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物語が作りたいんだ!!コミュのかぐや姫のRemix

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これはある時代、ある国のある都のお話でございます。

人々が慌ただしく行き交う大路。その大路を通りまして、路地を曲がり都を下ります。
曲がったあと、しばらくまっすぐ進みますと竹林がございまして、そこの奥、さらに奥の竹林の蔭に月景亭という料亭がございます。
そこには今、都で評判の舞姫がおりまして、名をかぐやと申します。
なぜに評判かと言いますと、その美しさにございます。
その美しさはこの世のものではない程との事で、連日連夜かぐやの美しさを一目見ようと人々が月景亭を訪れます。
女は羨望の眼差しで、男は好意の眼差しでかぐやを見る訳ですが、このかぐや、元は拾われた子でございまして、月景亭のある竹林の中で月景亭の主人に拾われたとの事でございます。
その拾った子が都で評判になる程の美しい姫に成長したのですから、月景亭の主人は良い拾いものをしたと巷の人々は口をそろえて言うのでございます。
かぐやは所詮舞姫、月景亭を訪れる客に舞を見せたり、お酌をしたりすることを常としておりますから、人の口に戸は立てられぬの様に捨て子だとかぐやに言う者もございますが、当のかぐやはそんな人々の言う事はなに吹く風、聞かなかったような素振りで毎日をおくっている訳でございます。
しかしかぐやの美しさは紛れもない事実でしたので、好意を寄せる男達がかぐやの元を足繁く通うのでございます。
そこで一人の男が登場いたします。
名を武吉と申す木こりにございます。
この武吉、木こりらしい巨躯で山で狩った薪や柴を都に来ては売り歩く事を生業にしております。
ある日、武吉がいつもの様に都で薪を売り歩いていますと、前方に光るものが落ちておりました。
近づいてみますとそれは金で作ったかんざしでございました。
武吉はそれを拾うと辺りを見回し、走り去っていきました。
武吉は拾ったかんざしを質に入れ金に換えますと、ホクホク顔で山への帰路につこうとしたその時、目前に人だかりを見つけました。
あまりの人だかりに気になり人だかりの間を抜け中を覗きますと、一人の女が牛車に乗り込むところでございました。
牛車に乗り込むその女はとても美しく武吉は目を奪われてしまったのでございます。
そして武吉はその女が乗せて走る牛車の後をつけて行きますと、牛車は竹林の中に入りある建物の前に停まりますと、女はその建物の中に入って行ったのでございます。
武吉はそばにいた者にこの建物はなんだと訊ねますと、その者は月景亭と答えます。先ほど建物に入って行った女の事を訊ねますと、それは都で一番美しい舞姫だと答えます。それを聞いた武吉は答えた者をかえりみず、建物ばかりを眺めております。
その者は物珍しく月景亭を眺める武吉を田舎者とみたのか親切心か、武吉のその姿では月景亭には入る事もできないと言います、すると武吉はなぜかと問いかけます。
その者は言うのでございます。武吉のその姿があまりに汚いと、また月景亭に通うには金がかかると。その金を聞くと庶民には高すぎる金でございましたが、幸か不幸か今の武吉の懐にはかんざしを売った金がございました。
それを武吉は思い出しますと、走り去っていったのでございます。
そして武吉は小綺麗な姿で月景亭の前に戻ってまいりました。
月景亭に入った武吉はかぐやを待ったのでございます。
しばらくすると武吉の部屋にかぐやが入り、舞い始めました。その美しさもさることながら舞も幻想的なもので、たちまち武吉は心奪われたのでございます。
それからは武吉にとって全てを忘れる程の甘美な時間でございました。
やがて時が経ち別れを惜しむ武吉はかぐやに必ずまた来ると言い残し去って月景亭を出ていきました。
幾日かして武吉がまた月景亭にやってまいりました。
しかも今度は前より羽振りが良く、かぐやや他の舞姫達に金を渡したりもするのでございます。
そして別れの時、かぐやに必ずまた来ると言っては別れ、また幾日か経つとまた月景亭に現れるのでございます。
ただの木こりでしかない武吉がなぜこのように金回りがよいのでございましょう。それには理由がございました。
静まりかえった夜中の都の大路、一人歩く男がございました。これから女の所へ通うのか、それとも通った帰りなのか、男は人目を忍ぶように大路を歩いておりました。
男は姿からして貴族か金持ちのようでございます。その男をつかず離れず歩く男がおりました。貴族か金持ち風の男が細い路地へ入りますと、後をつけていた男が素早く近づき首をしめるともがく暇もあたえず殺してしまったのでございます。
その人殺しこそ武吉でございまして、武吉は殺した男を担ぎ、都のはずれを流れる川まで運びますと、そこで男の身ぐるみをはがし金目のものだけ自分の懐に入れますと、残りは殺した男と一緒に川へ投げ捨てるのでございます。
次の日、なに喰わぬ顔で昨夜殺した男のものを売り払い金に換えますと、その金を持って月景亭に向かうのでございました。
しばらくすると武吉の殺した人数が片手を越えます頃には、都の噂にあがり始めるのでございました。昨日は誰が殺された、今度は誰が殺される、いやいや今度はあいつに違いない。などと人々が口にするのでございます。殺される者が例外なく貴族か金持ちでございましたので庶民は面白がって言うのでございました。
それから少し経ったある日、今度は月景亭が噂の的になったのでございます。
なんとかぐやが月景亭を舞姫をやめて嫁ぐと言うのでございます。
それが妙な事にかぐやの嫁ぎ先が決まった訳ではございませんのに嫁ぐと言うのでございます。
かぐやが嫁ぐと言えば、身請けしたいと申し出る男はごまんと訪れるでございましょう。しかしこれといって嫁ぎ先が決まっている訳でもないのに、こんな事を言うのか不思議がった月景亭の主人はかぐやにどこに嫁ぐのかを聞くのでございます。
そうするとかぐやは答えるのでございます。
竜の宝玉、金色の羽、氷鼠の毛皮、珊瑚の小柄、のうちどれかを持参した方の元へ行きましょうと言うのでございます。
しかしこれらの品々は手に入れることが非常に難しい宝でございまして、竜の宝玉はお上の宝物殿の奥深くにしまわれているものでございますし、金色の羽は西国の山に住むと言われる鳳凰の一番長い羽でございます、氷鼠の毛皮にいたっては都より遙か北に住む鼠の毛皮で、一万匹に一匹いると言われる貴重な白鼠の毛皮でございまして、一番現実的と思われる珊瑚の小柄でさえも、海を渡った先の国の帝から賜った程の天下の逸品でして、それも先日所有されていた雅博卿が行方知れずになり、それと一緒にこの小柄の行方も分からなくなってしまったのでございます。
そしてこの無理難題が都中を走り、話題になったのでございます。
人々はかぐやがどこにも嫁ぐつもりはないのでこんな無理難題を言ったのだとか、本意はこれを持ってくるような男に嫁ぎたいのだとか、そんな噂をしたのでございます。
ある日、月景亭に一人の男がやってまいったのでございます。この男が言うには、自分はかぐやが言った宝を持ってきたのだから、かぐやを嫁にもらい受けに来たと言うのでございます。
それを聞いた主人はその男を部屋に上げるますと、しばらくしてかぐやが男のいる部屋に入ってまいったのでございます。
かぐやがその男を見ると、武吉でございました。
武吉は持参した珊瑚の小柄を懐からだしますと、かぐやに渡し、さぁ儂の嫁になれと言うのでございます。
かぐやは渡された小柄を愛おしいく持つと頬によせ、わたしは貴方の嫁にはなりませぬ、と言うのでございました。
それはなぜでございましょう。わけはこうでございます。かぐやと珊瑚の小柄の所有者の雅博卿は愛し合っていた仲でございました。その雅博卿がかぐやをおいて突然行方知れずになるはすがない、つまり殺されたとかぐやは思ったのでございます。そこでかぐやは一計を案じたのでございます。雅博卿がいつも腰につけていた珊瑚の小柄は天下の逸品、その人殺しがこれに目をつけぬ筈がない、つまり珊瑚の小柄を持っている者こそ、雅博卿を殺した者。かぐやが嫁ぐ条件に珊瑚の小柄をだしたのは、雅博卿を殺した者をおびき寄せる餌だったのでございます。
そこへのこのこ武吉はやってきたのでございます。
かぐやは全てを武吉に話しますと、持っていた小柄を抜き、武吉を刺したのでございます。
そして武吉を刺した後、月景亭に火を放ち、その火の中で小柄を握りしめながら眠ったそうでございます。
これがかぐやの復讐でございます。

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