の建国神は三貴神のスサノヲの150年以上前にスサノヲ一世が建国したのを、高志に侵略されて、三貴神のスサノヲが侵略者を追い出して、出雲倭国にしたと解釈できます。もちろん八千矛神だとか、ヤマトタケルなどもスサノヲの化身と恐れられたのではないでしょうか。

[20] mixiユーザー 10月08日 07:46

>>[18] そこが素晴らしいところですね。最も恐れているのは恨みからくる祟りです。最近も大津波や原発事故が有りましたが、大八洲は災害の多い国で、飢饉や疫病も猛威をふるいましたね。ですから自分たちが倒した前王朝の神や王を悪しざまに言ったり、蔑ろにすると祟られると思っているのです。まあ別に正義だから勝ったわけでもないわけで、前王朝の神を祭祀してスサノヲやアマテラスからも守ってもらおうとしたわけです。もののあはれをしるこころでもあります。
　アマテラスも饒速日王国の建国神だったわけですが、七世紀に主神・皇祖神に差し替えて、物部氏から簒奪してしまったわけです。そうすると今までの主神天之御中主神が祟るので、大王の称号を同じ意味の天皇にしたということです。月讀命は散々な目に遭わされているので祟が怖い、伊勢神宮には特別に内宮と外宮に月讀命のための宮がありますね。

[22] mixiユーザー 10月08日 17:49

>>[19]
>文学的に満月と鏡が似ているということでの表現はあるでしょうが、器物神の場合はまた違います.。

お返事ありがとうございます。
出雲や伊勢に昔から伝わる伝承の中の神話がまずひな形にあって、その後、朝廷の討伐後に、朝廷の神、皇祖神を中心とする神話の体系化が行われたと感じています。そのなかで、当時大陸から入ってきた宗教感覚が混ざって反映されているために、一つの考え方では筋が通っているものも、また別の宗教観からすると誤りが起こってくるという特段の例が、正に鏡だと思っています。
陰陽、太極思想でも、五行でも、鏡は陰の性質で、月を表すのは明白なんです。しかし、天照がそれを自分だと思えというのは、太陽神信仰と月神信仰の混同が起こっていたこと、置き換えが起こっていたことは明白だと言えると思います。

私は、器物神としての性質は、そうした体系化の後生まれた価値観、三貴子ではなくて、三貴神の価値観として後世に生まれ出てきた物だと思っています。当時の歌の感覚に天照が太陽という認識がなかった、むしろ月の側面が強かったというのは、ひとつの証拠になりうると思います。(宗教観を今の現代人の感覚で見てしまうと誤りが出ると思っています。当時の宗教観を紐解きながら、当時の感覚で見ると齟齬が起きてくるものが、後ヅケされたものだと断言していいものになってくると思います。)

[23] mixiユーザー 10月08日 22:04

>>[22] ありがとうございます。勉強になります。風水では鏡は陰だと書いてあるようですが、器物について陰陽はきっちり定められていたのですか?鏡が陽でなくて陰だという基準は何ですか?だれかが陰だと言えば陰で陽だといえば陽だとか、地域によって陰陽がばらばらな器物もあるというようなことはないのですか。
天照の場合説話的に岩戸に隠れた天照に鏡で姿を観せたという謂れから、天照と鏡を同一視しているわけです。伊勢神宮では月讀命も鏡なら、豊受も鏡です。ご神体は鏡が圧倒的ですね。次第に霊信仰が強くなって、霊は鏡に入ると見られていたのかと想像していました。
　ともかく太陽神が主神・皇祖神に成ったのは確かで、そのチャンスとしてはやはり物部氏宗家の滅亡後であり、600年遣隋使が大きなきっかけという解釈が自然ではないでしょうか?

[24] mixiユーザー 10月09日 00:20

>>[23]
すいません。やすい様のお考えと私の考えで違う点を書いただけなので、説を否定するためのものではないです。

風水と五行は元になる考えが同じではありますが、かなり違ってきています。
大陸と日本の風水では全くと言っていいほど性質が違います。

五行は古くから暦法を司る氏族の秘伝として、算術や天文観測、観測技術などを伝えていたようです。太極思想や陰陽道などの影響をのちに受けて、融合していくこととなります。

鏡の陰性については、大陸から伝わった時点でそうなっていたので、地域差という事はほぼないと言っていいと思います。

鏡の神秘性からご神体として多く拝される様になるのは、神社が系統立てて祀られるようになってからでしょう。前述の遺跡では、銅鐸のような祀る物でしたから。

天照の月属性については、倭姫命世記などにその記述があります。右も左も陰陽ではきちんとした意味があります。

また、勾玉の胎児の形というのも、実は後ヅケでしょう。
中絶技術が伝わった以降しか胎児の形を見ることは出来なかったでしょう。
流産などしても助かるほどの医療技術は当時ほぼなかったはずです。
魚や両生類等の胎児の形を見ることはあったかもしれませんが、それは進化論が出てきてから出ないと、結びつけることは難しいはずです。

勾玉の形は太極や三つ巴などにあらわれる形として捉えていたほうがいいかもしれません。

鏡の陰性、月属性については、神々の流竄トピでの発言がありますので、探してきます。

[25] mixiユーザー 10月09日 00:32

>>[23]
>ともかく太陽神が主神・皇祖神に成ったのは確かで

少しその辺も怪しんでみています。
もちろん、持統天皇以降の日本史では、天照は皇祖神で女神で太陽属性というのは、そうした体系化の後にあった形をとったものですから、否定しません。
その前身、ひな形として、別の形があったことが垣間見えるということになると思います。
当時の宗教観を見るときに、その時代その時代で、入ってきたものが少しずつ違い(五行、陰陽、太極、、神道、仏教、、常世信仰、鳥船信仰、等々)、日本で当時流行っていたものも少しずつ違うので、具体的にいつの時代のアマテラス像はどういったものだったのか、個別に話していかないと、どうしても全体像としての、今日ある天照像しか焦点が合わなくなってくると考えています。
http://mixi.jp/view_bbs_comment.pl?comment_number=543&community_id=508139&bbs_id=76756124

[26] mixiユーザー 10月09日 00:46

>>[23]
http://mixi.jp/view_bbs_comment.pl?comment_number=552&community_id=508139&bbs_id=76756124
月の配置が地域差ではないことがリンクのpdf内に記録されています。
今日の皇室行事でも採用されているので、
一般的な考え方になると思います。

[28] mixiユーザー 10月09日 16:15

>>[26] 陰陽説というのは、本来相関的な捉え方ですよね。明るいほうが陽、暗いほうが陰を基本にしています。だから日と月では、日が陽で月が陰ということです。夜空を明るく照らす満月は夜の世界では陽ですね。鏡も陰だといわれるのは、自ら発光しているのではなく、光を受けて反射している受け身だから、太陽に対して陰だということです。鏡自体が陰だから月というのは不自然ではないでしようか。むしろ大八洲では鏡が古墳の採光に使われ、呪術的に用いられたという話を聞いたことがあります。
　　伊勢神宮には月讀宮と月夜見宮があり、特別扱いですね。それは天照にしてもそうですが、祟りを恐れているということでしょう。元々大王家の祖先神だったわけだから、それを天照と差し替えられてしまった、さぞかし恨みに思っているだろうということです。
　逆に天照は祟り神だったのに主神・皇祖神に差し替えられてしまった、そのためにツクヨミと性交換までされてしまっています。鏡と勾玉という器物神も天照にイザナギがあげたことにされていますね。 L-ikeさんは、鏡が陰で月ということにこだわりますが、勾玉についてはどうですか、胎児の形は流産や死産で分かりませんか？妊婦か死ぬと腹の子を取り出して抱かせていっしょに葬ったそうですが、もう三日月形ではないかな？まあそれはないにしても勾玉は形といい、呪術性からいっても月讀命にふさわしいでしょう。
　それから天之御中主神を主神から降ろした代償に大王の称号を天皇にしたという仮説はどうでしょう。もちろんそんなことをいうと天皇が推古からという証拠はないと返されるでしょうね。

[29] mixiユーザー 10月09日 16:38

-勾玉だけについていえば、私も胎児がモチーフとは思いません。

-やはり、元々は動物(狼など)の牙を使って造ったからあの形なのであって、動物信仰、トーテム信仰だったと思います。

-狼の能力にあやかろうとするなら、主に男性ものであったと思います。

-ただし、ネックレスとして流行したとか、そんなの、現在の流行を見れば、毎年変わりますよね。それをもって、男ものか女ものかなんて言えません。

[30] mixiユーザー 10月09日 18:53

>>[28]
私は、自分の論で自然なものをとっているだけで、特に鏡にこだわっては居ないつもりです。
ただ、月と鏡というのは、陰陽ではセットで考えられているという価値観があったという点を見逃しては当時の信仰形態として、いけないと思うのです。押し付けるつもりはありません。私の考えと、やすい様のお考えの差異と受け取っていただけたら幸いです。

勾玉は出雲で確定としているのは、私だけではないと思うので、その辺は以前に別の方から上がっていたリンクを貼ります。

http://sauvage.jp/activities/2319
>勾玉と印璽

三種の神器は古代から天皇の宝器とされます。ところが『古事記』では「曲玉・鏡・剣」、『日本書紀』では「璽・鏡・剣」と要素変換が起こっています。現在は正倉院御物の中の不可解な過去の遺物である勾玉が、古代の律令国家成立の前と後で天皇王権の性質が変化したことを示す鍵となります。中国に倣い進められた律令国家の中心は、文書行政の整備でした。文書行政の上で必須の皇帝権力の表象物は玉璽です。古墳時代におそらく王権連合の威信を示すために配布された呪術的な勾玉に替わって、律令制下では実務的な印璽が神器の位置を占めることになったのです。ところが、神宝の献上を継続した出雲だけは、玉造の技術と儀礼を保存伝承していきました。出雲では９世紀半ばまで勾玉が儀礼として使われたことが文献に記録されています。古墳の副葬品には物実（モノザネ）志向がみられます。現世と他界の連続性を信じ、死者に畏怖と祈念と記念を重ねた品を持たせて送るのです。かつては勾玉もその一つだったと考えられます。

[32] mixiユーザー 10月14日 07:20

>>[29] 勾玉は縄文時代からあった、瑪瑙や翡翠などの硬玉から作られました。狼の牙から作ったという話はあまり聞きません。形状も胎児や三日月形という説が有力なようです。また杖が男性自身をシンボルするのに対して玉が女性自身をシンボルするのではないでしょうか。そこから女性の生理や妊娠、胎児と命を生み出すことについての呪術や、潮の満ち引きの呪術などに関連すると思われます。
　　宇気比での剣と玉の交換などはその良い例ですね。ですから勾玉を持っていたのはアマテラスではなくて、元々はツクヨミではなかったかと考えられるのです。

[33] mixiユーザー 10月14日 09:05

>>[032]―-勾玉が、牙から造られた説は、昔、ある研究者から聴いたのです。その時は「なるほど！」と思いました。

-牙=歯ですから腐ってなくならず、一応、穴があけられ勾玉らしく加工されたものが発掘されたから言ってるんじゃないんですかね。私は信用してましたけど。

-また、この様な研究者の定説も、年々変わるものだとは思いますが。

-勾玉のモチーフが胎児という説は、その話を聴く前から、まことしやかに囁かれていて、一般に根強いですね。

-胎児の形を首に飾るか？―-というのが、私はどうもひっかかるんです。水子供養の意味ならアリですが、それなら成人の死を供養する別の形も存在するハズだしとか、思いますね。

[34] mixiユーザー 10月14日 14:05

>>[33] 珠と魂がつながっているのではないでしょうか。胎児の形は、肉体の中の不死の部分つまり生命の結晶のような珠(=魂)が存在すると考えられていて、胎児はその珠が母胎に入ってふくらんだものだと信じていたので、魂を象る時に胎児の形に模したのかもしれません。そう考えると魂と珠がつながるわけです。

[35] mixiユーザー 10月14日 19:06

>>[034]―-う～む―-勾玉が、魂の形を表したとするお説。可能性は否定しませんよ。

-しかし、依然としてちょっとひっかかるので、申し訳ないんですが、よく、私達がイメージする、ネックレス状になった勾玉で考えて下さい。

-①―-平均的な同じようにな大きさに造られるが、なぜ、あの大きさになったのか？。

-②～ペンダントの様に玉は一個ではなく、勾玉は数個以上を並べるのはなぜか？。

-③―-置物ではなく、なぜ身体に着けるものになったか？。

-これらの疑問には、勾玉は元々は牙から造られた説は、自動的に応えているのです。

[36] mixiユーザー 10月14日 20:04

勾玉のルーツが紅山文化という説に、
賛成のような、反対のような、正直よく分からないです。

もし紅山文化がルーツなら、
あれだけ多様な紅山文化の玉器の中から、
何でこれだけ選んだのかとか、謎だらけです。

これはおそらく龍でしょう。

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