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暁闇の鎮花祭コミュの暁闇の鎮花祭 18

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閑話休題;寇(こう)神(じん)祭

「こんなところにいたのか――、スセリ。」

スセリは、肩越しに後ろを振り返った。
「ええ。少し――、ね。」
「また、今度は監視者の元に行っていたそうだな。」
「いつもながら、どこからそんなに早く、情報を仕入れられるの?」
スセリの疑念に、ミカヅチは苦笑した。もっとも、ミカヅチのことを知らないものがみたならば、怒っているようにしか、見えなかったかもしれないが・・。
「情報を早く、多く仕入れたいと思ってしまうのは、軍神としての性だ。お前を、見張っているわけではない。
機転の利く手下がいてな――。それが色々と情報をかき集めて来てくれるんだ。」
スセリは、じっと黙ったまま返事をしなかった。ミカヅチが、口を開いた。
「気を悪くしたのなら、お前のことは探らないように言っておく。」
「そう、そういっておいて貰えると、嬉しいわ。見張られているみたいで、気分が良くないから。」
「すまなかった。すぐに言って聞かせておく。」
ミカヅチが、文字通りすぐにでも行きそうな様子を見せたのに対し、スセリはそれを押し止めた。ミカヅチが訝しげに、スセリの顔を見た。
「貴方に一番最初に報告する役目は、私がしたいから。」
「スセリ・・・。」
感激、といえばいいのか、ミカヅチの、隠しもしない嬉しげな様子に、微かにスセリの胸が痛んだ。
しかし、この目の前の男を利用しようという気持ちは、やはり変わらない。
理由は、色々あった。
大切な人を、殺されたから。
望みもしない婚約を、押し付けられ、受諾させられたから。

しかし、と同時にスセリは思う。
その復讐は、もうすでに終わっているのではないか、と。
神代、栄光の絶頂に在ったこの男を、その座から引きずり落とし、謀反人の汚名まで着せた。
比肩しうるものもいない、と称揚されたその力を、奪い取られ、封印された。
スセリのために――。

それでも、まだ何が足りないというのだろう――。
スセリは自分の心に戸惑った。
大国主を思う気持ちは、未だに変わらない。
そこに、このミカヅチの入る余地は、ない。だからこそ、スセリはこの男を利用しようと思った。自分の小さな復讐と、命よりも大切な望みの達成のために。
都合よく、少し考えればミカヅチを憎んでいるはずであろうスセリに、あろうことかミカヅチが懸想してきてくれたことでもあるし。
浅慮だ、と内心で嘲笑ったこともある。

余りにも都合よく向けられた感情に、実は利用されているのは自分の方ではないか、とスセリの方が疑心暗鬼になった事もある。
それでも、胸がこんなに痛くなってことは、ついになかった。


それでも。
スセリは自分の心に沸き起こってきた様々な感情を、整理しながら、内心で呟いた。
彼を利用しようとする心を止めるものは、何一つないのね、と。
ただ、胸が痛いだけ――。


「一層の監視者が少し目障りになり始めたな・・。」
ミカヅチの言葉に、スセリははっと我に返った。
スセリからの相槌を待たずに、ミカヅチは先を続けた。
「力量は、どうだった?」
「思ったほど、大したものではなかったわ。四層支配の守護神魔が割って入ってきたから、封印は失敗したけど。」
「玄紅か――。」
苦々しげに、ミカヅチはその名を吐き捨てるように、呟いた。
「古代日本神魔を裏切った裏切者か――。それが四層支配の守護神魔とは、恐れ入る。華祥とやらも、大したことはないな。」
「玄紅は、そこそこの腕よ。最も、あなたに言わせれば、物足りない、というかしら・・。」
スセリの揶揄に、ミカヅチは微かに笑った。
「その程度か――。となれば、俺のまともな相手になりそうなのは、今のところ、昊渕一人だな。」
「そうね。昊渕は、彼は強いわ。」
スセリの面を、微妙な陰影が彩った。
しかし楽しげなミカヅチには、その理由は分からない。
「それを思うと、今から腕が鳴る。――しかし、前にお前の言っていた五層への道を、未だ探すな、とはどういうことだ?」
「神魔界に気付かれると厄介だから、鎮花祭が始まってから探しましょう。大丈夫、すぐに見つかるわ。巌永は必ず華祥と戦うことになる。いいえ、巌永のために、華祥を四層から引っ張り出すから、そうすれば――。」
「神魔界は文字通りがら空きになる、ということか・・。」
スセリは無言で首肯した。



遥か神代、鎮めきれなかった桜が、
今再び、この現代にあって災厄を齎そうとしている。
桜の花が撒き散らす災厄を防ぐ祭りを、人は『鎮花祭』と言う。

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