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instant novelコミュの「飛行機雲」

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「飛行機雲」





マンションの階段ですれ違う
それが出会いだった
いくつか歳が上の女の人


そのうち親しくなって
飲んだりして
語ったりして
仲良くなったと思ったが始まり
単なる不幸の物語


全てが凍える、冬の日


私、気付かないうちに
なんだか重大の罪をなすりつけられていて
彼女にはめられて


自分が犯人に仕立てられてしまい、
警察に追われてた


もちろん自由を主張したけど
警察は全く聞く耳を持たず
犯人が誰なのか、を探すことではなく
あたしが犯人、とすることが彼らの仕事のようだった
警察も他人もメディアも全部


唯一、信じてくれたのは家族だけだった


あたしは家族の力を借り
自由を求めて逃げだした
窓を飛び出して
いや飛び降りて 足をすりむいて
隠れて走って歩いて隠れて走って潜んで


その地域では あたしの顔まで晒されて
そう、指名手配のような
マスクで顔を覆い
髪を切り
化粧で人相を変え


とにかく歩いたり 電車に乗ったりチャリ盗んだりして


逃げて 逃げて 逃げまくった。


途中 いろいろなひとと出会った
もちろん素顔を隠して
あたしじゃないあたし として接した


あたしと気付かないひともいたし、
あたしと気付いたひともいた


気付いても あたしの人柄から
ほんとは犯人じゃないって信じてくれたりして
かくまってくれたり
逃げるのを助けてくれたひともいた


あの境界を越えたらあたしを捕まえことができない、という所に向かって
(現実でいうと国境のようなもの)
当たり前の自由がただ欲しくて


6か月間 逃げて逃げて逃げまくって


夏になった
8月終わりのまだ暑い日


その境界線まであとちょっとというところで
あと2〜3キロで自由を手に入れられるというところで


バスが急に停まって


なぜか警察がたくさんいて
そのままタイホ。


捕まる3日前あたしをかくまってくれてた、信頼しているひとと妹
そして警察


私と同じくらいの年の女の子は私をかくまってくれてた
私を信じてくれて、手助けしてくれたのに


なぜ?


妹ちゃんは私を指さしている
あのひとが犯人だよって警察に教えてあげてるみたいにずっと
私が捕まる間 ずっと


私は捕まってバスから降りるとき
叫んだ


信じてたのにどうして


今まで顔をそむけていた女の子が泣きながら言った


私じゃない
この子が…!





妹ちゃん。


妹ちゃんはまだ小学高学年〜中学生くらいの歳だった


お姉ちゃんにはちゃんと罪を償ってほしかったから
と妹ちゃんは言った
そうやって、
大人に言って
警察に言ったのだ


罪を償えって?


あたしはやってないのに


自由はもう少しだったのに


と 私はぶちギレて、


てめえ いまにおぼえてろよ
おまえがあたしのじんせいを壊したんだ
あんたのかおぜったいわすれないからな


と 泣き叫びまくって


連行されて
裁判で負けて
牢屋でその女の子を恨み続けた









何年か
何十年か
わかんないけど
牢屋を出て
あの街に行った


そこで近所の女性と仲良くなった
私より若い女性



私は第二の人生をそこからスタートするのだ















私はひとを殺した


そのあと、近所の仲よくなった女性とお酒を飲んだ
その女性が軽く酔ったあと
薬で眠ってもらって
その女性が明らかに犯人であるように細工した


そして私はその場を立ち去った
もともとこの街には
その用事しかなかったわけで
本当の名前じゃなかったし
本当の家でもないし
誰でもない私でしかなかった


その女性はきっと目が覚めたらびっくりするだろう
自分の部屋がいつもと違って赤くて
自分の隣に死んだひとがいて
自分の手には包丁があって


警察に捕まって
無罪を主張して
信じてもらえなくて
落胆パニックを経て、


ようやく思い出すだろう
小さい自分がした過ちと
昔、自分が指さした女の顔を








私はこれから遠い遠い街で幸せになるの
と飛行機に乗った


罪ならもう償った


飛行機はぐんぐん雲を突き抜けていった


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