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桂の書庫コミュの零地帯108 紫の瞳と朱い翼

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…女神が悪魔に食べられる…

その瞬間…

シン
『なんて弱い』

どこからかシンさんが現れ、右手で悪魔の翼をわしづかみにし、左手でたくましい背を押さえ…

メリメリメリメリメリメリ…

アレル
『!!!!!!!!』

大きな翼が、背中から引きはがされた。

声にならない悲鳴をあげて、アレルさんの体は弓のように反り返るも、その背中や頭を足で抑え込まれた。

シン
『いつまでも、醜い翼を拡げているからだ』

紫の瞳が、冷たく笑っている。

シン
『昔も今も、『己』に負け、大切なものを失い…同じ事の繰り返しで満足か?
子供じみた独占欲での恋愛ごっこは楽しいか?』

シンさんは、笑いながら、血が溢れ出るアレルさんの背中を、グリグリと踏み締める。

シン
『愛した者の血肉は、さぞかし甘美だろう』

アレルさんの髪をわしづかみにして、その顔を微かに呼吸するだけのクレフさんへと向ける。

シン
『これで満足か?
それとも、髪の一本も残さず、喰らうか?
敗者はいらない。
『己』にすら勝てない弱者なら、ここで消えてしまえ』

僕の知らないシンさんだ。
見下すその笑みは、とても冷たく、『情』の色は一切なかった。

アレル
『あ…あぁ…うあぁぁ―!』

ップ!

爆発?!
熱風が襲ってきたかと思った 次の瞬間、周りの炎がアレルさんへと集まっていく。

音はなく、ただただ炎の煌めきがそこにあった。

次第にアレルさんを取り巻く炎は小さくなっていき…
最後は朱い翼を拡げたアレルさんが立っていた。

ああ…
覚醒したんだ…

素直に、そう思った。

シンさんの姿が消えていて、アレルさんは足元に倒れているクレフさんを抱き上げると、血の気の失せた頬にキスをした。

アレル
『立てるか?』

そのまま僕の所にくると、首を振る僕の横にクレフさんを横たわらせた。

『クレフさん…』

悪戯に痛め付けられた人形のようで痛々しい。

アレル
『…悪い』

ポツリとこぼした声はとても小さく、今にも泣き出しそうな感じだった。
頬を撫でる手が優しかった。
眉間に皺をよせ、ギュっと唇を噛み締めるアレルさん…
なんて苦しそうな顔…

アレル
『このままで大丈夫だ。
…放れず、ここにいろよ。
ガイ!』

僕にかけてくれた声も優しかったのに、ガイさんを呼ぶ声は怖かった。

ガイ
『ここに…』

柱の影から現れたガイさんは、あの魔導師を捕まえていた。

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