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きゃぷてん がんばるっ!!コミュの〜第32章〜(約束)

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「……うっ、うう……」

 朦朧とした意識の中で雅は、やっとキャプテンにめぐり逢えたことを知った。

「……さき……ちゃん……ゆめ……じゃ……ない……よね?」
「ミヤぁ!!」
 キャプテンは力を失った雅の手をギュっと握りしめたが、その手首には何かで長時間縛られた痕が、くっきりと残っていた。
「……わ……たし……今度……こそ……サキちゃん……を……裏切ら……なかった……よ……」
 途切れとぎれの小さな声で、雅はそう言うとニコリと微笑んだ。
「うん、うん、分かった……分かったよミヤ……」

 雅がなにを言っているのか、キャプテンにはさっぱり意味が分からなかったが、きっと何らかの形で自分を守ってくれたのだと思い、雅の会話の途切れる度に首を振り続けた。
「……ゴメン……ね……昨日……ゴメンね……エッチな子で……ゴメン……ね……」
 ずっと伝えたかったキャプテンへの謝罪を、雅は何度も繰り返して言った。彼女にとってはまさに、百年越しに伝えた心からの謝罪であった。
「私、なんにも見てない! 見てないから、ミヤが謝ることなんて、なんにも……なぁんにもないんだよ! だって見てないんだもん!!」
 ポロポロとこぼれる大粒の涙を拭うのも忘れ、キャプテンは『妹』に言い聞かせるように下手くそな嘘を叫んでいた。
雅はそんなキャプテンにまた微笑を見せると、抱きかかえられている姿勢のままで、下からキャプテンの頬に手を伸ばして『姉』の涙を拭い取り、その優しさに無言で感謝の意を表した。

 キャプテンは雅の身に何が起きたのか、事情を問いただそうと、桃子と舞波の姿を探して辺りを見回した。しかし既に2人の姿はなかった。
「……放って……おきましょ……」
 雅はキャプテンに向かって静かに、だが強い意思の篭った口調で言った。
「でも……」
 キャプテンは反論しかけて止めた。雅の目から大量の涙がドッと流れ出ていたからである。雅は下唇を噛み締め、眉をしかめて泣いていた。明らかに悔し涙であった。
「……帰りましょう……ミヤと私の部屋に……」
 しばらくの沈黙の後、キャプテンは雅の広い額に手を当てて言った。
「……サキちゃんの手……冷たくって気持ちいい……」
 雅は安心しきった表情で目を瞑った。

 キャプテンは雅の着衣を整えると、彼女を部屋まで運ぶのに手助けのメンバーを呼びに行こうとしたが、雅が頑なに拒んだので一人でなんとかすることにした。
 最初は肩を担ごうと思ったが、なにぶん雅の方が長身なので上手くゆかず、思い切っておんぶすることにした。

「あはは……ミヤって思ったより軽いやぁ!」
「もっとダイエットしとけば良かったなぁ……」
 キャプテンは多少足がふらつくのをごまかすために大袈裟に笑った。雅はお尻に受けた鞭の傷に、時折キャプテンの手が当たって呻き声を漏らしそうになったが、必死に笑って見せた。
「ミヤぁ、もうすぐ私たちの部屋だよ」
 ふらふらと歩きながら、キャプテンは雅に話しかける。
「……サキちゃん……お願いがあるの」
「なに?」
「今日起こったことは、絶対に秘密にして……誰にも言わないで欲しいし、何があったのかも聞かないで欲しいの……」
「…………」
「……お願い」
「……分かった……約束する……」
 キャプテンの約束には値千金の重みがあった。雅は自分のわがままな願いを全て受け入れてくれたキャプテンに感謝して、おぶられながら泣き出していた。
「ああっ神さま、ありがとうございます……清水佐紀とめぐり逢わせて下さったことを、心より感謝いたします……」
「なんにも心配いらないから……もう泣かないで、背中が濡れちゃうよぉ」
 そう言ったキャプテンの目にもまた、涙が溢れていた。

(つづく)

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