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アキグレコミュのテノトトクゲのweb小説『裏日本特務部隊』第十六話

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投票結果→3:とりあえず不貞寝

「……そもそも何で、俺は生きているんだ?」

 確かトイフェルとかいう化け物に腹を貫かれて――

「……無いな」

 腹を見てみると、傷一つ無い。
 あれだけの傷を負って、こんなに綺麗に治るはずはないのだが。

「……もーいーや。寝よ」

 起き抜けで色々と考えるなんて馬鹿らしい。
 こういう時はもう一度寝るに限る。

「そういえば俺、ここに来てから病院服しか着ていないな」

 配属日から左遷され、その上大怪我まで――
 踏んだり蹴ったりとは、まさにこのことだろう。

「……退職願、出そうかな」

「なに腐っているのよ」

「ぅ熱ぁっ!?」

 ジュっと熱い物が額に押しつけられ、俺は飛び上がった。

「おーおー、三日も寝てた割には元気だねぇ」

 見れば、ベッドの脇にいつの間にか敷嶋博士が立っていた。
 凶器であろう吸い殻を、携帯灰皿に捨てて新しい煙草に火を付けている。

「そんな奴に根性焼きするか普通!?」

「なに、実験さ。何分アンタの改ぞ……。
 おっと、治療に使ったのは特殊な方法でね」

「今改造って言った! 絶対に改造って言ってたよね!?」

「さてね〜♪」

 鼻歌を歌って誤魔化す博士にやや不安を感じながらも、
 俺はヒリヒリしている額におしぼりを当てて鏡を探す。

「全く、色男が台無しに――」

 鏡を見ると、額にはあるはずの火傷が無かった。

「ひとまず定着具合は良好、と」

「アンタ俺に何した?」

 博士は何か色々とメモを取ってから、俺の方へと向き直る。

「ナノマシンの製造装置をアンタの腹に入れた」

「……なんだって?」

「製造されたナノマシンは傷ついた箇所を即座に修復する。
 その他にも身体能力も向上しているはずだし、健康管理だってお手の物さ」

 頭を潰されても死なないよと、博士は小さく付け加えた。

「……まるで化け物だな」

「そうでもないさ。睡眠時は活動が抑制されるし――」

 長く煙を吐いて、博士は一呼吸置く。

「万一壊れたら、その時はアンタも一緒に死ぬ仕掛けさ。クールだろ?」

 死ぬ恐れがない身体でありながら、死と隣り合わせという事か。

「クールって言うよりも、クレイジーだね」

「あまり動揺しないね」

「動揺はしているさ。けど、それ以上に感謝している」

「……感謝ねぇ」

 ケラケラと笑いながら、博士はリモコンを取り出す。

「……何ソレ?」

「ボタンを押してからのお楽しみさ♪」

「あがががが!?」

 博士がボタンを押すと、全身に電気が走ったような激しい痛みが襲う。
 明滅する視界の中で、博士がゲラゲラと口を歪ませているのが見て取れた。

「……こんなもんかな」

 リモコンの停止スイッチを押したのか、数秒続いた地獄は突然終わりを迎える。

「あ、アンら俺のからら、ら」

 全身が痺れ、呂律が回らなくなってしまっている。
 ような、ではなく本当に感電させられた事が自覚できた。

「……アレ、何にも起こらない」

「何のころら?」

「いやさー、アニメヒーローよろしく、
 三百万ボルトの電圧で変身できるようにしておいた筈なんだけど――」

 失敗みたい、と残念そうに言いながら博士はリモコンをぞんざいに捨てる。

 ……全身を茨に包まれて変身するヒーローの辛さが、少し理解できた気がする。

「他になんか変なモノ仕込んでないだろうな?」

「お、約十秒で復帰か。機能障害の回復速度も向上、と」

 俺はベッドに腰掛け、メモをしている博士を睨み付ける。

 博士はメモをしながら額に指を当て、
 悩むように唸ってから机に向かって指を指す。

「あとはそこの取説でも読みな。全部教えるのなんて面倒だし、
 自己増殖するから、今後どうなっていくか全く解らないしね」

「なんて投げやりな……。ってかナニコレ?」

 指を指された机の上に乗っていたのは、A4サイズの分厚い紙の束。

 捲ってみると前後のページが内容が繋がっておらず、
 とてもではないが、取扱説明書として読解するのに時間がかかりそうだった。

「それじゃ、私は自分の部屋に戻るわ。
 その様子なら経過を見るまでもなさそうだしねー」

「あーはいはい。どこへでも行ってください」

「命の恩人に対して冷たいねぇ」

「冷たいも何も、俺は肝が冷えたよ。
 三百万ボルトなら雷の実験が出来るじゃねーか」

 肩を竦める博士に対して、俺は恨みや怒りを通り越して呆れて溜息が出た。

「……あ、そういえば」



選択肢:奥歯にスイッチ? ……無いですけど?
(【】に選択肢の番号を入力してコメントに書き込むか、
テノト トクゲ宛にメッセージを送ってください)

1:エリーゼとコーディがどうなったか聞く
2:まずはこの取説を読解する

To be continued...

コメント(5)

それでは〆切ますー。
こんかいは同標でしたので、またダイスロールで決めました。

2:まずはこの取説を読解する

になりました。それでは、三日後の更新をお待ちください。

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