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悪魔の映画辞典コミュのトピック版【 は 】

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[ハー1]ハーレム ニューヨーク市にある黒人居住区、HARLEM
    「
夜の大捜査線」が黒人映画の嚆矢となり、ベトナム戦争を経て1970年代初頭のアメリカ映画には黒人映画ブームが起こった。

黒人の差別問題をこめた映画では集客が見込めないと考えたのだろう、多くはオール黒人キャストで描かれた娯楽映画であった。「ロールスロイスに銀の銃」はなかでもご機嫌な一作で、オール黒人キャストでも生き生きと、こんなに面白い娯楽映画が出来るという勢いがあった。

だが、日本ではまったくヒットせず、アメリカの大ヒットを受けて製作された続編は、続編であることも隠すように「ハーレム愚連隊」という名で公開された。

内容も通常のコメディ・アクションを上回るものはほとんどなかった。あの「夜の大捜査線」も2作目はベテラン職人監督ゴードン・ダグラスが撮ったが、すでに黒人のなかで成功者としてのバージル・ティップス刑事が描かれ、チョー美人の妻バーバラ・マクネァとの中流家庭を得ており、1作目の引き締まったムードは皆無。

これではいけないと考えたのだろう、3作目の「霧のストレンジャー」では犯行グループに若者集団を配して、すこしひねった。タイトル直後の棒高跳びで高い塀を跳び越えて侵入するシーンなどはなかなかのものだった。演出は「ナポレオン・ソロ罠を張れ」や「さらば荒野」を撮るドン・メドフォードであったが、この監督もいつのまにか消えた。

生きがいいということでは「黒いジャガー」はなかなかであった。映画のテンポとすれば「続黒いジャガー・シャフト旋風」が上だと思うが、1作目の白人を蹴散らせる迫力はなく、よく出来たアクションになっていた。

これも3作目の「アフリカ作戦」ではジョン・ギラーミンというヒット監督が担当したが、見るも無残な愚作で、シリーズに引導を渡すことになった。

「黒いジャガー」を監督したゴードン・パークスの息子がロン・オニール主演で撮った「スーパー・フライ」はまだどこか生々しい粗い手触りがあった。現在のアメリカにおける黒人の位置を30年前に象徴しているように、登場はどうあれ、認知され市民権を得ていくと、黒い白人としての位置に収束していくのも興味深い。

UHFテレビで見たのでタイトルも忘れてしまったが、あの「ジャッキー・ブラウン」のパム・グリア-が主演し、70年代の黒人スター大集合した映画があった。「100挺のライフル」のジム・ブラウン、「黒いジャガー」のリチャード・ラウンドツリー、そしてロン・オニール。これなどは、きちんと解説をつけてDVDにしたらいいのに。

彼らが副音声で、体験を語るなら、凄い貴重な証言となるだろうに。インテリジェンスがあって、市民としての義務をきちんと果たすなら仲間として認めよう・・・、そういうWASPの本音が見えるのはボクだけか?



[ハー2]はい・きしゅ【肺気腫】肺の弾力性がなくなって肺胞が異常に膨らむ病気。呼吸困難になる。


名優の志村喬は後年肺気腫でちょっとした体動でも息が切れて、つらかったという。これは澤地一枝の「男ありて」という本に書かれてある。

風邪をひくと、ひく度に状態が悪化していくとも書いてある。そのことが本当なら、志村の最後の大役、熊井啓監督の「お吟さま」の千利休は、最後の長台詞と慟哭の演技はすさまじいものだ。

セットに上るだけでも手を貸してもらわねばならない志村が、渾身の演技を見せる。いまはキャスティング会社の代表をしている友人のよしGくんが「すごいんだよぅ、流石だよぅ」と助監督としてついていたときにしゃべっていたことを思い出す。

肺気腫になると瞬発的な呼吸が出来なくなり、息も漏れて、切れる。そのなかで、あの凄い演技なのである。役者の執念、そして業というものを実感する。



[ハー3]パイナップル パイナップ科の多年草。茎は太く、果実は楕円形で、熟すと黄赤色になる。香りが高く美味。パインアップル。

2005年度邦画の収穫「いつか読書する日」には牛乳配達の田中裕子が階段をおりながら幼児のジャンケン遊びを口に出すシーンがある。グー・チョキ・パーで勝つと、それぞれチョキなら「チヨコレート」と6段進むあれである。

グーがなんであったかを思い出せない。昭和30年代中頃に短期間だけ売り出された「グリコ・パイル・チヨコレート」で12段進んだようにも思うが、偶然これにがグー・チョキ・パーの3つともが揃っている。

それから、「軍艦」「沈没」「破裂」を組み合わせて競うジャンケンもあった。ただ、こちらは勝者が敗者にしっぺをできるものだった。

田中裕子はシナリオでは「パイナツプル」と書かれてあるだけのシーンだが、実際には「パイナツプル」と6段下りて、最後に「ジュース!」とサービスの1段を加えるのである。

リアリズムって感じがしないかい、おいっ。



[ハー4]は・いれ【歯入れ】下駄の歯の入れ替えをするひと。また、それを職業とするひと。


ちくま文庫から出ている小板橋二郎という人が書いた「ふるさとは貧民窟(スラム)なりき」を読んでいると、東京板橋の戦後のスラムの描写が詳しい。

そのなかで住人たちの仕事に多く見られるのが下駄の歯入れ、洋傘の直し、物売り、くずや、くず拾い。住居も普通長屋、棟割長屋、トンネル長屋。「穴っ子」と呼ばれる横穴を掘って住んでいたことなどが克明に出てくる。

こういうなんでもないことを、きちんと押さえて、脚本にいかせないのだろうか。すぐに差別問題と関わるために、まったく省みられることがなくなった。そのうち、貧しいということも描けなくなるぞ。



[ハー5]はか【破瓜】「瓜」の字を分けると二つ八の字に分かれるところから、?八たす八で女子の十六歳。?八かけ八で男子の六十四歳。?性交で処女膜が破れること。破瓜期(女子の生理が始まり、思春期に入る時期)


ボクが学生時代に精神科で習ったとき、いま「統合失調症」といわれるものは「精神分裂病」と呼ばれていた。

その分裂病は大きく3病型に分かれていて、丁度思春期に発生する「破瓜型」があった。それが思春期と、多くの場合性的な問題が関わっていることに由来しているからである。

「17歳のカルテ」などに多く認められる思春期精神病の大きな部分に、性的な問題が隠されている。カレン・カーペンターが命を落とした「神経性食思不振症」いわゆる「拒食症」は昔はヴァージンだけの病気と言ってもいいものだった。

その背景に大人への成熟拒否の観念があったからである。彼らは思春期以後女性ホルモンが分泌されて、乳房や腰などに丸みを帯びてくることを大人としての女性に成長すると捉えて、拒否するのである。だから、痩せて痩せて、骨と皮になっても、中性的な体格として、むしろ望むところなのである。

だが、ここ15年ほどで、大きく様変わりし、「拒食症」はバージンのみならず、下手すれば出産経験のある母親にも生じてきた。

いくつになっても、成熟を忌避する脆弱な精神が、それを呼んだのだろう。

廣木隆一監督の「ヴァイブレータ」には、そういう現代の苦悩する若い女性が描かれていた。自由という名のもとになんでもあり、という時代は、人をたまらなく淋しくするものなのだ。



[ハー6]ばく・ろう【馬喰・博労】?馬の良否・病気などを見極めるひと。?馬の売買をするひと。


ボクが三船敏郎を初めて見たのは小学校3年の春に見た、いまはなき堺東宝での旧作3本立てだった。

番組は「無法松の一生」「どぶろくの辰」「ゲンと不動明王」の豪華版。この3本に、黒澤明「椿三十郎」と「太平洋奇跡の作戦キスカ」を立て続けに見たお陰で、いっぺんに三船ファンになってしまった。

三船主演の映画はテレビにかかることが殆どなかったが、新東宝作品は例外で、三船の「馬喰一代」が放送されたときの期待と失望はなんとも言いようのないものだった。

そりゃあそうだよね。小学校3年であの味が美味いはずがない。児玉清の「負けるのは美しく」という新刊にはロケ・バスに乗り遅れた児玉が三船のMGのオープン・カーで送ってもらうエピソードが面白い。

ニュー・フェースとして東宝に入った児玉は、大部屋俳優みたいな役ばかりついたとのことだが、背が高かったのにあてがわれる衣裳がほとんどチンチクリンで嫌になるほど不恰好だったという。

この日も警官の扮装をしていたといい、三船の運転する車の助手席に乗っている児玉に向かって、交差点や交番の警察官がみんな敬礼したので児玉は吃驚する。

ロケ地に到着すると大スターの三船が「君のお陰で楽しかったよ」とえらく喜んだという。

この本には黒澤明の演出術についての貴重な証言もある。

実名で登場する監督や役者(小林桂樹、左ト全、西村晃)などには感謝や反省が素直に語られている。しかしイニシャルで書かれている映画人には批判が込められている。

カルト監督としてファン増加中の鈴木英夫やベテランの杉江敏男などには、なかなかの観察眼と冷静な判断力で人物考察されている。一読の価値はある本である。



[ハー7]パトス 名・ギリシャ 理知的な精神に対して、情感・激情・悩みなど、一時的に動かされる心のようす。(対)エトス、ロゴス。

こういうやつほど「ウルトラQ」でやって欲しかったなぁ。

実相寺昭雄監督、佐々木守脚本「パトス・エトス・ロゴス 決戦!イデアの森」ってな。

岸田森が最終的に自分の精神世界に怪獣を誘い込み爆発して終る・・・。



[ハー8]ばはん・せん【八幡船】 名・歴 室町末期から安土桃山時代にかけて、中国朝鮮の沿岸を荒らしまくった倭寇(わこう)の船。


そうなると沢島忠監督、大川橋蔵主演の「海賊八幡船」は、「野盗・野武士砦」とか「ダメ医者おやじ・藪の中」みたいな重箱読みタイトルであったのか。「間諜物語・スパイ合戦」とかいくらでもありそうね。


    
[ハー9]はま・やき【浜焼き】 名 鯛などを蒸し焼き、または塩焼きにした料理。


名手・小国英雄シナリオで紅涙を絞った東映オールスター忠臣蔵大作の最後の作品「忠臣蔵 桜花の巻・菊花の巻」では大川橋蔵の浅野内匠頭が大川恵子の阿久里、中村錦之助の脇坂淡路守と三人でもう少しの我慢だと夕餉をともにするシーンがある。

このとき国許からタイの浜焼きが大量に届けられ、橋蔵はいちばん大きいタイが内蔵助の一子・松之丞(主税)のものであったと喜ぶ。

橋蔵独壇場の泣きの名場面である。赤穂から早馬にて届けられた浜焼きは塩で固められたものであっただろう。忠臣蔵の数ある名場面でもなかなかのシーンだ。



[ハー10]はも【鱧】 名 季・夏・動 ハモ科の硬骨魚。暖国の海に棲み、体は細長くてうろこはない。鋭い歯を持つ。食用。

小津安二郎の「秋刀魚の味」には旧制中学の同窓会のシーンで、恩師役で東野英治郎が登場する。学生時代と違い、出世した教え子に囲まれて随分軟らかくなっている。

料理を食べて目を丸くして言う。「うまいっ。こりゃなんですか。あぁ、これがハモですか。さかなヘンに豊かと書いてハモ、ですな。こりゃ美味い!」

東野が帰ったあとで、教え子たちが言う。「あいつ、字ィだけ知ってやがったな」

なんともホロ苦い描写ではないか。ハモを食べる度にボクは東野の真似をしてしまう。



[ハー11]バラード 名 ?舞踊・音楽を伴った古来の小叙事曲。?物語風の内容を表した自由形式の曲。


「皆殺しのバラード」とか、映画ではよくタイトルに使われた。同じ手で「別れのスキャット」とか「愛と哀しみのボレロ」とか歌謡映画を入れたら「〜ブルース」などは枚挙に暇がないほどだ。

ただ、いまもなお見返したい映画に「野獣たちのバラード」という作品がある。副題を「ありふれたファシズム」といい、ソ連時代のミハイル・ロンムという監督が撮った。

歴史上の様々な独裁者のファシストぶりを捉えた出色のドキュメンタリーであった。なにより面白かった!

こういうドキュメンタリーは古びることがない。DVDを出して貰いたいなぁ。マイケル・ムーア監督作品と名画座の支配人なら2本立てにしたいところだ。



[ハー13]パララックス 名・英 写真でレンズに映る範囲とファインダーに映る範囲との食い違い。

高速道路での事故で亡くなったアラン・J・パクラ監督の傑作に「パララックス・ビュー」がある。

大統領候補暗殺事件に関わるサスペンスで、捜査していく人間がはめられて犯人として処理されてしまう、なかなか含みのあるタイトルである。

パクラはリザ・ミネリ(!)主演の「くちづけ」で瑞々しいデビューを飾ったあと、「大統領の陰謀」あたりから社会派としても頭角を現した。

事故は急停車したときに前のトラックに詰まれていた鋼材が矢状方向に槍のように飛んできて直撃したと聞いた。「パッチギ!」の高校生のように亡くなったわけだ。



[ハー14]ハレム 英harem 回教徒の妻やめかけの居間。後宮。女性だけが集まっているところ。


最初に取り上げた「ハーレム愚連隊」の「ハーレム」と、この「ハレム」はまったく違うスペルである。しかし、最近まで一緒だと思っていた。どうやら「ハーレム・ノクターン」という名曲が原因らしい。どことなく、高級かつ後宮を思わせる淫靡さがあるからだろう。(無知を言い訳するのには役に立たないが。)

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