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高木神話コミュの高木逮捕  第三部 ガーナの坂本龍馬

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時はさかのぼり一週間前、日本に密入国したばかりの若造がいた。

ガーナから兄をたずねてやってきた。
190cmはあろうかという青年は地元では負けなしだった。

けんか、けんか、チョコレート、けんか、チョコレート、けんか、チョコレート・・・・

当たり前だが一日三食、主食はチョコレートだ。朝、昼、晩に
79%、89%、100%とカカオの含有量を増やしていく、晩飯にいたってはカカオだ。そんなカカオいっぱいの愛くるしい笑顔を放つ彼は日本に妻を探しに来た。
日本にいる実兄がガーナにいる弟に縁談の話を持ちかけたのだ。
お見合いである。



お見合いの為の正装が派手すぎた。
派手すぎたのが仇になりむこうのお母さんに嫌われてしまった。
来日して5日でやることがなくなってしまった青年は、
フタを開けたら卒業していた大学生のようになってしまった。

そう、彼の名前がジェイコブである。


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兄はHIPHOPショップで働いていた。


「今は、HIPHOPショップか格闘家だな。」
と兄は言った。

ジェイコブはHIPHOPショップで働くことにした。

兄はまず、
・アメリカとのハーフだと言え。
と教えた。
次に
・お客様は神様だと思え。
と教えた。

最後に、
・高木には気をつけろ。といった。
理由は教えてくれなかった。



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実際にリトルアフリカの路上に立つと、
蒸し暑い中、腐りそうなほど神様がいる。
これだけの神様を前にするとありがたみがなくなり、
もはや神様が神様ではなかった。

昼休みになり、兄がランチをおごってくれるという。
常連のお客さんの店だという。
入った瞬間、兄が
「Hey brother!」と抱き合った。
抱き合った後にジェイコブにもハグをしてきた。
ジェイコブは素直に抱き合えなかった。


腹違いにもほどがある。 ほどがあるが
実際の腹違いに、なるほどはない。


ジェイコブは店員に対してイラ立ちを感じていた。
神なのか兄なのかわからなかった。
出された料理をイヤイヤ食べた。
うまい、チョコレートよりうまかった。
その料理が牛タン定食だと聞いたとたん
20年間付き合ってきた自分の舌を初めて疑った。
「ボーズ、うまいか?」
と神に聞かれた。
ジェイコブは答えた。
兄は「うまい。」と訳した。
神に嘘はつけないと思った。舌を抜かれると思った。

ジェイコブの兄は、ダボダボのズボンのポケットからチョコレートを取り出した。
半分、溶けてペースト状になったチョコレートをなめた。
ガーナの故郷を思い出した。


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ガーナ=チョコレート=虫歯

ガーナでは深刻な歯医者不足が社会問題となっている。
子供がなりたい職業1位はもちろん歯医者だ。3位は歯科技工士と続いている。
しかしなんと2位はMeji前橋工場だ。
そして10位までに明治が7つを独占している。
かつて早明戦だとさわがれた時代は完全に終わった。
そう、ガーナの明治時代はそこまで来ていた。

兄はガーナの龍馬坂本と呼ばれていた。そしてジェイコブと共に母国に帰り明治維新を起こそうとしていた。
その夢をリアルにする。
HIPHOP DREAM.
リアルな現実がそこにあって、夢をリアルすることが
HIPHOPショップ、ガーナの未来を変えることになると考えていた。

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ランチを食べ終えた後、またたびリトルアフリカへと戻った。
HIPHOPショップの前に立つとやけに視線を感じる。
そちらに目を移すとにらみを利かしてくるヒゲ顔の汚いオヤジがいた。兄に誰かとたずねると兄はこう言った。
「ヒゲ工房だ。」
その後に続けてこう言った。
「今うちはあそことは停戦中だ。いづれ交わることになるだろうが気軽に手を出すんじゃねえ。」
兄の目はガーナのチーターのように恐ろしく鋭い目つきで、
今にもガゼルに喰らいつきそうな眼だった。

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ヒゲ工房はHIPHOPの隣に店を構えるクレープ屋、

マリオ★クレープだ。

マリオ★クレープは全国にも数多くあるが、ここ原宿が総本店らしい。
奴らは俺らが路上に立つことをよく思っていない。

香水の臭いでクレープの食欲なくなるということの抗議文をジェイコブ兄に提出したことがことの発端だ

内容は香水の臭いが鼻につくので、こちら側で指定した香水に変えてくれというものだった。

それを聞いた兄が怒り狂い、そこで喧嘩となったが
町内会長のムラサキスポーツの店長が間に入り事なきを得た。
それ以来、停戦条約が結ばれていた。

しかしそこにはジェイコブ兄の香水はムラサキスポーツで購入しているという事実があった。それが町内会長の重荷になっていることはいうまでもなかった。


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次の朝
ジェイコブと兄は2人とも走りながら原宿の竹下口の改札から出てきた。

遅刻だ。遅刻だ。遅刻だ。
バイトのオーヒョイが来ているころだった。
店のカギは兄が持っている為、2人で走っていた。

そのときの原宿はやけに静かだった。
走っているせいか、起き立てのせいか、景色が止まってみえた。

声が  遅れて   聞こえてくるよ

キャッチボールをしている青年のボールの縫い目が32まで数えることができた。今日は凄い。
また身体能力が上がったのかと思った。
兄が急に止まった。

いや、どうやらそうじゃないみたいだ。


店の前に緊張が走っている。
それもかなり早い。



ジェイコブは一点を見つめながら言った。
「なあ、兄ちゃん。」
兄も一点を見つめながら、すぐこう答えた。
「ああ、高木だ。」

190cmはあろうかという黒人の大男2人が
165cmの高木に物怖じしているように見える。

ギャラリーは朝から30人程いたが誰一人として声を出しておらず、静かだった。



高木が魚肉ソーセージをかじる音だけが聞こえた。

シャリ・・・・・シャリシャリ・・・・・・・・。



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