ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

高木神話コミュの高木ファミリー 第二部 博物館のチケット

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
カッチ、 カッチ、 カッチ....





備え付けてある置き時計が壊したくなるほどウルサイのが気になっていた。



女は博物館のチケットのもぎりをしている。


大阪の西の外れの博物館の来客は今日も少なく一日に10人来ればいい方で、月に150枚ほどのチケットを切るというのが女の仕事だった。

その博物館に毎日通う男がいた。

女は、ほぼ毎日来る男に疑問を抱かないはずはなかった。
チケットを切るだけなのに毎日話しかけてくる男がうっとおしかった。



男は2ヶ月が経ったとき、女をデートに誘った。

しかし、あっさりペッサリー、断られてしまう。

女には彼氏がいるという。

「ゆうても私の彼氏、筋金入りやで」


気の強そうな女だった。



それでも男は通い続けた。

男は家に帰ってポケットからチケットの半券を取り出しテーブルに置くことが日課になっていた。

今日も半券をテーブルに置く仕草が男の心を痩せさせた。

いつかテーブルに貯まった半券でPTAから車イスでももらえるのではないかという錯覚さえ起こさせていた。





一方、女はうっとおしかったと思っていた男が、なぜ通い続けるのかということに疑問を感じ始めていた。


すると博物館でいつも一緒に働いているオバチャンに無理矢理すすめられてデートをすることになった。


「もうあんた、しゃーないから、付き合ったるわ。」



負けん気の強い女には始めから彼氏はいなかった。
そして、付き合い始めた。

ある夜、男は切り出した。
「東京でタコ焼き屋やるわ。一緒になれへんか?」



それから時が2年経ち、ワタシは生まれた。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


デトロイトパープルに点滅した携帯電話が少し動いた。

メールを受信したみたい。
メールを開くと、





「もうすぐ着くけどいつものプリン買って帰る?」






という内容のメールだった。

たわいもない日常に幸せを感じる瞬間だった。

まっすぐやさしい彼からの愛情はもちろんだが、ワタシは今、あの二人の両親からの愛情に感謝していた。




もし、あの二人が博物館で出会わなければ

ワタシはオシャレを楽しむことも、
帰り道に天使の杏仁豆腐を買って帰ることも出来なかった。

あの二人へ感謝に感謝を重ねたミルクレープを噛みしめることも出来なかった。





ワタシが2歳になれたとき、お姉ちゃんになったんだ。





高木がこの世に生を受け、高木神話が幕を開けることとなった。




コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

高木神話 更新情報

高木神話のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング