アニメ「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」

再放送３話まで視聴。ラヴコメやメロドラマはパターンが出尽くした感があるので、最近は
殆ど見なくなった。この作品も当然のように切っていたのだが、ついったの評判に
引き摺られた。受動的な情報が役に立つことを実証したもの。
この作品がパターンを破った原因の第一は、思春期症候群の発明。周囲の人間から
存在を認めてもらえず記憶からも消されてしまう。この設定は異様だ。発症の根源に
嫉妬や悪意が読み取れる展開は、明るい話とは云えない。そして現実に近い。知らず
同調してしまった。
又、交わされる会話に捻りが利いており、小技が冴えている点も好ましい。この点は
俺ガイルに通じるものがある。
が、最大のポイントは恐怖なのだった。眠るまいと、絶望的な戦いに身を置く咲太に出口は
ないし、悲劇を先延ばししているに過ぎない。厄介なことに、敗北しても本人に自覚が
ないのだ。全ては忘却の彼方に。戦っている咲太には、何の救いもないのである。
もっと酷いことに、麻衣は世界中の人間から忘れられ、孤独な人生を歩む運命から
逃れられない。自分の身に起きたら発狂しそうだ。この暗さが、特異な作品として私の
記憶に残ったのは皮肉である。