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小説 3月の雪コミュの第三章 その2

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喫茶店を出た僕は急いで帰ることにした
日が落ちるのも早くなってきたこともあり辺りはもう薄暗くなってきている。
「さて、急いで帰るか・・・」
僕は自転車にまたがり漕ぎ出した
帰りは下りが多いこともあり行きよりかは随分と楽だ
N大近辺まできて最後の下りを風を切って走っていく
あそこのカーブを曲がればもうすぐだ
「!!!!!」
急に視界内に人影が現れた
「くそっ!」
僕はあわててハンドルを切る
「きゃぁぁぁっ」
やばい人とぶつからないにしろこのままじゃガードレールに・・・
ガシャァァァァァン
僕はかなりの勢いでガードレールに激突した。
「いてててててて・・・」
僕はその場に座り込む
「だ、大丈夫ですか?・・・」
ぶつかりそうになった相手が心配そうに声をかけてくる
「あ、大丈夫です。こっちがスピード出しすぎてましたし・・・ってあれ?」
そこには見慣れた人影が・・・小早川先生だ
「長船君じゃない、ダメよスピード出しすぎちゃ・・・」
先生が心配して声をかけてくれる
「ゴメンナサイ・・・それよりも先生に怪我がなくてよかったです・・・」
そういって立ち上がろうとすると手から結構な血が出ていることに気づく
「ちょっと、長船君手を怪我してるじゃない!!手当てしなきゃ!!」
先生は慌てて僕の傷口を見る
「い、いやこれぐらいは大丈夫ですよ・・・いてっ」
自分でもたいしたことは無いと思っていたが実はちょっと痛い
「ちょっと私の家にいらっしゃい。すぐそこだから」
「い、いやこれぐらいだいじょ・・」
「ダメです!!バイキンが入ったらどうするの!!」
怒られてしまった・・・
そういえば小早川先生はN大の近所に住んでるって言ってたな・・・
「さぁこっちよ。いらっしゃい」
先生にいわれるがままついていくことにした。
そこから1分ぐらいのところに先生の家はあった
なんか小奇麗なマンションみたいなのを想像していたが意外に古いアパートだったのでびっくりした。
「さぁここよ」
アパートの2階に先生の部屋はあった
「ちょっと散らかってるけどゴメンネ」
と言って先生は部屋の中で救急箱を探し始めた
アパートの中はそんなに広くない
六畳間とキッチンが付いているぐらいの簡単なものだ
それ以上にあっけにとられたのは・・・・
この散らかりようだ。奥にはパソコンが一台置いてありその机の上には書類などが山積みされている。部屋の真ん中にはテーブルが置いてありその周りには漫画などが山積みにされていた。
正直ボロアパートにも驚いたが部屋の散らかりようがすごい
一見しっかりしてそうな先生だがものすごく意外だ
僕の想像していた女性の一人暮らしの部屋のイメージとはだいぶんと異なる・・・
「あった!!」
奥から救急箱を見つけて傷口を消毒してくれる
最初はそうは思わなかったが傷口が意外と広い
「ちょっとガーゼが切らしてるからこれで我慢してね」
そう言ってガーゼの代わりにハンカチを当てて包帯を巻いていく。ちょっと大袈裟な感じもするが・・・
「これでOKよ。もぅ危ないことしちゃダメよ」
「スイマセン・・・」
また怒られてしまった
「なんか飲んでく?コーヒーぐらいしかないけど」
「い、いや・・・そんな・・・お構いなく」
「何遠慮してるのよ、砂糖とミルクは?」
かなり押されてる・・・先生ってこんなだったっけかな・・・
そしてあったかいコーヒーが出された
「どうもスミマセン。手当てしてもらった上にコーヒーまでいただいちゃって」
「何言ってるのよ、男の子はそんなに遠慮しちゃダメよ」
うーんやはり学校とはまた違う一面だな。それもそうか、先生にとっては職場なんだからそれだけマジメにしなくちゃな。
「先生って何で教師目指してるんですか?」
唐突に質問ををふってみる
「ん〜まぁ教師になりたいってばっかりじゃ無いんだけど、今大学で研究のほうもしてるんでできればそっち方面に行きたいんだけどなかなか狭き門でしょ?だから保険みたいな物かな?」
そう言っていくつかの資料を持ってきてくれた
「これなんか今やってる研究なんだけど、ここがこれで・・・・」
いろいろ説明をしてくれている。正直僕には難しいかなとは思ったがなかなか面白そうなことがいくつかある
「先生も色々大変ですね」
そういうと先生はクスッっと笑って
「大変なのは長船君の方でしょ?これから受験なんだから」
そういえば最近受験とか忘れてたな・・・そろそろ進路を決めてしまわないと・・・
「進路はちゃんと考えなさいよ。自分のやりたい道をちゃんと決めなきゃ後で後悔するわよ」
そうだな・・・そろそろ本気で考えないといけない時期だな
時計をチラッとみたらもう7時だ
「そろそろ帰ります。だいぶ遅くなっっちゃったんで」
そう言って立ち上がった
「あらゴメンナサイもうこんな時間!」
そういって先生も立ち上がる
玄関まで出てきた先生は
「スピード出しちゃダメよ」
と念を押してきた
「解りました。気をつけます。あと、ハンカチ洗って返しますね。」
「そんなのいいのに・・・」
「いや、そういう訳にもいかないんでちゃんとお返しします。
学校で渡すのもなんなんでこっちに持ってきてもいいですか?
あの研究のことももうちょっと知りたいし」
そう言うと先生はにっこり笑って
「あの研究に興味持ったんだ。いいわよ今度またいらっしゃい」
「今日はどうもありがとうございました」
そう言って僕は家に帰った
家に帰って包帯巻きの手に心配してくれる母と、自転車を傷だらけにしてきた父の怒りがものすごくギャップがあったのを覚えている

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