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高木神話コミュの高木ファミリー  第三部 高木姉

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「アタシ有言実行って言葉が好きなんだ。」



自信たっぷりに話す彼女の眼は明後日ではなく、明日を見つめていた。

そして自分の夢を語りだした。

「アタシは、保育士になるんだ。」



−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


専門学校を卒業した彼女は幼稚園への就職をひたすら受けたが、すべて落ちてしまい、就職浪人となってしまった。

少子化の進行が早く、幼稚園は縮小傾向にあるが、先生の志願者は年々変わらず、トイレの芳香剤のようだった。





次の年にもう一度、幼稚園を受けたが、また落ちてしまった。

そこでアタシは生まれて初めて、2段階挫折を味わった。



なんなんだろう。
なんでなんだろう。


自分が悪いのか、社会が悪いのか。


あれだけ頑張ったのになんでダメなんだろう。



まだ頑張りが足りないんだろうか。


こういうのはアタシだけかな。



正解のない回答を朝まで探す日々が続いた。

これ以上、親のすねをかじることもできなくて、近所では有名で2、3店舗経営しているケーキ屋さんに就職した。

面接ではこう答えた。
「将来自分のお店を出したいからです。」


久しぶりの同窓会では男子にこう言われた。
「そういえば高木は昔、幼稚園の先生になるとか言ってなかったっけ?」

「ん?」

アタシは急に聞かれて何も話すことができなかった。

それを見て、あんまり仲良くなかった子がアタシに気づかれないように二人で笑っていた。


アタシは真剣にやっていたからこそ笑えない。



「何を言っても言い訳にしか聞こえないんだよ。」
っていつか誰かに言われたことを思い出した。

なんかしゃべろうかと思ったけど、口を開けずに笑い声だけが耳元に残った。



そこからは沈みっぱなしリンパマッサージ。



次の朝、二日酔いで目覚めた。

モヤモヤで何も見えなかった。
はずさずに寝たコンタクトが、黒目にぴったり張り付いていて、たった一滴の水分を欲しがっていた。

喉もカラカラだった。

冷蔵庫から出したオレンジジュースを一気に飲んだ。

あのトロピカーナでもアタシを10%も助けることができない。

そんなモヤモヤした日が何日も続いていた。

ケーキ屋の仕込みの朝は早く、その道のりは肩が重い。
アタシは身長が低くなったおばあちゃんになる。


そんなときアタシを助けてくれたのはやっぱり母ちゃんだった。

ヨチヨチ歩きのアタシにまた歩き方を教えてくれたのは母ちゃんだった。



「今まで自分がやったこと、自信もってたらええのんちゃうの。
他人がゴチャゴチャうるさいねん。
聞く耳はもつけど関係ないわ。
自信をもって、生きとったらええねん。」


母は勇ましかった。

昔から母ちゃんは好きなんだ。
弱いアタシを強くしてくれる。
そんな母ちゃんが好きなんだ。




せやなぁ、アタシって幸せなんやなぁ。
恵まれてるんやなぁ。

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