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高木神話コミュの高木ファミリー 第四部 導かれし未知

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もう2ヶ月も会っていない。


離ればなれに暮らすようになっても、1ヶ月に1回は家族会を開いていた。


日にちを決めてるわけじゃない。
別に寂しいわけじゃない。
気付くと誰かが集合をかけて、一家4人でテーブルを囲む。


みんながそれぞれで見てる最近あったニュースなんかを話題にそれぞれの意見を言い合う。

切り出す話題はたいていみんなが理解る。
それぞれ住む場所が変わってもライフスタイルは変わらない。



高木家の二人の子供達は大人になってそれぞれ自立していた。

世の中がどんなものかわかり始めた頃、お互いの立場や気持ちを理解できるようになっていた。


両親が20年以上前に二人でつくり始めた親子の絆という存在に気付いた子供達は、更なる心地良さを求め、20年の距離を徐々に縮めていった。



ご飯を食べ終わった家族はみんなでカラオケに行こうということになった。




オヤジは一発目から梅沢富美男の「夢芝居」を入れた。


オヤジらしい選曲だった。
近所のスナックのママからモテはやされるらしい。


姉ちゃんはリモコンで検索していた。


母ちゃんはタバコをふかし、咳をしていた。



母ちゃんがそのタバコを落とした。





おいおい、、、





母ちゃんが胸をおさえ、苦しんでいた。



え?










エリマキトカゲの手のように硬直した手で一生懸命、胸をおさえていた。


その苦しみ方は尋常ではない。




痛い痛い痛い・・・・




母ちゃんの大きな声が鳴り響く。



「救急車、救急車。」



誰かが叫ぶ



「大丈夫、大丈夫」



「救急車は呼ばなくて、大丈夫、、痛い、痛い痛い」


「薬飲めば大丈夫だから。」




「いや大丈夫じゃねえだろ」





「大丈夫、大丈夫。」



「とりあえずお会計して帰ろ。」



状況はとりあえずではなかった。



会計をして、急いで車で家まで送る。

母ちゃんはTシャツを、しわくちゃになるぐらい握り締めていた。


車の中でも母ちゃんは苦しんでいた。

「家に帰って薬飲めば大丈夫だから・・・」


「痛い痛い痛い・・・。」



「痛い痛い痛い・・・」




「痛い痛い痛い・・・」



母ちゃんが苦しんでいる。

くそ、何もできねえ




家の前まで着くと、母ちゃんの苦しみが増した。


「痛たい 、痛い、痛い、痛い。」


「痛い、痛い痛い・・・」


「痛い、痛っ痛っ痛い・・・。」





・・・もうわかったよ。
どうもできねえよ。
どうすりゃいんだよ。





するとオヤジはこう言った。



「救急車、呼ぶぞ。」


数々の修羅場が物言う発言だった。



すぐに119に電話をした。



「うるせえ!」
「早く来てくれ。」


うるせえ、落ち着けるはずがねえだろ。




救急車の到着は思ったより早い。


救急車に乗り病院へと向かう。


「痛い痛い痛い・・・」


救急隊員も慌てている。



高木以上に事の重大さに気付いていたからだろう。


隊員に聞いた
大丈夫ですか!



「・・・大丈夫だと、・・・思います。」






濁した。



明らかにマズイのがわかる。



何もできねえ。



よくわかんねえ数字が下がっていくのがわかる。



手を握っても、叫んでも、下がっていく数字



ついに数字が0になった。


母ちゃんを見る。

目をつぶり気を失っている。








「離れて下さい!」


隊員が心臓に両手でアイロンをあてた。


電気ショックだ。


数字が復活した。


すげえ。


「あとどんぐらいで着きますか!」


あと10分ぐらいです。


遅せえよ。






修学旅行のバスの中で、おしっこを最大限、我慢している感覚だった。



そろそろ数字が、また0になる。


やばい


「離れて下さい。」




おい、気合い入れとけよ。





ドクン...




大丈夫だ。

復活した。





着いた。

病院になんとか着いた。

手術室へと運ばれる。


もちろんここからは入れない。





なんとかだった。


30分後





廊下をさっきの救急車の隊員が歩いて行った。

安堵の表情を浮かべ笑っている。



礼は言わなかった。






その20分後


先生に、家族3人が呼ばれた。









「一命を取り留めました。



でもまだまだ危険な状態です。」


その後に説明が続いた。


なんか話している。





何を言われたか忘れた。




2ヶ月ぶりの家族会に、なぜこのようなことが起こったのか。



いや2ヶ月間に1回のこのタイミングに、なぜみんながいたのか。


導かれし道を、通った気がした。




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