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お 嬢 in オイモーコミュの四十日目

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「姐さま!飲んでますか姐さま!」
「うん」

きっと寄り道かも知れないけれど、私には必要なことだったと思う
そして、目的はこれ以上ないくらいに達成された
あとはただまっすぐに先へと進むだけ
けれど

「少年に飲ませちゃってもいいんですかねえうへへへへへ」
「だ、大丈夫ですよ。それに少年じゃないれすよ」
「ロレツが回ってらいですねあははははh」
「飲んでますね皆さん…」

私達はまだ出航していなかった
こんなこと多分初めてだけれど、何となく後ろ髪を引かれる思いがして
そのまま酒場でしばらく飲んだ
忙しいはずの商人も顔を出してくれた

今まで使い捨ててきた下僕たち
もう殺さないと決めてから、初めて全員と過ごすゆっくりとした時間

私は今、立ち止まっている



隣の彼がうなされていたので私は身体を起こした
ベッドから落ちたらどうしよう
私はぼんやりと彼を見ている

「姐さま…?」
賢者の少女が目を覚ました
起こしてしまったようだ
目をこすり、きょろきょろと辺りを見回す
夜明けまではもう少しあった

「そ、そう言えば!」
彼女が私と盲目の青年を交互に見た
「あんまり当たり前のようにいるから、つっこみ忘れてましたよ!」
「何?」

賢者の少女は、男部屋と女部屋がどうとか、私に言った
でも彼は目が見えないから、そう答えると肩をすくめる
「姐さまは過保護です」
ちょっとふくれて

「まあ、いいですけど」
彼女はどさりと大きな音を立ててベッドに転がった
「あたしの隣で変なことしちゃ嫌ですよ」

それじゃあ、と私は彼女のことも誘ってみた
「一緒ならいい?」
まだ眠いし、お酒も少し残っている

「嘘」
私は嘘はつかないけれど、そう思うけど
「顔に書いてあります」
賢者の少女は毛布を頭からかぶったまま、そんなことを言った

私は起き出して鏡を見る
目の前にいるのは、少し眠たそうな、いつもの私だった



翌朝、港の前で私は皆にゾーマの話をした
ごく簡潔に
すでに高く昇った太陽は海と私の船をキラキラ照らしている

賢者の少女は興奮して、意味もなく拳を握り締め
僧侶二人はもう一つの世界アレフガルドの名に息を飲んだ
あ。ちょっと勘違いさせてしまったかも、と思った
私はお別れを言っているのだ

この子達は随分強くなったけれど、連れて行く気はない

「またですか!ひどいですよ姐さま」
案の定、賢者の少女は口を尖らせた
「片付いたら迎えに行くかも」
「かもって何ですか!」

私が黙っていると、彼女は怒って船室にこもってしまった
相変わらず、私は喋るのが下手だと思う

少し困って、今度は僧侶二人を見る
彼らは私の表情は読めないようだった
「貴方達のことはあの子に…総督様かな。話してあるから」

二人は顔を見合わせた
私はもう少しだけ説明する
この旅はようやく、まとめに入っているのだ
「あの街には教会がないでしょ?」

「あ、」
「もしその気があるのなら、だけど」
ぼんやりと考えていたことは、私が帰るところ
それはきっとアリアハンでもイシスでもポルトガでもなくて
ここになるような、そんな気がしていたのだ

「がんばってね」
結局、僧侶二人はここに留まる
私はふと、精霊が作ったというアレフガルドのことを思う

「そうだ」
「はい?」
「もし神様に会ったら、教えてあげる」



そして船は行く
賢者の少女を望むところへ届けたら
次はアレフガルド、ゾーマのところへ

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