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D*D*Callコミュの僕の世界〜因果〜27

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 扉の前でカズキは一度深呼吸をした。体の中で小さなざわめきが起こったが、すぐに治まった。最後の不安が暴れだしたのかも知れない。ここまで来たんだ。やる事は決まってるんだ。カズキはそう念じ扉に手をかけゆっくりと開けた。

「カズキです。入ります」

 暗い部屋の中を見据える。誰もいない。いや、いる。すでに気配はないが、人の形はまだ残っている。部屋の中央に存在するモノ。抜け殻。人ではない人・・・。
 カズキは一歩ずつ確実に近づく。一本のひもの上を歩くように、慎重に、慎重に、少しずつ歩く。

「・・・あなたに、聞きたい事があります」

 返事はない。それでもカズキは続ける。

「あなたの中に封印されているガルシア、人工生命体の事です。・・・さっき、センターの研究施設第二セクターから肉体が奪われました・・・ジョンさんです・・・ジョンさんが肉を奪ったんです。そして・・・世界を破壊するって・・・・・。僕達なんとかしなくちゃいけないんだ。守らなくちゃいけないんだ。だから・・・・お願いです!教えてください!あなたの中の人工生命体を消滅させる方法を・・・教えてください!・・・」

 返事はない。カズキの不安定な息遣いだけが虚しく響く。

「・・・やっぱり・・・だめですか?無理なんですか?僕が世界を守るなんて・・・・誰にも出来ない事なんですか・・・?」

 返事はない。カズキの中で哀しみが溢れだす。

「僕は何も知らないでいた・・・ずっと同じだと思ってたんだ。空が汚れているのも、もしかしたらずっと同じなんじゃないかとどこかで思ってた。昔から何も変わってないんじゃないかと思ってた。世界は、最初からずっと変わってないと思ってた。だから・・・どこかで安心してたのかもしれない。変わらない中にいたらずっと安心だもの。・・・変化が怖かったんだ。変わってしまう事がほんとはすごく怖くて、不安だった。・・・でもね、そんな僕の事なんか無視してどんどん変わっていくんだ。世界は変わっていくんだ。それも、ものすごく早いスピードで・・・。ただ僕が気づいてなかっただけで、変わっていってたんだ。無視してたのは・・・僕の方かもしれない」

 返事はない。しかし、ガルーシャの目が重々しく少し開いた。その事に気づかずカズキは続ける。

コメント(3)

「僕は・・・・今は・・違う。違うと思う。・・・気づいて分かったんだ。変わるって、すごく大切な事だと思う。だって、変わらないと動き出さないから。何も始まらないんだ・・・・・・なに言ってるんだろう・・・僕。こんな事言いに来たわけじゃないのに。もっと大事な事言わなくちゃいけないのに・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・カズキ、・・」

「・・え?」

「・・・・・・・・・・・カズキ、」

「ガ・・・ガルーシャが・・・しゃべった!!」

「・・・ワシを呼ぶのは・・・ルーガルの子・・・カズキ、じゃな」

「は、はい!そうです!・・・・あの・・・聞きたい事があって・・・その・・・・・」

「分かっておる・・・封印の事じゃろう?」

「あ、はい!」

「封印はもうじき解かれる」

「え!?」

「ワシの力も残りわずか・・・そのせいで欠片が外に出てしまいおったわ」

「かけらが?」

「こやつの精神は肉体なくしても強力な力を持っておる。押さえ込むには、更に強力な力が必要じゃった」

「・・・アクアの、力」

「懐かしい響きよ・・・・アクア・・・・・今は失われし古代の力。・・・だが、ワシももう限界じゃ」

「一体どうすれば!?」

「おぬしは血の力を持っておるな?」

「はい。でも、僕の力は・・・・」

「負の力、か」

「負の力?」

「おぬしは変わったのであろう?」

「分からないけど・・・変わったと思います」

「それならば、中身も変わっておろうよ」

「中身・・・?」

「成長は外側だけか?目に見えるものだけか?」

「中身・・・・こころ?」

「信じる心は育っておるか?」

「信じる・・・・こころ」

「力とは、生命力。それに心の模様で変わるものじゃ」

「こころの・・・」

「答えはおぬし次第という事じゃ」

「僕の・・・こころ?」

 僕の心は変わった?成長って、大人になるって、外見だけじゃない・・・?外側だけじゃない・・・?心がどう変わる?僕の心は、どう変わった・・・・・・・・?
「・・・答えは、僕の中に?」

「そうじゃ」

「・・・僕は、みんなを救いたい。センターのみんなも地下のみんなもジョンさんもカオミさんもソマもヨウヘイもあなたも・・・・・そして、僕達の世界を救いたい!」

「その為には」

「・・・信じるよ・・・僕は信じる・・・自分の力を信じる!」

「出来るか?おぬしに」

「これは僕にしか出来ない事だから・・・僕が迷ってちゃいけないんだ!」

「ならば、来るがよい。おぬしの力で」

 カズキは力を引き出す。鋭い闇の光が部屋中を駆け巡る。激しく揺れる体を両足でしっかりと支え、そして叫ぶ。

「行けええーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」


「カズキ君に変化よ!画面を出してちょうだい!」

 カオミは研究員に叫ぶ。画面には黒い渦巻きが荒々しく映し出されている。

「・・・一体、何が起こっているのかしら・・・・・?」

「おそらく、力では?」

「これが・・・力なの・・・・?」

「母さん、どうかしたの?」

「ううん、何でもないわ・・・さあ、あなた達も出発よ。準備はいい?」

「準備するもんなんてないよ」

「心の準備よ」

「ああ、それならいつでも」

「おばさん・・・カズキ君、大丈夫かしら?」

「大丈夫よ、ソマちゃん。カズキ君を信じましょう」

 ソマは心配そうに頷く。

「研究所の場所は分かる?」

「それは心配いらない。ソマの力でひとっ飛びだから」

「そう。ソマちゃん、ヨウヘイの事よろしくね」

「もう!早く行こうぜ!」

「うん」

 ソマはヨウヘイと手をつなぐ。目を閉じ力の確認をする。体の中でうごめいている力を感じる。血に混ざって全身を駆け巡っているような感触。

「・・・行けるわ」

「よし、出発だ!」

「あっ、ちょっと待って!」

「なんだよ?母さん」

「これこれ、忘れてたわ。ソマちゃんに・・・はい」

 カオミはソマに手渡す。

「これ・・・・・」

「最強のお守りよ」

「俺にはないの?」

「ヴヘルの形見なの」

「お母さんの・・・?」

 柔らかな袋の中には赤い小さな髪飾りが入っていた。

「ソマちゃんが持っていて」

「・・・ありがとう・・・おばさん・・・」

「早く帰ってくるのよ!」

 ソマは涙目で大きく頷く。

「よし、じゃあ気を取り直して出発だ!」

「行ってきます!」

 カオミは胸に手をやる。それに答えるようにソマも胸に手をやると、二人の姿は一瞬にして消え去った。

「・・・ヴヘル・・・どうかあの子達を守って・・・・・」

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