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2019年07月18日17:25

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ヒンドゥー寺院とジャワ原人(インドネシア9)

 ソロの北にジャワ原人が発見された場所及び博物館があり、東に15世紀のヒンドゥー寺院が2つあります。
 これ、個人で行こうとするとすっごく大変。公共機関は使えず、車チャーターになってしまいます。一人だと非常にコスパが悪い。しかも何時間も英語が話せないドライバーさんと二人きりとか、気まずいにも程がある。
 ならいっそ、もう現地ツアーを頼んじゃった方が楽だよね。日本語ガイドさんを頼めば、積もりに積もった「インドネシアのハテナ」も色々聞けるよね。
 という訳で、「サンギラン博物館・チュト寺院・スク―寺院」ご当地ツアーです。

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 しょっぱなから「日本人がこんな所に泊まっているはずがない」というドミトリーまで迎えに来てくれたガイド・ハルマンさん、困惑気味。
「旅行、一人ですか」
「一人ですねー。もう5週間くらい日本語話してません。忘れてるかも」
「怖くないですか」
「人が優しいから怖くはないですけど、困ったことならいっぱい。特にカリムンジャワの旅行会社!」
 インドネシア人感覚でも酷い話だったようで、思わずそのままドライバーに逆通訳してしまうハルマンさん。おーい、仕事ー。
「はい、ではインドネシアのこと、簡単に説明します」
 いや、ごめん、ガイドさんの数字の羅列ってお約束だけど、昔っから何の意味があるのかよく分からなかった。ましてや今は、手元でググれば一瞬だし。
 それより、

「なんで学生の長期休暇が7月にあるんですか」
「なんでスプーンとフォークが出てきてナイフがないんですか」
「なんで五色の旗が飾ってあるんですか」
「ヒジャブって頸動脈を冷やせないけどのぼせませんか」
「牛肉が普通に使われてますがヒンドゥーの人はどうやって避けるんですか」
「5つの宗教が認められていますが、別の宗教を持っていても結婚できますか」

 ほい、回答。

「9月に学年上がります。だからその前のお休み」
「えっ‥‥(不明)」←フィリピンと同じなんで疑問だったの。要は、スプーンがナイフも兼ねてて、肉の塊とかを切るらしい。でもそうすると右手にスプーン、左手にフォークで、汁麺とかめっちゃ食べにくいんですが‥‥
「時々その地域の役所の人、見回りに来ますね。綺麗にしてるか?危なくないか?旗を出しているとイイです」(私が聞きたかったのは色の意味だったんだが)
「ムスリムのお家では幼稚園の頃から使います。そうすると慣れます。暑くない」
「レストランでは絶対たのまない。お家で食べない」←原料からハラルでないといけないムスリムと違って、ヒンドゥーは知らないで食べちゃった場合は不問らしい。
「できます。一度、お嫁さん、夫の宗教になりますね。でもその後でチェンジできる。子供はお父さんとお母さん、どっちかを選べます」←インドネシアは宗教登録が義務でして。その人口はイスラム>>>カトリック≧プロテスタント>ヒンドゥー>仏教の順だそうだ。

 でもアニミズムも同時進行していて、スルタンの称号を持つ国王ですら、ジャワ教(ってはっきり言ったぞハルマンさん!)の自然神への供物を捧げる儀式は欠かせないとのこと。『多様性の中の統一』はインドネシアのスローガンですが、面白い混ぜこぜですね。
 そこいらは日本人の感覚に近いんじゃないかな。自然が豊かな国で、その自然に懇願&畏怖しないでいるのは至難の業ですよ。宗教とは別の次元に、形のない『ジャワ教』は存在するのでしょう。
 一神教は、基本、自然≒敵である地域で発生しています。生きるには厳しすぎる土地・水・太陽・野獣。「それらを支配するべく神から使わされたのが自分達」という発想は、自分の家の庭にバナナが生ってるような場所では、オリジナルとしては出づらいです。歴史的政治的に一神教が多数を占めても、そういう所では必ずアニミズムが存在している。んで、私は好きなんですね、そういう自然への敬意を忘れない人達が。
 日本は、生れたら神社死んだらお寺、結婚式は教会。とよく笑い話になってますが、順番にアニミズム・哲学・一神教だからね。同時進行してもおかしく‥‥いや教会ウェディングは流石に変か‥‥まぁ、多様性を認めすぎて無宗教に近くなっちゃった、独特な例でございます。

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 ハルマンさんは、名前から類推した通りイスラム教徒。中々分からないムスリムの習慣などについて教えてもらいました。
 5つの戒律があって、その内の一つがメッカ巡礼。一生に一度でいいそうですが、いやここからサウジアラビア行くの大変だろ!?と思ったら、
「はい、お金ためるのに15年くらいかかりますね。1人五千万円」
 はい!?……ああ、五千万ルピアの間違いか。35万円。まあ、それくらいはしますわな。
「行きますか?」
「その為に頑張って働きマス。行ったことはありますか?」
「日本人には中々ビザ下りないんですよー。特定の旅行会社に頼まないと」
 しかもメッカの中にも入れないし。行く意味がないがな。
「インドネシア人には簡単デスね。行きたかったらインドネシアの男の人と結婚したらいいよ」 
 ……その手があったか。

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 という訳で、ヒンドゥーのチュト&スク―寺院。
 同じ時代に建造されてまして、15世紀。ヒンドゥーが伝わってから既に700-800年は経ってるんだから、そりゃもう独自に発展しまくって、元の面影はありませんさ。
フォト__フォト
 チュト寺院の一番のお偉いさんはサラスヴァティ。ここでは地元のガイドさんをダブルで雇って、ジャワ語→スラマンさん→日本語、という事になりました。隔靴掻痒ってこの事を言うんだな、ってくらい、私の知りたかったことは判明しませんでした。
 地元ガイドさんとスラマンさんが話し込んでしまって、その中からスラマンさんが「知りたいのはコレだろう」と判断した事だけが私に翻訳される。違う、そんなんは知っとる、私が知りたいのはそこじゃなくて、こう、なんだ。スラマンさんに話す日本語も簡単な単語に置き換えないといけないので、質問すら上手く伝えられないこのもどかしさよ。
 通訳って、質問者と解答者の両方と同レベル以上の知識を要求される、大変な仕事なんだなぁーとか、妙に遠い目になりました。

 ここでのヒンドゥー・ローカルルール。神様の乗り物(神獣)がインド本土と違います。スラマンさんの基礎知識とも違ったので大混乱。
 男神:神獣←婚姻→女神:神獣、の組み合わせで行きますね。

ブラフマー:牛←→サラスヴァティー:白鳥 
ヴィシュヌ:亀←→ラクシュミー:なし
シヴァ:象←→ドゥルガー:不明(あるが忘れたとのこと)

 村ではヒンドゥー8:ムスリム2くらいの割合。でも農業は皆で協力してやる、宗教関係ない。とのことでした。それはそうだろうね、特に米とかスピード勝負だもんね。

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 「なんで右ハンドルなのインドネシア?」の謎も解けました。基本、イギリス(旧)支配地だけなんだよね右ハンドル。インド、スリランカ、香港、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカなど。
 日本は、それまでがなんとなく左側通行だった→慣れてる方がいいんじゃね?的な、ちょい珍しい事情(※)。しかしインドネシアは旧オランダ領で、オランダは左ハンドル……
「日本が教えてくれましたね。オランダじゃない。だから日本車多いですね?」
 はい、それも気になってました。9割以上が日本車。ヒュンダイは全く見ない。たまーにトラックでTATAは目にする。ドイツ車も見ない。
「オランダは何も教えなかった。鉄砲、車、電気、何も。でも日本は教えてくれました、私達が勉強したいと思ったこと何でも」
 うわおう、またご先祖様ありがとう案件でしたか!
「だから、オランダ語話せる人ほとんどいない。観光客、困ってますね」
 ハルマンさんの口調にちょっと『ザマミロ』感が漂って可笑しかったです。そう、ヨーロッパの人、何を考えてるんだか旧植民地に旅行するのが好き。ベトナムでは妙にフランス人を見掛けました。そんでまた、結構通じるんだよね、フランス語が。
 あはは、オランダやらかしたな。でも「それまで概念が存在しなかった物事の名前は、それを広めた国の言葉で呼ばれる」という関係性はありまして、これオランダ語がドイツ語に近いから気付いた事ですが。
 例えば看板に『APOTEK』とあって、まさか薬局か!?と思ったらホントにそうだったり。イッヒ・ビン・アポテーケリン。私は薬剤師です女性版inドイツ語。
 そして何より、wiをヴィと発音し、yoをジョと発音するその表記法な!
 ジャカルタがJakartaだからややこしいのですが、ジョグジャカルタはYogyakartaです。本人達も混乱するらしく、Jogjakartaにしねぇ?運動が展開中。

 やっと理解した、ヴィシュヌ神をWisunと書くのに発音はそのままな理由。そか、ウィスヌじゃないんだ……

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 あと、観光客に妙にベルギー人が多い問題。短期間にベルギー人家族を3組も見るとかどーゆーこっちゃと思ってたけど、ベルギーってオランダから「もうこれ以上、1つの国でいるの無理じゃね?」て独立した歴史がありましたなあ。つまりベルギーも旧宗主国ではあるんですよ。その関係か。
 まあ、あの人らは普通に英語話せるから別にいいだろ。ってか、ヨーロッパの言語は基本的には方言くらいの違いしかないくせに、語順も文字も構文の組み立て方も全く違う言語で育った人間が、英語を話せない事を鼻で笑うその傲慢、なんとかならないだろうか。
 じゃああんた達は話せるのか、日本語やマレー語やズールー語を。ふんす(鼻息)。

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 チュト寺院とスク―寺院は山地にあるので涼しいです。海抜1000m超え。
 なので、お茶っ葉の名産地なのです。ツアーに含まれる昼食は、お茶を売りにしているレストランでした。たかがお茶に50,000Rpとか、ワルン(食堂)利用者に正気を疑われそうなのですが(大体2000-3000Rs)、リストの中にホワイトティーを見付けてしまい、迷わず選択。
フォト__フォト
「白いお茶?美味しいのですか?」
「色が出ないように特別な作り方をするんです。見た目は水みたいだけど凄くいい香り。ブラックティーとは掛かる手間が全然違います。なんで同じ値段なんだろ」
「日本にありますか?」
「ないです。お茶の葉は放っておくと茶色になるので、緑のままにする為に最初に蒸します。それが日本茶の特徴」
 お茶っ葉を粉にしたものが「Macha(抹茶)」という固有名詞になっているのにもビックリしました。シェーキとかスムージーに使ってますね。

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 ところでジャワ島、嗜好品がめっちゃ採れる。高地で茶葉、低地でコーヒーとタバコ葉とカカオ。
 そこいらの食堂で、飲み物の一番人気はエス・テー(氷を入れた冷え冷え紅茶)。「砂糖なしで!」と言わないと問答無用で甘くされてしまうというのは聞いていたので、それだけは気を付けて頼んでみたら。
 ……なにこれ、めっちゃ美味い。
 15円〜なのに、アタリだとコップを凝視してしまうほど美味い。氷を入れるの前提だから濃く煮出してあって、味も香りもしっかりしてて、ビックリするほど美味い。
 あ・ジャワティーか!と気付くのが2週間後だったことに笑ってくれ……
 標高の高い地方で栽培していますが、基本は一年中気温が変わらない国。ダージリンとかと違って一年通して新芽が出るから、いつでも新鮮な茶葉が出回る訳だよ。

 コーヒーは、トラジャとかコピ・ルアックとかがインドネシア産。
 私、安宿の「ご自由にお飲みくださいコーヒー」でやらかした。黒い粉と白透明な粉があるから、てっきりインスタントコーヒーと砂糖ね、ミルクはないのね。とお湯を注いでクイッと……
 はい、バリ式コーヒーをご存知の方には想像つくかと。黒い粉は豆を挽いたやつだった訳です。口の中ザリザリ、うがいくらいじゃ容易に出て行ってくれない。うぎゃああ。
 逆にお高いホテルに備え付けのコーヒーはインスタントです。安い食堂でもインスタントです、基準が分からん。食堂ではどうしようもなく甘いのが出てきて、あー、ウイスキー入れたら美味いやろな〜と遠い目に。

 そして、タバコ葉というのは盲点でした。ボディボードをやってた頃、口の中のしょっぱさを中和する為に愛用してたクローブタバコのガラム、あれもインドネシア産だったのね。
 「なんかしょっちゅういい香りがする……タバコ?お香??」と首を傾げていたら、モーターボートのクルーが1本くれて判明しました。これだ!!
フォト
めっちゃ重いしクローブの油が巻紙にシミを付けてたりしますが、国産タバコのジャレム。フイルターに甘味料が塗ってある訳でもないのに甘い!そしてアメスピ並に燃焼が遅い、一本で15分くらいもつ。
 タールが多いのは、クローブがめたくそ入ってるせいもあるかと。燃える時にパチパチいってる。シリーズで5種類くらいあるんだけど、香りはこのスーパーが図抜けてます。
 こういうフレーバータバコがもっとあれば、喫煙者への風当たりももちっと緩くなるだろうに。臭いが染み付いても嫌な感じしないですよ、これ。メンソールなしで私が吸える、数少ない中の1つになりました。買って帰ろーっと。

 カカオは、なんで大衆食堂のメニューにホットチョコレートがあるんだろう?という疑問への解答でした。そか、採れるからか。
 チョコレート菓子が妙に安いなーというのは気付いていたのですが、そか、採れるからか‥‥

 これだけ嗜好品があるんだから、酒ぐらい我慢しろや!というムスリムの声が聞こえるようです。それとこれとは別問題だからね!!


※そういえば、なんでイギリスは右ハンドル・左通行なんだ?という新たな疑問が出てきたので調べてみました。
 本来は、全世界、基本的には左側通行だったそうです。理由は、人間は右利きが多いから。人とすれ違う時は利き手が近い方が、突然危害を加えられた時に対処しやすい、そういう事。
 だからこの疑問も、本当は「なんで右側通行がこんなに広まっちゃったんだ?」が正解。逆でした。

 これの解答が面白い。なんと、ナポレオンのおっさん一人が原因。
 おっさんが「これからは交通全部右側通行!」と決めた。だから、ナポレオンに負けた国々は全て右側通行になった。
 おっさんの意図はイマイチ決め手に欠けるそうですが、軍隊が、刀剣類から銃に主力交代したから、という説が有力とのこと。
 長い銃を構えると、右手は引金、左手は銃口を支えるじゃないですか。体は自然と右を向く。てことは、自軍間ですれ違う時、右側通行で統一した方がスムーズ……というか、左側通行だと邪魔で仕方ない。
 なので、それに合わせて、民間も右側通行に規定したそうです。最後まで「うっせーおっさん、こっち来んな!」と抵抗し切った英国だけが、昔ながらの左側通行を守った訳ですね。
 イギリスに関係ないのに左側通行だよ?というアジアの国は、なんとなく、日本がらみである事が多いみたいです。日本はほんっとーに「なんとなく」で決めたので、色々と、その、すまん。

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