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2020年04月18日22:05

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旧約聖書外典偽典概説土岐健治教文館 2010年3月

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p.160
　ウィンターミュートは、グノーシス主義との関連で、「あらゆる時代(アイオーン)の光(＝キリスト)」(九14)、「生命の木」(九15)、「秘密(τα μυστηρια)」「乙女のごとき信仰」(六7)、「誰も知ることのできない大いなる御名」(六12)、「我々の心において知識(グノーシス)となって下さい」(六12)、「大いなる封印のしるし」(六25)、などの表現に注意を喚起している。グノーシス主義との関連については、さらにハイニンガーを参照。
預言者の生涯
p.168
　原本に関して、シャーマン、トーレイいずれの説を採るにしても、本書の原型となる、たとえば「預言者殉教物語」のようなものがすでに前一世紀頃から次第にまとめられつつあった、という想定は十分可能であろう。新約聖書の中の預言者の死に関する言及(マタイ五12、二三23、29、30、31、37および併行箇所、ヘブル書一一37もこのような本書の原型から取られたと考え得るであろう。
　このユダヤ教原本が、後三ー五世紀頃にキリスト教化されたものと想定される。
p.169
　シャーマンは特にダニエルBはその天父受苦説的キリスト論において「遺訓」のキリスト教的付加部分の思想と共通している、としている。
ギリシア語バルク黙示録
p.172
　五章では、龍の腹が黄泉であると言われる。
　ついで太陽の運行とその従者、なかんずく怪鳥フェニックスの働きが示される。フェニックスは太陽の光をさえぎって、その熱が人類を焼き尽くさないようにしている。
　夕方になると、太陽の冠と光線は、人間の罪に接したためにけがれるので、天使によって新しくされる。フェニックスはその働きに疲れ果てる(八)。
　夜になると、牛車に子羊(複数)と共に乗った月が現れる。月はアダムの堕罪に際して悲しまなかったので、神の怒りを受けている(九)。
p.174
オリゲネスが『原理論』二・三・六で、「人々は預言者バルクの書をそのこと(mundusということばを月、太陽、遊星、さらに最高の天球に対して用いるべきである、という主張)の証拠として持ち出すのであるが、それは、その書物の中に七つの世界(mundi)もしくは天(caeli)について明らかに記されているからである」と記しているが、ここで言及されている「バルクの書」が本書を指すものとすれば、本書は元来七つの天について叙述していたことになるが、果たしてオリゲネスの言う「バルクの書」が本書を指すのか否かは、明らかではない。…七天を五天にしなければならない特別な理由がキリスト教徒の側にあったとは考えにくいからである。
　キリスト教的加筆が明瞭に認められるのは「インマヌエルなるイエス・キリスト」に言及している四15である。
モーセの遺訓
p.186
さらに聖書写本を土器(つぼ)に入れるようにという一17のモーセの指示は、クムラン写本の保存状態を連想させる。
　しかしすでに概観した終末論における、クムラン文書との相違も明瞭である。従って著者を単純にクムランの成員ないしはエッセネ派と同定するのは困難である。
…このグループは、クムラン教団ないしはエッセネ派というよりは、むしろそれに近い一集団と考えるべきであろう。
　後六年のユダの乱が鎮圧された後、パレスティナにおいてはローマに対する武力闘争は影をひそめ、代わって非暴力的な無抵抗主義が台頭し、これは後四八年まで続く。
　我々の文書がこの時代に属することは、すでに触れた通りである。これはクムラン教団の時代でもある。そしてまた、イエスの活動の時代でもあることを考える時、我々の文書の持つ意味は決して小さくはないのである。
アダムとエバの生涯、モーセの黙示録
p.191
すなわちアダムは四〇日の予定でヨルダン川に、エバは三七日の予定でティグリス川に、首まで水につかる(一ー八)。ところが一八日目に、悪魔は光の天使に姿を変え、苦しみの余り泣いているエバに近寄り、神が懺悔を受け容れて下さったと欺いて、エバを水から出してしまう(九、一〇)。これを知ったアダムは悪魔を激しく非難する。悪魔はこれにこたえて、神の似姿なるアダムを拝むようにとのミカエルの命令に背いたばかりに、悪魔とその仲間(手下？)が神の前から地上へ追放されたことを教え、自分の行動はそれに対するうらみによるものであることを説明する。
ヨブの遺訓
p.204
　本書には、肉体のよみがえりの思想と霊魂不滅の思想が、併存している。本書における救いは、天における不滅性であり、それは忍耐を通して得られる。それはヨブに与えられたような天的な知識によって可能となる。その知識は一般的に受け容れられるようなものではないので、それは実際上神秘である。
p.205
　前節でふれたようにフィロネンコは本書をテラペウタイの著作と考えている。テラペウタイ起源説はすでにコーラーによって唱えられ、その後シュピットゥラーによって支持されている。
ヨセフとアセネテ
p.208
この残存する「ヨセフとアセネテ」の編者は、ハッガダ的な解釈に精通しており、ユダヤ教の神秘主義思想や太陽崇拝的な単一神教、新プラトン主義的な宇宙論と奇跡の実践の影響を受けているもの、と思われる。
聖書古代誌(偽フィロン)
p.225
もう一つ別の重要な結合が、「偽フィロン」のイサクの犠牲の取り扱いの中に見出される。三二2-4に従ってイサクはその命を自由に自発的に献げ、彼の犠牲は他の人類の罪のあがないのためになされた神に対しての犠牲とされる。そして彼の自己祭儀は好意的な効果を将来の世代へと持っている。この考え方は、イエスの死のキリスト教神学の解釈に似ており、新約聖書の著者たちが、アブラハムによってイサクが犠牲として献げられたことと結び付けられたこの贖罪神学を知っていたことは、確かである。

貫地谷しほり、クリムト作「ユディトⅠ」の描写に隠された謎に迫る
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=124&from=diary&id=5671128

貫地谷しほりが、6月22日放送の『新美の巨人たち』（テレビ東京系、毎週土曜22:00～）に出演。19世紀末のウィーンを代表する画家グスタフ・クリムトが世紀末に描いた女性像に潜む謎を紐解いていく。※放送日が変更

同番組は、旅人＝アートトラベラーが、毎回作品が展示されている美術館や建築物、ゆかりがある場所などへ足を運び、作品の秘密や、アーティストの人生に迫り、より豊かな美術鑑賞の旅へと視聴者を誘うもの。市川実日子がナレーターを務める。

20世紀の幕が明けた頃に描かれた「ユディトⅠ」（1901年）。作者のクリムトは、戦争に負け続け腐敗した空気流れるオーストリアの中で、新しい芸術を模索。39歳の時に描いたのがこの作品だ。

描かれているのは、旧約聖書外典「ユディト記」に登場する女性ユディト。衣服がはだけ、肌を露わにしたユディトの頬は赤く染まり、よくみると手には敵将の生首が……。実はユディトが暮らすユダヤの町にアッシリア軍が攻め入り、敵将の首を切った一場面なのだ。ところがこのユディト、表情はエロティックで、どこか不気味。町を救った英雄には見えない。よく見ると、青白い腕に比べて、赤みを帯びた手。なぜ色が違うのか？　実はこの一枚には、世紀末を生きる男と女の複雑な関係が……。さらに、このユディトには実在のモデルがいると言う。それは一体誰なのか？

恍惚な表情を浮かべるユディトに託した思い、描写に隠された数々の謎に、貫地谷が迫る。

■『クリムト展　ウィーンと日本 1900』
東京都美術館にて7月10日（水）まで開催。その後、豊田市美術館へ。

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