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桂の書庫コミュの零地帯133 前夜・カティ

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窓から見えるのは、見慣れた城下街。
家々の火もまばらになり、夜の女神が街を支配する。

『終ったら、『次』が始まる…
か…』

ショウ
『呑みすぎですよ』

気の利く相棒が持ってきたお代わりは、冷たい水だった。

『今日ぐらい、いいだろ〜』

ショウ
『明日に備えるんじゃないのですか?』

『今日はな…』

言葉を濁すと、笑顔のまま溜息をついて、酒のグラスが出て来た。
二人分。

『ここがなくなったら、お前はどこに帰る?』

ショウ
『もちろん、主である貴方のもとへ』

ショウは自分からグラスを重ね、一気に半分を飲み下した。

ショウ
『妻はアルル様のもとへ、息子はアレル様のもとへ。
私達は貴方達の影ですから』

『一番苦労してんのは、ガイだろうな』

ショウ
『良い修行です』

影か…

ショウ
『影はどこまでもついて行きますよ。
たとえ、それが地獄だとしても』

見透かされてる。

ショウ
『アレル様には、帰る場所は必要無いでしょう。
場所があれば、かえって足枷になりますしね』

そう、育てた。
いや、育ったのか。

『すべては
『終りを始める時』
のために…』

ここまでは、レダの夢見の通りだった。
が、夢見は明日で終わっている。
一番知りたい結末がない…

ショウ
『貴方は、『次』が始まったら何をしますか?』

次か…

『また、世界を流れるか』

明日には、この視界が一変する。
恐らくこの城も…

ショウ
『さ、お酒はこれぐらいにしましょう。
明日は大仕事ですからね』

俺の手から、八分目まで残ってるグラスを取り上げて、一気に飲み干した。
結局、コイツの方が呑んでんな。

ショウ
『朝寝坊はなしですよ。
では、良い夢を…』

空いたグラスを持って、ショウは退出した。

レダの見た夢に、 『次』はあったんだろうか?
幼い頃から、自分の『最期』を幾度となく夢見たのに、子供を産んだレダ…
昔、一回聞いたのは

総ては『業の浄化』のため

と言っていたな…
『業の浄化』…
神の時代の、真なる『最期』か?

ショウ
『柄にもなく頭を使うと、禿げますよ』

窓硝子、俺の後ろに、ショウが映り込んだ。
ショウ
『仕事は終ったから、長年の友として。
一杯だけ』

手にしているのは、二人分の酒入りのグラス。
何だかんだ、コイツも俺に甘い。
今度は『友』として、俺たちはグラスを合わせた。

明日、始まる…

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