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在原業平の魅力コミュの伊勢物語と古今和歌集  第六十九段

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伊勢物語と古今和歌集  第六十九段


 この六十九段は「伊勢物語」と言われることにつながる段だといわれる。男(業平)が伊勢の国に狩の使いとして行った時の伊勢の斎宮との密会のことが書かれてあるからである。

 男をもてなすように斎宮(いつきのみや、恬子内親王)はその親から云われた。この親とは紀静子である。静子と文徳天皇の間に生まれたのが斎宮。この静子の兄は紀有常。 有常の娘が業平の妻であるから、静子は業平の姪の夫である。静子の娘が斎宮の恬子内親王であるから、この関係は複雑である。

             在原業平
             |   |
  有常  ーーー 女   |
                  |
  静子  ーーー |
          |ーー 恬子内親王(斎宮)
  文徳天皇ーー

つまり、1)斎宮としてあるまじき行い、2)業平の奔放な振る舞い。

 この二つが大きな問題であり、古今和歌集に採用されたこの段の歌二首の646の歌、「世人さだめよ」が、こうした行為を世間の方で判断してくれとも言っているようにも思える。尤も、古今和歌集では「世人」となっているが、別本には「こよひ」となっているが。古今和歌集では詠み人を読人不知とし、恬子内親王を隠す。古今和歌集ではそうした複雑な事情に立ちいらないで、歌だけを素晴らしいものだとして採用したようだ。特に645の歌では、「君やこし我やゆきけん」と対峙させ、「うつつかねてかさめてか」とここでも別の対峙がある。上の句と下の句は見事な対比を構成し、下の句は「か」音のオンパレードである。


業平朝臣の伊勢の国にまかりたりける時、斎宮なりける人に、いとみそかにあひて、又の朝に、人やるすべなくて、思ひをりけるあひだに、女のもとよりおこせたりける
   君やこし我やゆきけんおもほえず
     夢かうつゝかねてかさめてか  (恋歌三 645 読人不知)

「ゆうべはあなたが来たのか、私が行ったのか、わからない。あれは夢であったのか、それとも現実であったのか。眠っていてのことか、それとも覚めていてのことか」(久曽神昇)

返し
   かきくらす心のやみにまどひにき
     ゆめうつゝとは世人さだめよ  (恋歌三 646 業平朝臣)

「すべてまっ暗にする私の心の闇で、迷ってしま。ゆうべのことが夢であったか、現実であったからは、世間の人、きめなさい。」(久曽神昇)

 古今和歌集645の詞書には「伊勢の国にまかりたりける」とそっけないが、伊勢物語には「伊勢の国に、狩の使いにいきけるに」とあり、行った目的が伊勢物語で明白になる。細川幽斎によると、狩りの使いは諸国への勅使なのであり、業平は伊勢・尾張の国の勅使である。勅使は重要であり、国司はそのように取り扱った。勅使が巧く報告してくれれば、留任も有り得たからである。



第六十九段原文
むかし、男ありけり。その男伊勢の国に、狩の使いにいきけるに、かの伊勢の斎宮なりける人の親、「常の使よりは、この人、よくいたはれ」といひやれりければ、親のことなりければ、いと懇にいたはりけり。朝には狩にいだし立ててやり、夕さりは帰りつゝそこに来させけり。かくて懇にいたづきけり。二日といふ夜、男、われて「あはむ」といふ。女もはた、いと逢はじとも思へらず。されど、人目しげければ逢はず。使実とある人なれば、遠くも宿さず。女の寝屋近くありければ、女、人をしづめて、子一つばかりに、男のもとに来たりけり。男はた寝らざりければ、外の方を見いだして臥せるに、月のおぼろなるに、小さき童を先に立てて、人立てり。男いとうれしくて我が寝る所に、率ていり、子一つより丑三つまであるに、まだ何事も語らはぬに、帰りにけり。男いと悲しくて、寝ずなりにけり。つとめていぶかしけれど、わが人をやるべきにしもあらねば、いと心もとなくて待ちをれば、明けはなれてしばしあるに、女のもとより言葉はなくて、

 君やこし我や行きけむおもほえず
  夢かうつゝか寝てか醒めてか

男いといたう泣きてよめる。

 かきくらす心の闇にまどひにき
  夢現とはこよひ定めよ

とよみてやりて、狩に出でぬ。
 野にありけれど心はそらにて、こよひだに人しづめて、いととく逢はむと思ふに、国守、斎宮のかみかけたる、狩の使ありと聞きて、夜ひと夜酒飲みしければ、もはら逢ひごともえせで、明けば尾張の国へたちなむとすれば、男も人知れず血の涙を流せどもえあはず。夜やうやう明けなむとするほどに、女方よりいだすさかづきの皿に、歌を書きていだしたり。とりて見れば、

 かち人の渡れどぬれぬ江にしあれば
と書きて、末はなし、
 そのさかづきの皿に、続松の炭して歌の末を書きつぐ。
   またあふさかの関は越えなむ

とて、明くれば、尾張に国へ越えにけり。斎宮は水の尾の御時、文徳天皇の御むすめ、惟喬の親王の妹。 

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