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♪リレー小説♪コミュのいたずら電話

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『いたずら電話しよう。』


何の前触れもなく、木下はそんな事を言い出した。


暑い暑い、うだるような太陽の日射しで何をしていなくても汗が吹き出す8月。


木下とは中学校から同じで、高校はともかく、まさか大学まで一緒になるとは僕自身思わなかった。


まぁ言わゆるクサレ縁てやつ。


その木下がまた馬鹿なことを言い出したのは大学に入ってからもう四回目。


別に驚きもしなかったし、断ろうとも思わなかった。


だってあの木下だぜ?


何を言ったって無駄なんて、今にわかったことじゃない。


もうすでに自分の携帯を取り出し、思いつくまま適当に番号を押し出したんだから。




でもよ?


この時だけは木下に感謝してる。


馬鹿になりきれないこの俺でさえ、この時だけは木下が馬鹿でいてくれたことに感謝してるんだ。



だって、君に出会えたんだから。



木下がこんなことを言い出さなかったら俺たちはまだ、いや、一生出会ってなかったんだから。




なぁ、笑えるだろ?


いたずら電話から始まる恋なんて。


でも、笑われたって何だっていいんだってば。


出会い方なんて何だって。



さっ、嘘のような本当の話。


始まりだ。


コメント(8)

プルル〜プルル〜


「チッ!!
出ねぇし。」


「今どき
知らない奴からの電話に
出る人なんて
そぅいないって。」


俺の予想通りの
結果に終わった木下。

軽くなだめ
もう諦めさせようと
したのに
木下の目はまだ
死んではいなかった。


「俺は誰かが出るまで
止めないからな。」

そう言ってまた
どこかに電話をかける。


この粘り強さを
もっと他の事に
生かせばいいのに。

ヒジをついて
手で顔を支え足を組み
オマケに眠そうな
顔をして俺は
木下の動向を
眺めていた。


木下の顔が曇る。

また繋がらなかった
のだろう。


すると木下は
俺の方を向いて

「てか
ぼーっとしてねぇで
お前もやれよ。」

と明らかに
八つ当たりしてきた。


「俺はいいよ。」

と断るが

「1回だけでいいから。」

と半ば強制的に
かけさせられる。


木下なんかが
日本の総理大臣に
なってしまったりすれば
独裁主義の
とんでもない国家に
なる事だろう。


なけなしでランダムに
ボタンを押し
耳にあてる。


どうせ繋がらないと
俺は高をくくって
いたんだ。

だから電話に君が出た時
俺は焦って
君にあんな意味不明な
事を言って
しまったんだよ。
「プルルルル・・・プルルルル・・・
ガチャ・・・・もしもし?」



出た。。





「あ!!・・・元気ですか?」


突然の事態に、俺の口から出たのはこんな言葉だった。



今、思えばバカ発言だ。

俺でさえ、こう思うんだから君からしたら意味不明だっただろう。





「は、はい・・・。
元気ですけど誰ですか?」



元気なんだ。笑




「あ〜たぶん、君は俺の事知らないよ。
まぁ俺も君の事知らないけどね。」




「はぁ・・」





「ちょっとヒマだったから、適当に番号押して電話したんだ。バカみたいだろ?笑」





「ハハッ・・うん。」






「あ、今笑っただろ!!
ヒデ〜な!!!笑」




「すいません。。」






顔も性格も全く知らない君に、少し興味が湧いた。


たぶん、実際の声はもう少し高いのだろう。

勘だけど、背は小さいような気がする。




「君、名前はなんての?
年齢もよかったら教えてよ。」

俺の質問に君は優しい声で答えてくれた。


「名前は迷子でマイコね☆年齢は22歳ってコトで。笑」





「へ〜そうなんだ☆」

へ〜名前も年齢も絶対ウソじゃん。
迷子って名前の女の子がどこにいんだよ。。





「ねえ?あなたの名前は??」
「俺の名前?」


「うん、あなたの名前。」


「そうだな…」


俺は少し考えた。


電話の向こう側で君が俺の言葉を待っているのが伝わってくる。


「じゃあホタル!蛍って言うんだ!!」


「…ホタルって?あの蛍?」


「うん、あの蛍。

迷子になった君の進むべき道を俺が照らすんだ。
もう君が迷わないように、俺が…ちっちゃな明かりだけど、それでも一生懸命照らすんだ。

なんつって…ハハ…ロマンチックだろ?笑」


「…ハハ…本当、ロマンチック。笑」


君が


また笑った。


するとそれまで黙って俺たちのやり取りを見ていた木下が突然電話に変われと言い出した。


別に断る理由のなかった俺は携帯電話を木下に渡した。


「あっもしもし?
俺はどんぐり。
木の下に落ちてるどんぐり。
よろしくね!!」


木下と迷子はそれからしばらく喋っていた。


何を喋っていたのかはよくわからなかったけれど、迷子の笑い声は俺にも聞こえてきた。


しばらくして木下が俺に電話を渡してきた。


それから少し、俺も迷子と喋ってから電話を切ることにした。


「じゃあ道に迷って途方に暮れた時にはまたこの番号に電話してよ。

一生懸命照らすからさ。」


「うん、ありがとう蛍。
ハハ…じゃあ、…またね。」



「うん、また。」


そうやって電話は切れた。



これが君との始まり。


迷子と蛍とどんぐりの


奇妙で不思議な、


電話で喋るだけの関係の




…始まり。



この後、君から電話があったのは確か、



三日後の夕方、とっても夕日が綺麗な日だった。


「あ〜
マジ疲れたぁ〜。」

今日も定番化された
大学の授業も終わり
これまた定番化された
家までの道のりを
1人乏しく歩く。

綺麗な夕日が
なんだか余計に
心にしみる。

大学から少し離れた
4階建ての小さな
学生マンションに
1人で暮らしている為


「お帰り。」

と迎えてくれる
人もおらず

当然ながら
風呂の準備も
夕食の準備も
出来ていない。


「はぁはぁ。」

平坦な道なのに
息が上がっている理由は
先ほどスーパーで買った
1週間分の食料のせい。

既に手のひらは
真っ赤で
指先の感覚は
無いに等しい状態だ。


♪〜♪〜

そんな俺を
バカにするかの様に
鳴り響く携帯の着信音。
もう家の
目の前なのだが
荷物を置き
携帯を取り出す。


迷子からだ。


「もしもし?」

「もしもし?
ん〜と・・・・・・
・・・・・・・・・・ごめん。
用件無いのに
電話しちゃった。」

「おっ・・・・おう!!!
全然いいよ。」

少しどもったのは
にやけてしまったから。

迷子と言う存在の
夢と現実の間で
俺が見つけた物は
恋心だったのかも
しれない。

「綺麗・・・・・。」

「何が?」

「夕日だよ夕日!!
夕日眺めてたら
なんか蛍の事
思い出したの。」

「夕日で俺を?」

「照らすとかど〜とか
言ってたぢゃん!!!
後なんか・・・・・
なんか似てる
気がしたんだ。」

「あ・・・・・そう。」

正直
全く訳も分からず
呆気にとられる俺に

「また電話するね♪」

と言い
迷子は電話を切った。

俺は首を傾げながら
マンション内に
入って行った。

荷物を持ち
ふとマンション全体を
見上げた時に

俺の部屋から
1番遠い部屋の
ベランダから
外を眺める1人の女性に
特に気も
とめないまま・・・・・・。
あれから、おれと迷子は毎日電話する仲になっていた。

会話の内容は至って普通。学校での出来事や、バイトでの失敗。

しかし、お互い住んでる所は話さなかった。


特に理由はない。
彼女が話してこないので、おれも話さなかっただけ。

なんてのは嘘。。
知ってしまうとこの関係も無くなってしまうんじゃないかと不安だった。



ただ、最近の会話で1つわかった事がある。




・・・彼女には好きな人がいる。










「おい!!
お前、最近迷子ちゃんとどうなんだよ?☆」


木下がいつものようにバカみたいなテンションで話しかけてくる。



「昨日も電話してたよ。
けど、あいつ好きな人がいるらしい・・
片思いみたいだけど。」






「そっかぁ。。」



あからさまに木下のテンションが下がる。






「パァーと飲みに行くか☆」




木下の粋な計らいで、おれ達は深夜まで酒を飲んだ。











木下と別れ、おれは自分のマンションの前で座りこんでいた。



アルコールが手伝ってか、おれの目からは大量の涙がこぼれていた。


声しか知らない迷子を大好きになっていた。


彼女の口から出た「好きな人ができたぁ♪」という言葉を聞いた時、心臓が痛かった。






涙が止まらない。。









胸が苦しい。。









「大丈夫ですか?」




優しい声に反応し、ふと顔を上げる。



見た事のない女の子の顔がそこにはあった。




涙が引いていくのがわかった。







ドラマの真似じゃないけど。

この子と会ったのは初めてじゃないような気がした。
「あっごめんなさい!!
男の人が泣いてる姿ってあんまり見たことなくて…その、つい…

邪魔…でした?」



おい、


ウソだよな…?



透き通るような声が、


抑揚のある喋り方が、




迷子に似ていた…。


大好きな迷子に…


いやでもそんなはずはない、と自分で自分に言い聞かす。


どこかで見たような顔だけど、俺だって20年近く生きてきてるんだ。


似たような顔に出会っていてもおかしくない。


それに、まさかランダムに押した電話番号の相手がこんな近くにいるはずがない。


いくら小さな島国の日本だからって、こんな奇跡、あるはずがない。


それこそドラマじゃあるまいし、


そうだよ、あるはずがない。


「大丈夫。
でもありがとう。

ここに住んでるの?」


「うん、ここの四階、一番端っこの部屋に住んでるんです!」


そう言って彼女はここから見える自分の部屋を指差した。



「そっか、奇遇だね。
俺もここの四階、一番端っこの部屋に住んでるんだ。
君とは反対の。」


「えっ本当?
すごい、それすごいです!!」


興奮気味に君は口に手をあてながら夜の街に響くぐらい大きな声を出して驚いた。


「ハハハ、そんなに良い反応が返ってきただけでここに住んでて良かったって思えるよ。」


「えっだって、すごいじゃないですかぁ!!
やっぱ奇跡ってあるんだなぁ…」


奇跡…


その言葉が俺の耳にいつまでも残っていた。



この時の俺は本当の奇跡に気付いていなかった。


いや、俺だけじゃない。


きっと君も。


その奇跡に気付くのもこの二分後。


まさか君が迷子だったなんて…



「ねぇ、散歩しません?」


彼女は突然、そんなことを言い出した。


「泣いちゃう時って歩いたりして紛らわした方が良いんですよ!!笑」


「へ〜経験者は語るってやつ?笑」


「違います!!
でも…」


その後彼女が何を言おうとしたのかは分からなかったけれど、俺は何となく『そっか』と相槌を打った。


しかしその相槌すら夜の静けさに飲み込まれる。


俺たちを包むのは沈黙と星の光だけとなった。


何故だろう、夏の夜はやっぱり人肌恋しくて…
今更だけど迷子のことを思い出し、やっばり泣きそうになった。


そんな俺を知ってか、君は沈黙を破る。


「ひょっとして、今途方に暮れてます??」


「ん?
いやぁ、ちょっとね…」


「やっぱり…

大丈夫ですよ!!
私が蛍になってあたなの道を照らしてあげます!!

ちっちゃな明かりだけど一生懸命照らしてあげます!!

なんて…これ私も言われた言葉なんです…。

良い言葉ですよね…」




やっぱり…


やっぱり君は…


思った時には口に出していた。













「迷子…?」




「あっ!!!」

チャリン。

俺が安易に
口を滑らせて呟いた

「迷子。」

と言う3文字の言葉は
良かったのか
悪かったのか
迷子の声によって
かき消された。


迷子はしゃがみ込むと
何かを探している
様だった。


「どうしたの?」

「家の鍵
落としちゃった。」

前髪を片耳にかけ
必死に地面に手を
ペタペタする迷子が
とても
可愛いらしい。


「ほら。」

そう言って俺は
携帯のライトで
辺りを照らす。


「あったー♪」

たかが鍵ごときなのに
迷子の喜び様ときたら
大袈裟過ぎる程だ。

「ありがとう♪」

そう言って迷子は
微笑みかけてきた。






「言ったろ?
俺が照らすって。
迷子の足元から
進むべき道まですべて。」

「えっ?」

迷子は案の定
セオリー通りの
驚き方で
言葉が出ない様だった。

「なんて
今回は少し
意味が違うかもな。」

そう言って
今度は俺が
迷子に微笑みかけた。


「ほ・・・本当に?
あなたが蛍?
えっ・・・・・・・
いつから分かってたの?」

「俺もさっき
気付いたとこ。」

「すごぉーい!!!
こんなに近くに
いたなんて・・・・・
奇跡だね♪」

「本当に奇跡だな。」

最後は2人で
微笑み合った。


「行くぞ!!!」

「どこに?」

「散歩だよ散歩!!!」

「うん♪」








何故だろう?

自然に手が
繋がれていた。
「運命だね☆」 


「奇跡だね☆」



はしゃぎながら、迷子は言う。

今まで、ただの子供騙しだと思っていたそれらの言葉。



だけど、おれと迷子を繋いでいるのは、まぎれもなく運命だった。





それからも俺たちは話し続けた。





幸せだった。






しかし幸せはいつまでも続かず、おれは思いだした。



迷子には好きな人がいる。





おれはその話題を切り出せずにいた。




「奇跡☆奇跡☆」

隣では相変わらず、迷子がこの言葉を連呼する。





複雑な気分だ・・





「なぁ、迷子。
君が好きな、あの人のコト話してくれよ。」



おれは、自分の目じりに涙が溜まってるのに気付いた。



「うん。。」



「その人はねぇ、朝いつも急いでるの。
走って階段降りていくんだけど、部屋の鍵閉めるの忘れててまた戻ってくるの。」



「夜はいつもベランダで、タバコ吸いながら電話してる。横顔が素敵☆」




「けど、最近元気がないように見えた。。
とてもかわいそうに見えた。。。」





「そしてね、今日は泣いてた。その姿見てたら私も泣けてきちゃって・・」




「けど、勇気だして笑顔で話しかけたんだよ☆」





おれは頬をつたう涙を拭おうとはしなかった。





なぜなら、この涙が悲しみの涙じゃなくて喜びの涙だったから。







「蛍、大好きです。」
迷子は、泣きながら笑ってそう言った。




「おれも☆」    









そして、俺たちは笑い合った。














「杉本 光」


「なにが?」


「私の名前☆ヒカリ」





「ハハッ!!」




「なんで笑うのよ!!!」











「だって!!・・ハハッ」





「怒るよ。。」







「宮本 光☆ 
俺の名前はヒカル」









「うそ!!??」















僕らの、歩んでゆく道には光が指していた。




暗闇など全く無い輝いた道。


その道を2人で歩いてゆく。



いつまでも手を繋いで。。













「イタズラ電話」

          完

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