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桂の書庫コミュの零地帯139 タイア-ドvsアネ-ジャ(闇の子供)

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物心ついた頃には、臭い街の隅で生きていた。
雨風を凌ぐ家は邪魔だった。
毎日、気ままに軒下で寝起きしていた。
着の身着のまま、その日食べるは、自分で『調達』する。
自分の血も、他人の血も、随分流した。
両親がいたのかも、俺は覚えていない。


俺は、いつも一人だった。



『あのガキ、どこに行きやがった!』

男2
『今日こそ逃がすなよ!』

男3
『まだ10にも満たないガキだ。
半殺して、大人の恐ろしさを染み込ませろ。
飼い馴らすぞ』

太い怒鳴り声に、小路に身を隠すも、怯えてはいなかった。
いつものことだ。
飼い馴らされるつもりもない。
そんなことより、この右手の止血をしないと。
誰に、いつ、やられたのか覚えてないが、右手に巻き付いたロ-プの刺が、どんどん減り込んでいく。


『こっちだ!』

行ったはずの大人たちが戻って来た。
…血痕か。


『見つけたぞ』

後ろからも足音が聞こえる。
4、5、6…8人程か。
なら…


『あぐあっ!』

瞬時に、男の顎を右手で突き上げた。
刺のロ-プがたるんだ男の顎肉に食い込み、そのまま顎骨を砕く。
倒れた男の顔を踏み付け、路地に出た。

右手は痛い。
疼くなんてものじゃない。
けれど、気持ちがいい。


『こっちだ!』

路地に出た瞬間、10人程に囲まれた。
それぞれに武器を持っているが…
どれも金にはなりそうにない。
大人たちが口々に叫んでいるが、知ったこっちゃない。
いい加減、右手もどうにかしたいから、俺は手近の一人を右手で殴り倒し、そいつの剣を奪った。
奪って、間髪入れずに切り掛かる。

流れる血を、地面が吸う。
大人たちの悲鳴で、空気が震える。

むせ返る血の匂い、鼓膜を刺激する悲鳴…

興奮している。

自分の痛みさえ、気持ちがいい。


『お強いんですのね』

何時から居たのか、正面に俺と同じぐらいの女の子がいた。
フワフワした髪は月色に輝き、白い小さな顔にのった金の瞳は、少し目尻が垂れているが、目の前の惨状に伏せることなく、俺を真っ直ぐに見ていた。
迷子にしても、毛色が違いすぎる。

アノ子ノ悲鳴ハ サゾカシイイ声ダロウヨ

アノ肉ハ 柔ラカイダロウナ

アノ子 高ク売レルゾ

バラシテ売ロウカ?

ソノママ売ロウカ?

マダ切リ足タリナイカラ 切ッチャオウカ?

ザワザワと心が騒ぎ、黒い何かが、俺を覆っていった。

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