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instant novelコミュのへなちょこマシーン

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「へなちょこマシーン」





あるところに、


へなちょこマシーンという奴がいた


負けん気 強気なロボットだ


へなちょこマシーンには腕が4本はえている
だからへなちょこマシーンは仕事が早い
もちろんロボットだから効率も能率もよい


からだは頑丈な鉄で出来ている
へなちょこマシーンはまだ一生に2度しか風邪をひいたことがない


だが頑丈な鉄で出来た、へなちょこマシーンのからだは
いつも冷たい


この冷たいからだと、
負けん気 強気で論理的なことば遣いや
平坦なイントネーションのせいかなのか
へなちょこマシーンは
いつもひとりだった


そして へなちょこマシーン自身も
自分の冷たいからだと冷たいことば遣いが嫌いだった


仕事が出来れば みんなに褒めてもらえて
仲良くなれると思ってた


自慢の4本腕だったし、
彼自身も この4つの手が気に入っていた


そのため彼はまだ一生に2度しか腕のメンテナンスをさぼったことがなかった


しかし へなちょこマシーンは
ずっとひとりぼっちのままだった


へなちょこマシーンは 嬉しいとか寂しいとか
そういった想う気持ちがあっても それを口にしたり行動したり出来なかった
彼には表現の仕方がわからなかったのだ


へなちょこマシーンは 意味もわからないまま
ただ、寂しかった


 いくら仕事が出来たって ひとりじゃ何にも楽しくない
 僕はそんなために動いてるんじゃない
 いくら頭が冴えていたって 発揮し甲斐がなければ意味がない
 僕は何のために動いているのかわからない


そしてへなちょこマシーンは 自分の冷たい4本の腕も冷たい口調も
嫌いになってしまった


それからへなちょこマシーンは
だんだん腕のメンテナンスをしなくなっていった


そして へなちょこマシーンの腕は錆びて
ついには腕2本が動かなくなってしまった


別に彼は嫌いな腕がどうなろうと何とも思わなかったが
今までのように仕事が思わしく出来なくなってしまったのだった


仕事は片付かず 溜まる一方


いつも悠々とこなしていた仕事が
どんなに頑張っても終わらない


寝る間もなく仕事に終われる日々が続いた


そんなへなちょこマシーンのことを
みんなはちょっとだけ心配していた


そして日を追うごとに心配は大きくなった


それから何日かして ‘みんなのなかの誰か’がへなちょこマシーンに言った


 僕もいっしょにやっていいかい?


へなちょこマシーンは 一度手の動きをとめ、
一度だけ頷いた


この男は優しく、よく手伝ってくれたが どんな状況でも
いつもきっかり12時には昼休憩に行き
きっかり夕方5時に家に帰っていった


そして 何日かして
別の‘みんなのなかの誰か’が言った


 あたしもまぜてほしいな


へなちょこマシーンは 一度手の動きをとめ、
一度だけ頷いた


この女は気さくでおしゃべりで場が和むことが多かったが、ときに
口は動いていてめ手が止まっていた


それからまた何日か過ぎ
また別の‘みんなのなかの誰か’が言った


 手伝ってやってもいいよ


へなちょこマシーンは 一度手の動きをとめ、
一度だけ頷いた


この男はわりと効率もよくてきぱきと仕事をこなすが
20分に一度は煙草を吸いに席を外した


それからまた4日過ぎてまたまた別の‘みんなのなかの誰か’が言った


 なんかやることある?


へなちょこマシーンは 一度手の動きをとめ、
一度だけ頷いた


この女は言われたことはしっかりやるが
指示がなれなければ自主的には何もやらなかった


へなちょこマシーンは一度も休まずに働いた


手伝ってくれたひとたちを見て
やはり効率が悪いとは思ったが
ひとりでやるよりはるかに楽で
何より ひとりでやるより
はるかに楽しかった


そして、ついに山積みにされていた仕事が終わった


へなちょこマシーンは‘みんな’に対して
ある想いがあった


へなちょこマシーンは いつもみんなのことを羨ましく見ていたから
こういうとき、いつもみんなが何と言うか
なんとなく知っていた


へなちょこマシーンは
はじめて「ありがとう」と呟いた
そして手を差し出した


4人のうちのひとりがへなちょこマシーンの手を握って 言った


 いいえ どういたしまして


そして それ以外の3人も
下に垂れ下がったままの3本の手を握った


へなちょこマシーンはまた 4人に「ありがとう」と言い、
しっかり握手をした


そのうちの2本の腕は動かないので
しっかりと握ることは出来なかったが
彼の握られた手も こころもあったかくなった


へなちょこマシーンは
手が4本あって本当によかった と思ったのでした


おしまい

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