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在原業平の魅力コミュの伊勢物語と古今和歌集  第六十五段

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伊勢物語と古今和歌集  第六十五段


 伊勢物語の第六十五段には古今和歌集の和歌が三首入っている。出ている歌の順に書くと、また男女のいずれかが詠んだ歌なのかを伊勢物語のストーリーから括弧書きしておく。

(男)
   恋せじと御手洗河にせしみそぎ
     神はうけずぞなりにけらしも  (恋歌一 501 読人不知)

「もう恋などいたしますまいとて、せっかくみたらし川で行った私のみそぎを、神は納受してくださらなくなってしまったようであるよ」(久曾神昇)

(女)
   あまの刈る藻にすむ虫の我からと
     ねをこそ泣かめ世をばうらみじ  (恋歌五 807 典侍藤原なおほいこ朝臣直子)

「わたしの不幸は、すべてわたし自身に招いたこととて、声をあげて泣くことはあろうとも、他人のせいにして、世間を恨むようなことはしますまい」(久曾神昇)

(男)
   いたづらに行きては来ぬる物ゆゑに
     見まくほしさに誘はれつつ  (恋歌三 620 読人不知)

「あなたの所へ行っても逢ってくれないので、むなしく帰ってしまうだけであるのに、逢いたい気持に誘われて出かけることでるよ。」(久曽神昇)

 この三首の歌の意味を繋げてみるだけでも、男女の道ならぬ恋に当事者が嘆く様子がみてとれる。 古今和歌集では、これらの歌の位置は連続して置かれているのではないので、別の状況で詠まれた独立した歌であろうと思われる。渡辺実は本文の「恋せじと」の歌までが前半で、ここまで独立した段として存在していたもので、後半は古今和歌集の歌などをベースに構成した創作であろうと推測している。

 伊勢物語の本文で登場する最初の和歌は、男の歌で、

   思ふには忍ぶることぞ負けにける
     逢ふにしかへばさもあらばあれ

「あなたと思う心の強さに、態度に出すまいと我慢する心が負けてしまった。逢うことと引き換えなら、おっしゃる通り身の破滅となっても、それで満足だ」(渡辺実)


 であるが、この上の句と同じものが古今和歌集にある。

   思ふには忍ぶることぞ負けにける
     色にはいでじと思ひしものを  (恋歌一 503 読人不知)

「恋い慕う強い心には、じっとがまんしようとする心が負けてしまった。決して顔色には出すまいと思っていたのに(ついに人に知られるようになってしまった)」(久曽神昇)

 多分、古今和歌集の503が古くから存在した歌なのだろう。これを伊勢物語の作者が上の句を流用したと思える。

 この三つないし四つの歌をみるだけて、この男女の恋の激しさが想像できる。

興味あるのは、
   恋せじと御手洗河にせしみそぎ
     神はうけずぞなりにけらしも  (恋歌一 501 読人不知)

の歌は「神はうけず」と言うのは男の独断であり、都合のよい解釈であるように思えることだ。非常に大胆な表現であり、神をも畏れぬ所が業平にあったのだろうと思う。

   糊加減かみはうけずも頭巾哉 (狂歌)


第六十五段
「 むかし、おほやけ思してつかう給ふ女の、色ゆるされたるありけり。大御息所とていますがりけるいとこなりけり。殿上にさぶらひける在原なりける男の、まだいと若かりけるを、この女あひしりたりけり。男、女がた許されたりければ、女のある所に来てむかひをりければ、女、『いとかたはなり。身もほろぶなむ。かくなせそ』といひければ、

   思ふには忍ぶることぞ負けにける
     逢ふにしかへばさもあらばあれ

といひて、曹司におり給へれば、例の、この御曹司には人の見るをも、知らでのぼり居ければ、この女、思ひわびて里へゆく。されば、何のよきこととて思ひて、行き通ひければ、みな人聞きて笑ひけり。つとめて主殿司の見るに、沓はとりて奥になげ入れてのぼりぬ。かくかたはにしつゝありわたるに、身もいたづらになりぬべければ、つひにほろびぬべしとて、この男、『いかにせむ。わがかゝる心やめ給へ』とて仏神にも申しけれど、いやまさりにのみ覚えつつ、なほわりなく恋しうのみ覚えければ、陰陽師、巫よびて、恋せじといふ祓の具してなむ行きける。祓へけるまゝに、いとゞ悲しきこと数まさりて、ありしより異(け)に恋しくのみ覚えければ、

   恋せじと御手洗川にせし禊
     神はうけずもなりにけるかな

といひてなむ去にける。

 この帝は顔かたち良くおはしまして、仏の御名を御心に入れて、御声はいと尊くて申し給ふを聞きて、女はいたう泣きけり。『かゝる君に仕うまつらで、宿世つたなく悲しきこと、この男にほだされて』とてなむ泣きにける。かゝるほどに帝聞し召しつけて、この男をば流しつかはしてければ、この女のいとこの御息所、女をばまかでさせて、蔵に籠めてしをり給うければ、蔵に籠りて泣く。

   海人の刈る藻にすむ虫のわれからと
     音をこそなかめ世をばうらみじ

と泣きをれば、この男、人の国より夜ごとに来つゝ、笛をいとおもしろく吹きて、声はをかしうてぞ、あはれにうたひける。かゝれば、この女は蔵に籠りながら、それにぞあなるとは聞けど、あひ見るべきにもあらでなむありける。

   さりともと思ふらむこそ悲しけれ
     あるにもあらぬ身を知らずして

と思ひをり。男は女し逢はねば、かくしありきつゝ、人の国にありきてかくうたふ。

   いたづらに行きては来ぬるものゆゑに
     見まくほしさに誘はれつゝ

水尾の御時なるべし。大御息所も染殿の后なり。五條の后とも。 」

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