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悪魔の映画辞典コミュのトピック版【 さ 】

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[さー1]さい・かい【斎戒】[名・サ変]神聖な仕事をするひとが飲食や行いを慎み、心身を清めること。−もくよく【−沐浴】[名・自サ]斎戒し、からだを洗って、身も心も清らかにすること。  

ボクたちの仕事は人の生き死にに関係するものであるから、心は斎戒沐浴の気分で臨んでいる、ことを心がけている。しかし理想はそうでも、真剣に対峙しなくてはならない場面が少なからずある。ボクなどは煩悩全肯定人間のようなものだが、仕事ともなればそうもいかない。そういえば、今から四半世紀前、今は家業と主婦と映画とアルコールのすべてをこなすスーパー主婦である友人のK嶋さんとデパートを歩いていたとき、彼女が「沐浴だぁ」と口ずさんだ。難しい言葉を知ってるなぁと驚いた。「しかし、それはまたナンで?」と訝しく思った。そこは洋菓子売り場、目の前には「モックヨック」ならぬ「ヨックモック」が売られていた。


[さー2]さいじ・き【歳時記】?一年中の自然現象や生活行事を季節別および分野別に整理して記した本。?俳句の季語を集めて季節別および分野別に整理分類し、各季語に解説・例句を施した本。 

実を言えば、ボクの趣味のひとつに歳時記集めがある。事典でも言えることだが、時代時代で内容が違う。その違いが、とても面白い。現在も手に入る歳時記の最古のものは高濱虚子編の「ホトトギス歳時記」だ。それらをみていると、いまや死語になった言葉がバンバン出てくる。「鬼の霍乱」という言葉に名を残す「霍乱」は夏の暑い時期に水分や冷やしたものを食べ過ぎて起こす、現在の急性胃腸炎にあたる下痢・腹痛をいうものだ。『ウエスト・サイド物語』のクラプキ巡査や、『砲艦サンパブロ』でマコを苛める兵隊の役などでファンの一部に知られる役者がいる。高校生のボクはサイモン・霍乱ド(サイモン・カークランド)と覚えたものだ。それはとっても変ったガキだったと、いまは思う。


[さー3]サイダー 炭酸ソーダにシロップや香料を入れてつくった清涼飲料水。シャンペン・サイダー。  

『サイダー・ハウス・ルール』というラッセ・ハレストレム監督の秀作があった。そこで初めてサイダーとはリンゴ酒のことだと知った。そういえば、むかしニッカから出てたリンゴ酒は読み方を変えて「シードル」とネーミングしていた。こう見えても、ボクはサイダーにはうるさい。ボクが親父と地元の東映封切館で時代劇に通っていた昭和30年代。堺の映画館には地場産業のシホエ鉱泉所製の小サイダーと呼ばれるどぎつい色彩のサイダーがあった。大手の三ツ矢サイダーが350cc入りであったことに対しての小サイダー(200cc)だったのだろう。この小サイダーを思い出すとき、汲み取りトイレの目に沁みる臭いとともに、満員の場内が蘇ってくる。イム・ヴォンテクの「将軍の息子」第1作で、映画が見たくて汲み取り口から侵入する浮浪者の子どもが出てくるが、これはなんとなく分かる。食べることにも事欠く生活にあっても、娯楽には決死の覚悟が必要となる場合がある。往年のテレビ・ドラマ『ビーバーちゃん』で兄ウォーリーの悪友エディに唆されてビーバーが映画館の非常口を内側から開けて見つかり補導寸前となるエピソードがあった。これが汲み取り口から黄色まぶれでみつかったのなら、映画館主はあきれ返りながらも許してくれたことだろう。


[さー4]さお・もの【棹物】「棹物菓子の略」ようかん・ういろうなどの棒状の和菓子。  

本当に駿河屋の「夜の梅」みたいなずっしりと重い羊羹なら撲殺できるのではないか。同じ発想を抱いたのが遠藤周作。狐狸庵シリーズのどこかで、そのことを「夜の梅殺人事件」と名づけていた。こういうユーモア、大好きだぁ。


[さー5]さか・おとし【逆落とし】ものをさかさまに落すこと。  

いまでこそ『お父さんのバックドロップ』などと言うけれど、ボクたちの子ども時代は「脳天逆落とし」であった。ルー・テーズであった。ヘイスタック・カルホーン、フレッド・ブラッシー、スカル・マーフィー、ザ・デストロイヤー・・・、あの毎週金曜日20時からの60分。ディズニー・ランドとの隔週放送。あのころは純朴だったよね。三菱の掃除機がいくら強力でもリングの汗まで吸引するわけはないのに、へぇーと感心してたし、沖識名の白いTシャツが毎回引き破られるのを勿体無いなぁと思ったよ。それにしても吉村道明はいつもコーナーに捕まって力道山を呼ぶのである。こどもはこれではファンにゃならんよね。可哀想!


[さー6]さか・て【酒手】酒を買うための代金。  

娘さんよぅ、酒手をはずんでくれねえか。何をご無体な、約束がちがうではありませんか。ぐずぐず言うんじゃねえよ。くれねえなら、こっちにも考えがあるんだぜ、あれぇ〜、後生です、後生ですから・・・。大抵着物を剥がれそうになるとき、編笠が飛んできて首から膝小僧までをスッポリ隠してくれるのである。こんなことでも、少年たちは鼻の穴を膨らませたものだ。


[さー7]さか・ねじ【逆捩じ】相手の非難や抗議を逆にやりこめること。  

最近の若者は、親切で注意しても素直に聞くどころか、却ってこっちの不備を責める。だから、だんだん注意したくなくなる。ヨン様より優位なもの、それはオレ様だという時代になったのかも。まさに『冬のそなた』だ。


[さー8]さがみ【相模】旧国名。いまの神奈川県の大部分。  
むかし漫画の「わんわん保安官」の声は相模太郎。たしか浪曲出身だったと聞く。『珍犬ハックル』『クマゴローの大冒険』『早射ちマック』『ヘッケル・ジャッカル』『キャスパー』『ポーキー』『バッグス・バニー』いろいろあったが、一番好きだったのが『どら猫大将』なんといっても面白かった。そして超豪華な声優陣が魅力だったのよね。谷幹一、田の中勇、長門勇、立川談志、三遊亭歌奴!


[さー9]ささら ?竹を細かく裂いて片端を束ねたもの。?なべ、かま、めしびつなどを洗う道具。  

ささらは、よく中華料理屋で中華なべをきれいにするのに使われている。しかし意表を突かれたなぁと思ったのは、札幌の町の除雪にはささらが大量につかわれていると聞いたこと。西部劇に出てくる裾広がりの異物除去目的の金属のはかま部分にささらを何百本のならべるのである。安いし、アイデアを考えた職員は功労賞ものだと思う。


[さー10]さざん・か【山茶花】ツバキ科の常緑小高木。日本の特産。  

むかしはいい顔した俳優がいくらでもいたなぁ。黒澤明が時代劇を撮らなくなったのは、時代劇の顔がいなくなったからという。数多い懐かしい顔の中で怪優といえば山茶花究ではあるまいか。この芸名も九九の3×3=9(さざんがきゅう)からきている。洒落ているなぁと思う。


[さー11]サスペンダー ズボン吊り、靴下どめ。  

ビリー・ワイルダーの『地獄の英雄』の最初のモノ・ローグは、カーク・ダグラスが訪れた田舎町の新聞社の人間を見ながら呟くものだ。「この世の中で、サスペンダーをしているのに、ズボンにベルトを締めているヤツは信用できない」というものだった。このセリフを知ってから、両方を一緒にすることが出来なくなった。案外気が小さいことを改めて知った出来事だ。『地獄の英雄』のダグラスは『フォーリング・ダウン』のマイケル・ダグラスにそっくりだ。あっ、これは反対だな。長生きすると、こんな奇妙な言い回しも出てしまう。


[さー12]さらし・あん【晒し餡】あずきのこしあんを天日・風にさらして乾かし粉にしたもの。

  この品物を見るたびに、悲しくなる。まず美味くないことが気に食わない。最中の皮にくるんだ懐中しるこなどは論外だ。むかしのアンパンはなぜあんなに美味かったのだろう。いまコンビニでアンパンは大抵105円だが、文句の出ないようにどっしりと餡子を入れている。本当に美味いアンパンは牛乳と一緒にたべる必要がない。緑茶と一緒に食べられる。長い間、そんなアンパンを食べていなかったが、昨日発見した。200円するが、なにも親の敵のように餡子は入ってない。どうせ1個しか食べないのだから、200円は高くはない。映画も同じで、大作にする必要はない。結果は観客が判断するものだ。いまや3時間の超大作などと聞くと、小便は我慢できるか心配になるひとは少なくないだろう。『風と共に去りぬ』『ベン・ハー』が3時間50分、『クレオパトラ』は4時間8分あった。いま映画ごときに4時間費やせる時代でもあるまい。しかし、忘れてならないのは、むかし2時間で描くことの出来た内容は、いまなら2時間30分かかっているという事実を体感して欲しい。演出の平均的実力は確実に低下している。多く作って多く捨てる、そのことができる時代ではなくなったのだね。


[さー13]サラミ ニンニクで味をつけたイタリア風のソーセージ。  

サラミというと思い出す友人の顔がある。その友人は毎日家から昼食代を貰ってきていたが、ひそかに自宅からサラミ・ソーセージとフランス・パンを持ち出し、浮かしたカネでトルコに行くのを楽しみにしていた。遣うのは牛乳代だけだから、恐らく1日に500円は浮かせたことだろう。なんとなくウマが合った。ボクが映画代を捻出するには、昼食代を浮かせるのが一番簡単な方法であったからだ。カネのない学生がやることなど知れている。趣味とはそういう側面を持っているものであろう。この歳になって、有難いなぁと思うのは買いたければどんな本でも買えるようになったことだ。ましてや映画など格安な娯楽だと思う。あるときテレビで、本は高いから文庫になるまで読まない。映画もビデオになるまで見ない、という論法の人がいた。よほどの事情がない限り、いまボクが言う程度のことが出来ない50歳はいるはずない。結局は自分の価値観の問題で、酒や旅行にはいくらでも消費するくせに、本や映画のような卑小な対象を選んで小賢しく云々するだけだ。その言のなかに、自分のインテリジェンスがその程度だと白状していることがわからない。映画を見ても、映画から学ぶことはない、というひとがいる。そういう人は、自分の価値観のなかに引き寄せることが出来る映画だけを選んでいる。極言すれば、自分の価値判断が最高だと思っていなくては出てこない言葉だと思っている。「おめでたき奴」「自慰人間」という言葉が浮かんでくる。究極のナルシストのボクが言うのだから、マチガイナイ。


[さー14]サルバルサン 梅毒その他の梅毒スピロヘータ感染症の特効薬。606号(商標)ともいう。  

医者になって大学病院に研修医として入局した。肝硬変で入院してきた患者さんに病歴を取った。「なにか大きな病気したことがありますか?」「軍隊に入ってたときに、へへつ、606号のお世話になりましてん」「606号?」「あっちの病気でんがな、先生。恥かかさんといてぇな」「性病ですか」「(頷いて)サルバルサン606号〜、みんなお世話になったもんですわ」この1分で、一生忘れないことを覚えた。情けないのは同僚のある男だ。「サルバルサンだって」と言ったら「レ・ミゼラブルかぁ」お前は脳梅毒か!(こころの中で、口走ってしまった)


[さー14]さん・か【山窩】山間・河原などを転々として移動して自然人のような生活を送り、特殊な社会を作っていた民。竹細工、狩猟などを業とした。明治以後、定住奨励政策がとられた。 

 中島貞夫の『瀬振り物語』はまさにこの映画。ジョン・ブアマンの『脱出』でジョン・ヴォイトたちを襲うのも、こういう人々。最近では『コールド・マウンテン』で故郷に帰るために軍を脱走したジュード・ロウが助けられる老婆がそう。ロバート・レッドフォードの『大いなる勇者』の主役ジェレマイア・ジョンソンもこういうひとであっただろう。誰も教えてくれないが、独学でも思い出すことは出来る。映画しかやってこなかったのだもの。映画ばかり見てまったく結婚の気配がない中年男は『映画山窩・銀幕に賭ける青春』という篠田正浩の映画になりかけた。

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