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LA MISTERIOSA FIAMMA DELLA…コミュの「La misteriosa fiamma della .....」を読んで

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 人はいつも霧の中。
 自分の幼い時のこと、特に母胎内に宿ってから誕生を経て、物心がつき始める頃までのことを、誰が覚えていようか。それは本当に霧の中、母親から話を聴かされても、その頃の写真を見ても、自分の姿や仕草が可愛かったらしいと知ったところで、それは自分の記憶ではない。
 しかしその時期だけが霧の中にあったのだろうか? いや、そうではない。人はいつも霧に包まれて、いわば不透明な霧のプリズムを通して、回りを見ているようだ。

 主人公のヤンボウは(脳内の)事故後、病院で目覚める。その時、彼は知識として習得したことについては完全に記憶に残しているが、自分の個人的な体験や行動の記憶を全て失っていることを知る。妻子の顔も、淹れたてのお茶の熱さも。
 そうして彼の記憶を取り戻すための旅がはじまるー霧の中で。

 友人からの情報、妻の話、それから少年期を過ごした郷里ソラーラでの探索、少年時代に読んだ本、学校の教科書やノート類、祖父や両親の遺品、育った家の様子、そこから得た情報から、彼が直感的に理解、認識することは数多い。
 しかしそれらは記憶とは言えないし、記憶に近いようであっても記憶との境界は曖昧である。体が覚えていることはあっても、それも脳の記憶機能というよりも、体の筋肉に残っている習慣的な記憶によるもの、と理解する方が自然である。

 彼の記憶にとって重要な意味を持ってくるのは、友人ジャンニが彼の女性関係について話した内容である。彼の職場における助手シビッラについて、彼は特別な関心を持っていたし、自分自身にもその認識はあった。その関係がどのようであったかについては、全く記憶がないままであっても。
 ただ、彼は郷里ソラーラの祖父の書斎で見つけたメダルの肖像が、シビッラのイメージとぴったり合っていることに驚く。自分の関心の的は、シビッラ以前にそのメダルの肖像にあったのか。

 ジャンニによると、彼は高校時代の同級生、美少女リーラに異常といえる程の執着を示した。さらにリーラへの接近については、友人の情報からでは判り得ない、即ち自身の詳細な行動についての記憶が蘇えってくる。その恋は完全な一方通行に終わり、彼女も若くしてこの世を去る。
 しかし行動については記憶を辿れても、彼女の顔を全く思い起こせないことが、彼にとっては何より深刻であった。彼は焦って彼女の写真を求めるが、それも果たせない。

 そうした中で、血圧が上がったまま、彼は二度目の(脳内の)事故に見舞われる。外見上は彼の脳波はフラットで、医師も家族も希望を見出せないままだが、彼の内部では、変わりなく記憶探索の旅が続く。リーラに対する強い思いと行動、戦時中のエピソードがその中心であり、一見霧が晴れるかのようにも見える。
 しかし彼の内部では、本来の知識と、入手した情報と、取り戻した記憶が混ざり合い、虹のような夢とイリュージョンのような光景を繰り広げる。そこにもリーラの姿が....

 彼の得た全てが、やはり神秘的な霧の中にあった。知り得た事実も、文学や歴史上の知識も、自分の周囲の状況も全てが平らで、時間軸ももはやない。
 そして終局へ.....

お詫び:
私の原語読解能力の不足から、所感らしい記述はごく一部です。単なる本の紹介とお考え頂ければ幸いです。邦訳が待たれます。

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