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桂の書庫コミュの零地帯172 約束

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その人の肩に日中止まるのは初めてだった。
僕は、大空を高く、何処までも飛ぶような鳥ではなく…手の平サイズの小さな小さな小鳥…


緑深い山の中…
太陽の光と温もりは、天からの恵として全ての命に降り注ぐ。
そこに足を踏み込むのは小さな動物と獣たち…
そこを、その人は影のように静かに、けれどその一歩一歩は重く、迷いなく歩いて行った。

しばらく歩くと、一軒の小さな家が見えた。
その人は何の躊躇いもなくドアを開け、迷うことなく家の中を進んでいく。

厚く積もった埃の上に、その人の足跡が刻まれていく。

その人は、キッチンに入ると、テ-ブルに積もった埃を手で掃いのけて、胸元から出した一輪の薔薇を置いた。
燃えているような薔薇…

その人はキッチンを出ると、迷うことなく地下への扉を見つけた。
この家にそぐわないほどガッシリとした黒い木製の扉。
大きな魔法陣が刻まれていた。

…結界…

その人が魔法陣に触れると、扉は音も無く消えてしまった。
驚く事なく、目の前に現れた階段を降りていく。
最後の一段を降りると、今度は白い木製の扉が現れた。
また魔法陣が刻まれていた。
今度は宝石もはめ込められていて、さっきの扉よりも頑丈そうだ。

その人は、白い扉をトン…と開けた。

結界が機能していない?

扉の中は、本で埋めつくされていた。
一応、本棚はあるみたいだけれど、棚が足りないようだ。
足の踏み場がない、本の海を、その人は躊躇なく蹴り進んでいく。

繭があった。

空中に巨大な白い繭…

『よう』

その繭に、軽い挨拶を投げかけると…
空中の繭を一気に引きずり落とした。

繭が割れる。
割れるというより、パラパラと解れていく。
『浮気、しなかったか?』

悪戯っ子のように弾んだ声をかけ、繭の中へと手を差し延べた。

どこまでも白い肌…
細く、どこまでも真っ直ぐに伸びた銀糸の髪…
ゆっくりと開けられた紫の瞳に、その人は悪戯っ子のように映っていた。


女神様だ…


『さあ…私を殺しなさい』

血のように朱い唇が小さく動く。

その人は差し延べた手を繭の中の細い腰に回すと、白い人を力強く抱き寄せた。

『俺のモノにしてからな』

嬉しいという感情を抑えることなく、瞳の熱い想いを隠すことなく…けれど、朱い唇に重ねた唇は、とても優しかった。


あの結界は、この人以外を弾くもの…

あの女神様は、この悪鬼を待っていたんだ…

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