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LA MISTERIOSA FIAMMA DELLA…コミュのp.156,上から19行、Ho tirato fuori......から

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 私は、午後遅くの最後の光がまだ差し込んで来る天窓の辺りに、小包用の紙で丁寧に保護された開口部を持つ大きな箱を一つ引っぱり出した。その埃をかぶった覆いを開けると、二枚のコケの層が私の指に触った。乾燥してはいたが本当のコケだー「魔の山」のサナトリウムの全員を一週間内に家へ送り返すことができる程の多量のペニシリン、そしてナフタとセッテンブリーニの間の素晴らしい会話にもお別れ。それらは芝土みたいで、下に付いている土壌でばらばらならないよう採取されていた。それらを二枚一緒に並べると、祖父の作業台くらいの広い面でないと取り扱うことができなかった。どんな奇跡によるものか私には判らない。多分、紙に守られてできた湿気の多い場所のおかげで、何度も巡って来た冬と、天井裏の屋根が雨、雪、ひょうに打たれた日々のおかげで、コケが鼻を突くような匂いを持つ何かを保っていたのだ。
 コケの下には縮んだ木屑に覆われて、中に入っている物を壊さないよう、(木屑を)少しずつ取り除くようになっている。木と厚紙でできた小屋は、色付きの漆喰で塗られ押し藁の屋根がついていた。藁と木でできた粉挽き小屋があり、かろうじてまだ回る水車がついている。そして厚紙には遠景に、たくさんの小さな家々や城が、高い所に背景として描かれているに違いなかった。そしてどんどん木屑を探っていくと、最後にほら、人の姿が、肩に子羊を担いでいる羊飼い、砥ぎ師、二頭のロバの子を連れた粉屋、頭の上に収穫物を入れた籠を載せた農婦、二人のサンポーニャ奏者、二頭のラクダを引いたアラブ人、そして東方の三博士ーほら、そこに彼らも出て来たーカビの匂い、それらも香や没薬の匂いよりも強かった。そして最後にロバ、牛、ヨゼフ、マリア、揺りかご、幼児イエス、腕を大きく広げた二人の天使、少なくとも一世紀前から続く栄光に凍りついていた、金色の彗星、巻かれた布地、その内側には青い星の刺繍がされている、金属の水盤、それには小川の水路の形になるようにセメントが敷かれて、水の出入口の穴が二つある。いろいろ考えさせられたために、私の夕食を半時間遅らせてしまったそれは、ガラスのシリンダーでできた奇妙な器具であって、そこから長いゴムの管が枝分かれして伸びていた。
 なにもかも揃ったプレゼーピオだった。私は、祖父や両親が信仰心が篤かったかどうか知らなかった(多分、母はそうだ、ベットの脇の棚の上に祈祷書を置いていたから)。しかし確かにクリスマスの頃、誰かがその箱を取り出して来て、下のどこかの部屋でそのプレゼーピオを組み立てていたのだ。プレゼーピオによる感動:私はこれを味わっているような気がした。しかし私にはそれが別の文化的な(ありふれた)すりこみによる反応であることが心配だった。しかしそれらの小さな像は、別の名前ではなくて、ある情景を私に呼び戻していたのだった。その情景を屋根裏では目にしたことがなかったが、多分何処かほかの所だったに違いなかった。それは生き生きしていた、その瞬間に私の心を打っていたように。
 プレゼーピオは私にとって何を意味していたのか?イエスとファントマの間、ロカンボルとそのCestello(注:小さな籠、詩集)の間、東方の三博士のカビとGran Visir(注:オスマントルコの総理大臣)に串刺しにされた人のカビとの間、私は誰の側にいたのか?
 天井裏の数日間は無駄に費やされたことが私には判った:私が読み返したページは、6歳か12歳の時に目を通したものだった、ほかのページは15歳の時に。その都度、異なった出来事に動揺しながら、こんなふうでは記憶を再構築できない。記憶は混ぜ合わせ、訂正し、形を変える(注:全て他動詞、直接目的語を省略したものと考える)というのは真実である。しかし滅多に年代的な距離を混乱させることはない。もしある出来事が7歳か10歳の時に起こった場合には、人は十分良く判るはずである。私も病院での目覚めの日を、ソラーラへの出発の日と区別することはもう可能だった。そして十分判っていたことは、両方の日の間に、ある成長があったことだ。意見の変化であり、体験の比較が起こった。ところがその3週間の間に何もかも飲み込んでいた。あたかも子供の頃に一度にかつ一息に飲み込んでいたかのようにーそして必然的に私は、頭をふらふらさせる作り話に目を回させられていたという印象を持っていた。
(p.158,上から18行ーinebriante.ーまで。

コメント(1)

自分の都合上で恐縮ですが、私の講読訳の書き込みは今回で終わらせて頂きます。ありがとうございました。
その内、この本の読後感を書くつもりでおります。

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