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ハルカなる物語のお部屋コミュの 「紬」

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私の最初の記憶は「ママ」からお乳をもらっていること。ぐいぐいお乳を引っ張って、おなかいっぱいになるまで飲ませてくれた。
それから、私が泣くと「ママ」すぐにやってきて私を抱きしめてくれた
私は「ママ」が大好きだった

「ママ」は私に名前くれた。
「−」。その名前が私は大好きになった。
私が甘えると、「ママ」は私を抱っこしてくれたり、おもちゃで
私がいなくなると「ママ」は私の名前を呼んで探してくれた。
おっきな声で何度も、何度も。そして私を見つけると、思いっきり抱きしめてくれた。
そして、怒られた。

「ママ」の事は大好きだけど、一つだけ不思議なことがあった。
私と「ママ」は似ていない。
私は真っ白だけど、「ママ」にはほとんど毛がなくて、ある毛は白じゃなかった。
私も、「ママ」と同じが良かったなぁ
あと、私と「ママ」はお話し出来なかった。
私は「ママ」が言ってることはわかったけど、「ママ」は私が何をしゃべっているかわかってくれなかった。
でも、気にはならなかった。だって、私が「ママ」に大好きっていうと、「ママ」は笑って私を抱きしめてくれるから。抱きしめてくれる腕から「ママ」が私を愛してくれてるって伝わってきたから

私と「ママ」はきっと、ずっと、こんな毎日を過ごしていくんだと思ってた。
でも…私が「ママ」より大きくなったころから少しづつ、何かが違って行った。

「ママ」は私をあんまり構わなくなっていって、他の人や動物とばかりいるようになった。
前は一緒に寝てたのに、いつの間に別々に寝るようになった。
私がちょっとイタズラすると、すごく怒る。…あ、これは前からだった。
私がすり寄ると、前は抱っこしてくれたのに今は頭をなでるだけになった。
「ママ」は私のこと、嫌いになったのかなぁ〜?

ある日、「ママ」が私を連れて、どこかのお部屋へ連れてってくれた。
いくつもの扉を抜けた後、そこには私と同じような人たちがたくさんいた。
真っ白い毛、小さい頭、小さい耳、とがった牙
私は初めて、自分と同じ格好の人たちを見た。
私よりも大きな大人。そして、その人たちはみんな片目がなかったり、片足がなかったり、包帯を巻かれていたりした。

ビックリして固まってると、おっきい大人の人が
「なんだお前、新入りか?」
と言ってきた。しかも、睨んでた。

怖くて怖くて、つい「ママ」の後ろに隠れてしまう。
「ママ」は苦笑すると、また私を外へと連れ出してくれた。

でも、それからちょくちょく私はその部屋へ連れて行かれるようになった。
中には入らずに入口までとか外のあたりをグルッと回ったりとか…
そして、気付いたことがあった。
その、私とそっくりな外見をした人たちは『私の言ってることが分かる』

「ねぇ、どうしてあなたたちは私の言ってることがわかるの?」
「ママ」に聞いてもわからないから私は直接、聞いてみることにした。
すると、彼らは大笑いした。
「あっはっは、お前、なに言ってるんだ?」
「笑っちゃ悪いわよ。私たちが言葉がわかるなんて当たり前でしょ。だって、私たちは“同じ生き物”なんだから」
「そう。私たちは“―――”で、あいつらは“人間”。“人間”に私たちのことなんてわからないわよ。」
「“―――”って…なぁに?それは「ママ」とはどう違うの?」
「おいおい、こいつ、本当に分かってないみたいだぞ」
「“人間”をママ…もしかしてあなた“人間”に育てられたの?」
「「ママ」は「ママ」だよ!それに私は「ママ」の子供だから“―――”じゃなくて“人間”だもん!」
「あなた…ねぇ、良く聞いて。あなたはね…」


「絶滅危惧種研究保護センター」


それが、私がいたセンターの名前だった。
私を育ててくれたのはそこの研究所で働く社員で、私は親離れの時期を経て、自然へと返された。
そこのセンターには私のように親を失ったホッキョクグマや何らかの理由で自然では生きられない者たちが多くいて、人間と共に暮らしている。
私が初めてあった同類たちは片目がなかったり、片足を引きずっていたりと大きなケガをしていた。
幼いころはわからなかったけれど、確かに彼らは自然界では生きていけない。
生きられない。

私は“ホッキョクグマ”、私を育てたのは“人間”
そんな違いさえ気づかないほど、私は、幼いころからあのセンターにいた。
そんな違いさえ気づかないほど、私は、「ママ」を信じていた
そんな違いさえ気づかないほど、私は、愛されていた

愛して、愛された記憶が今、私を新しい命へとつないでいく。
私の傍らに寄り添う子供は幼いころの私。なら、私がこの子の「ママ」なのだ。

紬ぐ。命を
紬ぐ。記憶を
紬ぐ。愛を
紬ぐ。想いを
「紬」それが、私の名前。「ママ」から最初にもらったプレゼント
「紬」それが、私の使命。「ママ」から最後に託された願い

コメント(4)

こういうSFっぽいギミック、好きだ。
SFというかクマから見たらって感じですけどねw
SFでたまにある手法なんだ。
攻めてきた異星人は二本足で歩く醜悪な容姿。…それって人類じゃん!みたいな。

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